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「あの日にドライブ」荻原浩
2006 / 12 / 15 ( Fri ) 16:48:54
すっかりSFだと思い込んでいた私。
いつタイムスリップするんだろ~なんて思ってました('◇')ゞ

★★★☆☆

元エリート銀行員だった牧村伸郎、上司へのたった一言でキャリアを閉ざされ、自ら退社した。いまはタクシー運転手。公認会計士試験を受けるまでの腰掛のつもりだったが、乗車業務に疲れて帰ってくる毎日では参考書にも埃がたまるばかり。営業ノルマに追いかけられ、気づけば娘や息子と会話が成立しなくなっている。
ある日、たまたま客を降ろしたのが学生時代に住んでいたアパートの近くだった。あの時違う選択をしていたら…。
過去を辿りなおした牧村が見たものとは?(Amazonより)



タイムスリップものではなく、主人公牧村が、
懐かしの場所に行ってただひたすら妄想を繰り広げる物語。

この妄想が、とんでもなく都合のよい妄想で、
それがかえって現実感を出してました。
現実がつらいと、妄想に耽ってしまうのよねぇ。これ、多かれ少なかれ、だれにでも経験あることなんじゃないかなぁ。

なんか分かるな~という気持ち半分、
しょうがないなぁと思う気持ちが半分。

人生で、「もしも」「たら」「れば」を思う曲がり角って、幾つも幾つもありますね。
曲がり角を間違えた方向に曲がったんじゃないか、
曲がり角だって気づかず安易に曲がってしまったんじゃないか、
人生半ばを過ぎ、ついつい夢想してしまう牧村を、
作者は温かく見守っています。
リストラや倒産が他人事ではない世の中。
牧村のような忸怩たる思いを抱えている中高年の男の人って多いんだろうと思います。
その人たちへの作者からのエールのような作品です。

エールのような作品ですから、ラストは明るく、前向きな感じで終わらなくてはならない。こういうお話って、着地点が決まっているように思います。
この作品も、想像通りの着地点に行き着くのですが、だけど、
決して押しつけがましくもなく、すべてハッピー♪みたいな能天気でもなく、そこがまたよいところです。

それにしても、タクシーの運転手っていろんな営業努力をしているのねぇ。
1つ1つが妙に現実味があって、作者によいアドバイザー(優秀なタクシー運転手)がついていたんだろうなぁなんて思いました。
結構その人が、牧村みたいに途中で出世街道を下車した人だったりして、なんて。

私が好きだったのは、牧村の奥さん、律子さん。
食洗器にヨネさんと名前をつけるなんて、ネーミングセンスが抜群です(^^)
きっと、牧村が妄想に浸っているときに、自殺しちゃったらどうしようとか、密かに心配してたんだろうなぁ。
牧村がその辺、全然気づいてないから描かれてはいないけど、
ずっと気を配っていたことがさりげないところで感じられ、
だけどそっとしておいたんだろうなぁと思われ、
いい奥さんじゃないのと思ったのでした。

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