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「将棋の子」大崎善生
2006 / 08 / 17 ( Thu ) 17:49:11
厳しい世界の厳しい現実。
プロ棋士になり、名人になることを夢見て、破れていった若者たちのお話。
ノンフィクション。

★★★★☆

現実問題として私が成田にしてやれることはそう多くはなかった。
成田が抱えている挫折感は成田のものであり、私のものではない。それは、心の中で何度も繰り返す誰かが作った美しいメロディーがどんなに胸に響き渡ったとしても、結局はそれは他人のものであり自分のものにはなりえないのと似ているのかもしれない。共感はどこまでいっても、結局は共感以上のものではないのである。



この言葉。
第三者としてしか関われない作者のやるせなさが伝わってきます。
こういう思い、分かるな~。
自分だけが安全地帯にいるような、後ろめたいような気持ち。
「だけど共感することにも意味はあるのかもしれない」と自分を鼓舞する気持ち。

この作品は、「大崎善生」という人なりの、「自分にできること」だったのだろうと感じます。
作者にとっても書かずにはいられなかった作品なのではと。
それだけに、胸に迫るものがあります。

最後に作者に、

<今も将棋が自分に自信を与えてくれている。自分の支えとなっている。>
そうなのだ。
私は将棋界にいて将棋雑誌の編集を何年もやってきて、順位戦やタイトル戦、それに奨励会の厳しさばかりに目を奪われてきた。年齢制限で棋士になることができずに、夢破れて去っていく青年たちの悲しみばかりに心が共鳴していた。
しかし、本当はきっとそうではない。
将棋は厳しくはなく、その本質は優しいものなのである。…それに打ち込み夢を目指した少年の日の努力や鍛錬は、大きな自信となって彼らの胸の中に生き続けているのだ。


という思いに至らせた成田。
何事もとらえ方次第なのだと感じます。

それでもやっぱり、道半ばで挫折した人のリベンジの場があまりに少ないことに、何だか悲しいものを感じます。
プロへの道はどこも厳しいものだから。
いわゆる「つぶしがきかない」道の険しさを、しみじみ感じたのでした。
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大崎善生 TB:1 CM:10 admin page top↑
「聖の青春」大崎善生
2006 / 08 / 09 ( Wed ) 17:34:12
ノンフィクションの重みを感じた作品でした。

★★★★☆

聖(さとし)は5歳のときに腎ネフローゼを発症する。
長い闘病生活の中、将棋が彼に翼を与えた。



以前、聖のドキュメンタリーをテレビで観たことがあります。
丸々とした顔と体つきが妙に印象に残っています。

聖の師匠、森の愛情の注ぎ方に、特別な絆を見る思いがしました。
周りの人に愛され、かわいがられ、そして天賦の才能を発揮した聖。

その人生について、私ごとき一読者がなにがしかの感想を口にすることに、ためらいを感じます。

ただ、こんな人がいたんだと、記憶に留めておきたいと思ったのでした。

大崎善生 TB:1 CM:8 admin page top↑
「パイロットフィッシュ」大崎善生
2005 / 08 / 14 ( Sun ) 22:42:59
人は1度巡り会った人と二度と別れることはできない。
人は記憶の集合体でできている。忘れたと思っても、それは記憶の湖にただ沈んだだけ。

透明な感性から紡ぎ出される主人公の世界が広がります。

★★★★☆

山崎、40歳、独身。彼は19年間アダルト雑誌の編集者をやっている。仕事が終わると、彼は毎日自分の部屋のアクアリウムを眺め、2匹の子犬に和み、ポリスを小さい音で聞き、思索する。

そんな彼の日常が、19年前に別れた由起子の夜中の電話で乱される。

最近、40歳の主人公が多いのですが、これもまた偶然にも40歳の主人公でした。
ただしこの方、19歳年下の恋人はいるし、別れた恋人の思い出に浸っているし、
何とも生活臭のない、青臭さのある人でした。

風俗嬢の可奈ちゃんとのエピソードは、いかにも男の人が好きそうなエピソードで、それに続く19歳年下の恋人との出会いも、これまた男の人が好きそうな物語。

それが全然不快ではなく、むしろ心地よさが残ります。
何だか、作者自身が青臭い、だからこそ透明感あふれる文章の書ける人なのでは、、、などと思ってしまいます。

甘酸っぱくほろ苦い思い出をそっと取り出して眺めるときの感覚を1冊の本に閉じ込めたような作品でした。
あの何とも言えない幻惑的な感覚を水槽の中に入れてみたような、そんな感じの本でした。

たまにはこんな本もいいかもと、どこか清々しく思いました。
大崎善生 TB:5 CM:11 admin page top↑
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