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「ハルモニア」篠田節子
2006 / 07 / 16 ( Sun ) 11:54:18
以前に堂本光一と中谷美紀共演で、テレビドラマ化された作品です。

★★☆☆☆

脳に障害をもつ由希が奏でる超人的チェロの調べ。指導を頼まれ、施設を訪れた東野はその才能に圧倒される。名演奏を自在に再現してみせる由希に足りないもの、それは「自分の音」だった。彼女の音に魂を吹き込もうとする東野の周りで相次ぐ不可解な事件。「天上の音楽」にすべてを捧げる二人の行着く果ては…。 (Amazonより抜粋)

という物語です。
堂本光一が演じた東野は30過ぎの自立した大人という設定なので、
少しイメージの修正をしなくてはなりませんでしたが、中谷美紀はピッタリはまり役だったんだな~と思います。

物語終盤まで、ぐいぐいとひきつけられます。
途中までは、本当におもしろかった。
由希の欠落した部分と、あまりある才能、由希の才能を認めつつも、音楽的に納得できない東野。
時間を忘れて読みふけりました。

物語終盤。
これはね、音楽が理解できない私の限界なのかも(^^;)
東野が由希に真の音(ハルモニア)を求め始めた頃から、
何だか急につまらなくなってしまいました
いや、分からないのよ。
「真の音」とか「模倣」とか「自分の音」とか言われても。
由希が弾きたいように弾けばいいじゃん、なんて思ってしまって。。。

由希がシェーマを壊したがってると言われても、
東野のやってることはただ由希の命を縮めているだけにしか見えず、
東野のエゴにしか思えず。。。

ここはやっぱり音楽よりも生活じゃない??とかね。
由希はもともと感情表出のない女性だから、何を望んでいるかが分からないので、余計に、東野、それは君、やりすぎじゃないか?なんてね。

結局、ラストに感銘も余韻も残らなかったのでした(-_-)

これ、音楽をやってる人や、好きな人はもっと違った感想が持てるかもしれないです。

あるいは、主人公が命削ってまでも「真の音」を追及する…というお話だったら、朴念仁の私も、もう少し心が動かされたのかもしれません。
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篠田節子 TB:1 CM:10 admin page top↑
「女たちのジハード」
2006 / 01 / 12 ( Thu ) 10:38:25
裏表紙には長編と書かれていますが、まるで連作短編小説のような味わいの作品でした。

★★★★☆

ふと気がつくと会社勤めも長くなり、自分の城を持とうとする康子。
結婚願望の強いリサ。
男性の保護欲をそそる、生活能力ゼロの紀子。
自立心に富み、得意の英語に磨きをかける紗織。

彼女たちのそれぞれの人生観や行動が活き活きと描かれています。
それぞれに光を当て、章ごとに主人公が変わっていく構成に、だれもが自分の人生の主人公という思いを強く持ちます。

康子もリサも紗織も、目の前の状況から精いっぱいの選択をしていることに好感が持てました。納得できないこともたくさんあるけれど、その中であがく姿に、エールを送りたくなります。
一番好きだったのは康子かな。
将来に明確なビジョンを持たず、何となくOLを続けてきた康子。
康子が自分の城を持とうと競売に手を出す姿や、松浦と出会い、自分のキャリアを存分に発揮できる場を自分で開拓していく姿に、爽快感を覚えます。決して強い意思のある人ではないけれど、たおやかに少しずつ前に進む康子に好感が持てます。

ただ、紀子だけはどうも。。。。
きみ、もっとしゃんとしようよ、と思いました。
解説によると、紀子が男性読者に一番人気があるのだとか。
う~ん、、、、、とうなってしまいます(笑)
紀子の家事能力の欠如は笑って許せないものがあるような。
結婚がどうのこうのと言う前の問題ではないのかな~。
私はこんな子と一緒に住むのはごめんだけどな~。
自分の子には、娘にも息子にも、せめて独り暮らしができるくらいの家事一般を教えておこうと思ったのでした。
でも、こういう子は一生だれかに頼って生きていかれるようにできているのかもしれないですね。
心配性の人には一生心配の種がなくなることがないように。
わがままな人には一生わがままの通る相手が尽きないように。
紀子にもだれかしら頼れる人がいつもそばにいるのでは。それも持って生まれた天分のうち、なのかな。

文庫には田辺聖子さんの解説がついています。
 こころよく
 我にはたらく仕事あれ
 それを仕遂げて死なむと思う

という石川啄木の歌を紹介していらっしゃいますが、登場人物たちの求めてやまないもの、そして実際に生きている私たちが求めているもの、のように思えます。

【こちらの記事も♪】
読書、むりかい。
篠田節子 TB:2 CM:7 admin page top↑
「アクアリウム」篠田節子
2005 / 08 / 13 ( Sat ) 17:05:41
・・・何だこれ?というのが第一印象。
物語の前半と後半の空気の違いに戸惑います。

★★☆☆☆

長谷川正人は、遭難したダイビング仲間を捜すため、奥多摩の地底湖に潜った。そこで正人はイクティと名乗る(?)神秘的で知的な真性洞窟性生物に出会う。イクティに魅せられた正人は、彼女の生息環境を守るため、道路建設反対運動に参加する。そこで現実を目の当たりにした正人のとった行動は。。。(文庫裏表紙より一部抜粋)

物語前半のイクティという陸封性イルカに出会う場面や、彼女との交流場面は幻想的であり、神秘的であり、そしてもの悲しさを漂わせていました。
大きなものに抱かれているようなゆったりとした時間の流れは、穏やかな心地と、絶滅する種への哀惜の念を持たずにはいられませんでした。

なのに、どうしてそういう方向に走るのか。。。。
中盤の環境保護団体の実態はあまりに陳腐でつまらなかったし、
後半の正人の行動は、イクティを守るにはあまりにも過激で、常軌を逸しており、正人に何の共感も理解もできませんでした。

篠田さんだったら、もっと人間に膨らみを持たせて描くこともできただろうに。
イクティを守りたい正人の気持ちや、破壊に向かう現実を読者に共振させることもできただろうに。
何だか残念な作品でした。

篠田節子 TB:1 CM:0 admin page top↑
「神鳥-イビス-」篠田節子
2005 / 08 / 11 ( Thu ) 14:24:39
ホラー小説というよりも、パニック小説といった感じの作品でした。

★★★☆☆

イラストレーター葉子は、日本画家河野珠枝の生涯を描くという美鈴慶一郎の指名を受け、彼女のそれだけ異質な幻想画、「朱鷺飛来図」をイラストレーションしてほしいという依頼を受けた。
「朱鷺飛来図」に戦慄を覚えた葉子は、軽い男、美鈴とともに珠枝の足跡を追う。
そしてふたりが奥多摩で見たものは。。。

思ったより恐くはなかったというのが素直な感想です。
最大の恐い場面が常にヒッチコックの「鳥」を彷彿とさせてしまったため、ぞくぞくと恐いというより、ギャーっとおぞましい感じが強かったです。
これって、私がホラーに求めている怖さとは微妙に違うのです。
ホラーには、もっとぞくぞくと体の中から湧き上がるような怖さが欲しいのです。
これは全く私の勝手なカテゴリーに過ぎないのですが。


佐渡で語られた朱鷺の生態が、何だか痛ましかったです。
攻撃性もなく動きも鈍い鳥だったがゆえに、ほんのわずかの間に絶滅寸前まで狩りつくされてしまった朱鷺。
作者はそんな朱鷺を殺戮しつくした人間に激しい怒りを感じ、その怒りがこういう形に結晶したのかもしれません。
篠田節子 TB:0 CM:0 admin page top↑
「弥勒」篠田節子
2005 / 07 / 15 ( Fri ) 13:02:05
自分の持っている価値観がぐらぐらと揺さぶられる本。
ハードな世界が広がっています。

★★★★★

仏教美術に始まるこの作品、そのまま仏教美術の物語に突入するのかと思っていたら、そんな平和な物語ではありませんでした。
インドと中国の間に位置する小国パスキム。独自の文化と信仰を持ち、人々は豊かな生活を享受している。。。はずだったのに、突然起きたクーデター。破壊されているであろう仏教美術に思いを寄せる永岡は、パスキムに単身潜入する。革命軍に捉えられた永岡の生活体験は、彼の価値観を根底から揺り動かす。
主人公永岡が、美とは、信仰とは、幸せとは、生きることとは、死ぬこととは、と思考を再構築せずにはいられない姿に圧倒されます。

人間の命の尊さということが日本では当たり前に言われていますが、それが通用する世界はほんの一握りでしかないのではないかと思い知らされます。

この作品の中では、急進的な革命の末路なども描かれているのですが、
革命を起こす側の人間が真摯な思いで革命を起こしているという部分もきちんと描かれているために、
余計におろかというか、浅はかというか、
人間の器の限界みたいなものを思いました。

人間の目は前についている。
だから物事の一面しかとらえられないという言葉を
ちょっと思い出しました。

この間、テレビでブータンが紹介されていました。
民族衣装の着用が義務づけられていること、
敬虔な仏教徒が多いこと、
田舎の人も立派な3階建ての家に住んでいること
なんかが紹介されていました。

この国がパスキムのモデルだったのかなと思いました。
と同時に、
この国であのような悲劇が起きないようにと思わず願ってしまいました。
篠田節子 TB:2 CM:12 admin page top↑
「ゴサインタン」篠田節子
2005 / 05 / 29 ( Sun ) 23:09:50
★★☆☆☆

関東地方の豪農、結木輝和は集団見合いでネパール人のカルバナ・タミを妻に迎える。
その後、結木家に起こる数々の不幸。
彼はとまどい、怒り、あきらめ、そして最後に行き着いたところは。。。。

次から次へと展開していくストーリーは、2段組400ページの大作にもかかわらず、一気に読めます。

この辺が篠田節子の筆力というか、構成力というか、骨太な力を感じます。

それは十分評価できることだと思うのですが。

う~ん。私には何の共感も得られない作品でした。

主人公輝和の考え方や感じ方や輝和のお母さんの考え方は
私より一世代前の人たちには当たり前の考え方や感じ方なのかもしれません。

私の母にも似たような感覚が確かにあると思います。

だからこういう感覚は「あるだろう」と分かっても、
私にはいらだちと嫌悪感をもたらす感覚でしかありませんでした。

ま、輝和はそういう一世代前(?)の感受性を、最後には捨てることになるんだけど。。。。

この作品は輝和の魂の成長を描いていると言えなくもないんだけど。

スタートの位置があまりにも「何、それ?」というところから始まっているので、
何だか素直に輝和を祝福しようという気にもなれませんでした。

カルバナ、輝和につけられた日本名「淑子」もまた、
私には不可解な存在でした。

読んでる途中、これはミステリーかと思ってみたり、ホラーなのかと思ってみたり。
終盤はまるで「弥勒」のようなハードボイルドな世界が広がって、
読み終わった今、この作品のとらえどころのなさに心許なくなっています。
篠田節子 TB:0 CM:2 admin page top↑
「カノン」篠田節子
2005 / 05 / 20 ( Fri ) 21:36:10
直前に読んだ「弥勒」がおもしろかったので、
同じ作者の作品を読んでみました。
全然違う傾向の本でした。

★★★☆☆
主人公瑞穂は39歳音楽教諭。仕事に理解を示す夫と、気管支喘息の息子の3人で安定した生活を送っている。
そんな中、瑞穂の学生時代の恋人(?)、康臣が瑞穂にテープを遺して自殺した。テープの中身はバッハのカノン。
テープは瑞穂に学生時代の気持ちを思い出させ、瑞穂の周りに不可思議な現象をもたらした。
そこで瑞穂は…というお話。

ホラーということになっているけど、
ホラー色はほとんどなく、怖くもありません。
どちらかといえば瑞穂の心の軌跡を丁寧に描いた作品です。

人生80年だとすれば、40歳はちょうど人生の半分です。
で、40歳前後の人なら、今までの自分の人生について、一度は考えたことがあるはず。
こんなはずではなかった、とか、
私の今まで積み上げてきたものは何だったのかなとか。

そしてこれからの40年について、考えたことがあるはず。
このままでいいのかな、とか、
私にとって大事なことは何かな、とか。

そういう40代の、いわゆる「中年クライシス」を具現化した作品だと思います。

私自身は瑞穂に共感できなかったけれど、
こういう人もいるかもねと思いながら読み終わりました。

ただね、瑞穂、素人なのに勝手に山に入っちゃだめだってば。
あんたが遭難したらいろんな人が迷惑するんだからね。
40歳なんだから、もう少し分別というものを持ってみようよと思ったのでした。

この作品の中で、康臣のバイオリンは、「すすり泣く高音も包み込む低音もなかった」と記述される部分があります。
だから人の心を打たないという評価をする人がいる一方で、
瑞穂は「「すすり泣く高音も包み込む低音」も、一時的な気分に過ぎない。すぐれた音楽のはらむ感情は個人的感傷を超えて、普遍的で雄大だ」と
彼の音楽に共鳴します。

この対極にいるのが、最近新聞で連載されていた「賛歌」の主人公なのかと思いを馳せました。
篠田節子 TB:0 CM:0 admin page top↑
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