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「所轄刑事・麻生龍太郎」柴田よしき
2007 / 05 / 23 ( Wed ) 08:20:06
ちょっと興味を示した次女に、「ディープな世界だから18禁!」と言ったのですが、全然ディープじゃありませんでした(笑)
とてもまっとうな(?)ミステリー小説。

★★★★☆

麻生龍太郎25歳。
切れのある推理で、自身が納得するまで捜査を続ける新米刑事。
暖かく見守る高橋署の面々。
所轄刑事には大きな事件は回ってこない。
けれども小さな事件にも、様々な人間模様がある。



麻生龍太郎。こんなに才気溢れる刑事さんだったのね。
切れ者という評判は聞いていたけれど、
小さな齟齬を見逃さない、納得いくまで調べるその姿勢。
これが練の時にもできていたら。。。
…この後の人生がやけに切ない。

本来はこういう人だったからこそ、
余計にあの事件は自分で許せなかったのだろう。。。

シリーズものの主要登場人物だけに、その後の人生についても思いを馳せてしまいますが。

この作品集、単独でもおもしろいと思います。
小さな事件の1つ1つがしみじみと心に残ります。

「大根の花」
路地に並べられた植木鉢が割られ、花々を踏みつぶされる事件が続いた。
「こんな小さな事件だって、かかわった人間は、みんな泣くんだ。」
龍太郎のつぶやきが、何とも哀切。

「赤い鉛筆」
自殺した女性の部屋には、なぜか手帳のたぐいがなかった。

脅し、泣き落とし、一切なしの淡々とした取り調べが印象的。

「割れる爪」
女子高生の顔面をいきなりひっかいた女。彼女は「はなこ」という名前以外、何もしゃべろうとしなかった。

ここでも、穏やかに進む取り調べが印象的です。
いい仲間に恵まれていたんだね、麻生龍太郎。
女の人生の転落が、決してあり得ない話ではないこの世の中。
女は「はなこ」になりたかったのかな。やっぱり。

「雪うさぎ」
幼女がベランダで泣いていた。
部屋の外からかぎがかかって、母親は心臓麻痺で死んでいた。
だれが見ても、病死のはずだった。

トイレットトレーニングって、こんなに大変だったっけ?
本筋とは関係ないところにひっかかってしまいました。
トイレに行けなくておもらししちゃったぁ~と、
もうそれだけで泣きじゃくる女の子がリアル。
柴田さんって、子育て経験者なのかな。
こういう子供絡みの叙述には気合いが入ってるような気がします。

神田署少年係の沖田。この人はどこかで出てきましたっけ?
何だかほかのシリーズにも登場していそうな気がする。

「大きい靴」
これも子供絡みです。
犬が手首をくわえて帰ってきた。
死体はどこ?

「慶太は、今朝、正解を出した。母親の人生を救うための、唯一の正解を。」

自分は冷淡な人間だと言っているけど、龍太郎のまなざしは十分温かいです。

この作品集を通じて見えてくる麻生龍太郎像は、
鬱屈した感情を持て余しながらも、背筋を伸ばして真っすぐ立とうとしている、そんな姿。
彼の内面がどんなに揺れていようと、事件関係者に向けるまなざしは
曇りがない。
爽やかな若さと人生の哀切と。
人の才能は、それを認めてくれる人の中で花開くものなのかもしれないと、
何だかそんなことを思いました。

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