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「13階段」高野和明
2005 / 07 / 27 ( Wed ) 15:48:01
期待どおりの本。ぐいぐい読ませる展開に、ページをめくる手が止まりませんでした。

★★★★☆と半分

刑罰のそもそもの目的、死刑制度の是非、現行死刑制度の問題点などの重厚なテーマを背景に、スピーディに物語が展開します。

やれやれ、ご苦労様と思ったら、さらに、えっどうして…という展開があり、最後までドキドキでした。

このドキドキ感がたまらなくよかったです。
細かいことを言えばそれってあり?みたいなこともあるのですが、
もっと言えば、これは伏線じゃなかったのということもあるのですが、
でもでも、「もうすぐ死刑が執行される」というタイムリミットが緊張感を高め、
どんでん返しに自分の推理を組み立て直し、おぉそうかぁ~と納得し、
さらにあぶり出された真相になるほど~と胸が痛み、そしてラストまで。
ラストは胸いっぱいに静かな気持ちが広がりました。

刑務官南郷の苦悩がリアルでした。
死刑はこういうふうに行われる、という厳然たる事実に初めて接して、
ただ、そういうふうに行われるのかと自分の心に納めるのが精いっぱいという感じで、何も言葉がないのですが、
南郷の苦悩は今もだれかが背負っているのだという思いが残りました。

高野さんという方は理系の頭をしているのでは、と思います。
情緒を極力排したあっさりめの表現が、
かえっていろいろな問題点を分かりやすく提示していたように思いますし、
読者も読むのがつらくなるほど追い詰められず、
だから問題意識が心にひっかかったまま本を閉じることができるのだと思います。

重低音で鳴り響く死刑制度とスピード感あふれるストーリー展開。
そのどちらかでも十分読み応えがあったようにも思うのに、2つを絡み合わせたこの作品が作者のデビュー作なんですね。
もっとこの人の作品を読んでみたいと思いました。
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