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「名もなき毒」 宮部みゆき
2012 / 03 / 17 ( Sat ) 12:16:40
このブログ, 1カ月以上も放置していて,
とうとうトップに広告が載っちゃいました
まったりするにもほどがあるよね~(>_<)
というわけで(?)あわてて感想書いてみました(^^;)
この本を読んだのは,3週間くらい前のこと。
ちょっと記憶が曖昧です。
…だから,読んだらすぐに感想書こうよ


この作品,どうやらシリーズ物第2弾だったみたいです。
前作読んでなくてもちゃんとついていけたけど,
その代わり,前作読んでないのに,前作も読んだ気になっちゃいました(^^;)

★★★☆☆

どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。 (Amazonより)



結構分厚い本でしたが,
さらっと読めました。


            

「トラブルを起こした女性アシスタント」原田いずみ。
この方の性格,どこかで出会ったことがあるわ~と,
もやっとしながら読みました。

嘘に嘘を重ねた輝かしい自慢話。(学歴・職歴詐称)
悪いのは周りの無理解。いつも自分が被害者。
敵と見なした者に対する執拗で徹底的な攻撃。
敵と味方があっけなく反転する,
他者理解能力の恐ろしいまでの欠如。


思い出しました。
多島斗志之さんの『症例A』だわ。
あの作品では,「境界例」だか何だかの精神疾患のように描かれていたように思うけど。

多島さんの作品にも宮部さんの作品にも登場してくる,
原田さんのようなやっかいなタイプ。

私は幸いなことに本の中でしか出会ったことがないけれど,
世間では一定数いらっしゃる…のかなぁ。。。

このまま実生活で関わることなく過ごしたいわ~と
正直なところ思いました。

と,原田さんに対していろいろ思うことはあったけれど。

原田さんの印象が強すぎて,
それは逆に,作品の言いたいことをぼかしてしまっているようにも感じました。


どんな人間にも少なからずある
妬みとか攻撃性とか,
底意地の悪さとか,私利私欲とか
狡猾さとかetc.etc...
そういう人間のネガティブな部分。
それが私の思う「名もなき毒」であったので。

なので,
原田いずみを前面に出すのはちょっと違うんじゃないかなぁなんて。
もっと,シックハウス騒動に絡めた
杉村の,杉村奥さんに対する違和感とか,
権力者である杉村の義父が感じている無力感とか,
そっちのほうに焦点当てたほうがよかったんじゃないかなぁ
とか,ちょっと思ってしまいました。


3分の2くらい物語が進んだ頃,
「普通」とは何か…を議論する場面があります。
原田いずみは普通の人間じゃないと言う主人公・杉村に対して,
老探偵・北見氏は
彼女は正直すぎるくらい正直な普通の女性だと言います。



 「私やあなたが普通の人間じゃないですか」
 「違います」
 「じゃ,優秀な人間だとでも?」

 「立派な人間と言いましょうよ」北見氏は疲れた顔で微笑んだ。
 こんなにも複雑で面倒な世の中を,他人様に迷惑をかけることもなく,
 時には人に親切にしたり,一緒に暮らしている人を喜ばせたり,
 小さくても世の中の役に立つことをしたりして,
 まっとうに生き抜いているんですからね。
 立派ですよ。そう思いませんか」

 「私に言わせれば,それこそが「普通」です」

 「今は違うんです。それだけのことができるなら,立派なんですよ
 「普通」というのは,今のこの世の中では,
 「生きにくく,他を生かしにくい」と同義語なんです。
 「何もない」という意味でもある。
 つまらなくて退屈で,空虚だということです」

 だから怒るんですよと,呟いた。

 「どこかの誰かさんが「自己実現」なんてやっかいな言葉を考え出したばっかりにね」

 煙に巻かれているような気がするのに,
 その一方で,私(主人公・杉村)はひどくたじろいでいた。



原田いずみ。。。私は北見氏のように彼女を普通だとは思えません。
彼女の中に,多くの人々の持っているエッセンスが凝縮されている,
とも思えません。
私のように,あるいは杉村のように,
彼女と自分の間に線引きをする考え方は,
間違っているのかな。

「自分は彼女とは違う」と思うことで,
作者さんおっしゃる「名もなき毒」が
我が身に存在する事実から目をそらしているのかもしれませんね。

杉村は,物語が進むにつれて変化していきます。
物語ラスト近くで杉村の至った心境。

 

人が住まう限り,そこには毒が入り込む。
 なぜなら,我々人間が毒なのだから。
 原田いずみには毒があった。…(中略)…
 彼女の毒は,彼女自身を侵してはいないのか。
 彼女の毒は無限増殖し,
 どんなに吐き出しても涸れることはないのか。
 その毒の,名前は何だ。
 かつてジャングルの闇を跳梁する獣の牙の前に,
 ちっぽけな人間は無力だった。
 だがあるとき,その獣が捕らえられ,
 ライオンという名が与えられたときから,
 人間はそれを退治する術を編み出した。
 名付けられたことで,
 姿なき恐怖には形ができた。
 形あるものなら,
 捕らえることも,滅することもできる。
 私は,我々の内にある毒の名前を知りたい。
 誰か私に教えてほしい。
 我々が内包する毒の名は何というのだ。



杉村は,
原田いずみは異常であり,理解不能である
…という認識から一歩抜け出ている…ように思います。

そうなのかぁ。。。

何となく主人公に置いてけぼりをくらったような,
そんな気分になったのでした。

杉村はいいヤツだから,
「共感はできないけれど理解はできる」って境地にまで至ったんだろうなぁと思います。
それはそれですばらしいことだと思うし,
それ以上を求めるのは求めすぎでしょうと思います。

が。
原田いずみは結局何も変わらないまま,
どこにも居場所がないまま,
一生を終えるんだろうなと思うと,
それは彼女の自業自得だと分かっていながら
救いがないなぁと感じます。

原田いずみ自身が望んでもいないのに,
他人が原田いずみの根っこからひっくり返すようなこと,
できやしないと思います。

だけど,そういう奇跡を一度くらい見てみたいなぁとも思います。
いろいろと無理があるかしらん。。。。




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  ◆◆

こんばんは。
読んだのは結構前なのですが原田さんがとんでもなくひどい人だったのは覚えています^^;
実際にも良そうな気がします・・・自分は悪くないって思ってる人…
原田の最後が納得いかなかったです。もっとシメてやればいいのにって思いました。

主人公夫婦が私は前作で好きだったのですが、奥さんがやっぱりお嬢様育ちなんだなと今回の事件に巻き込まれたことで感じて続編が出るならこの夫婦は大丈夫か?と心配になりました^^;
by: 苗坊 * 2012/03/17 20:02 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆苗坊さん♪◆

苗坊さん,こんばんはっ\(^o^)/

> 読んだのは結構前なのですが原田さんがとんでもなくひどい人だったのは覚えています^^;

あ。やっぱり?

> 原田の最後が納得いかなかったです。もっとシメてやればいいのにって思いました。

シメて反省するほどかわいらしくはないからね~。
描きがいがないのかもv-8
>
> 主人公夫婦が私は前作で好きだったのですが、奥さんがやっぱりお嬢様育ちなんだなと今回の事件に巻き込まれたことで感じて続編が出るならこの夫婦は大丈夫か?と心配になりました^^;

前作は読んでませんが,確かにこの夫婦,ご主人側に奥さんに対する違和感が育ちつつありますよね~。
こういう「価値観の違い」というか「育ちの違い」って,
多かれ少なかれどんな夫婦にもあるものだと思うので,
杉村夫妻には(特に杉村夫には^^)乗り越えていってほしいなぁと思います(*^_^*)
離婚とかしちゃったら,なんか夢がないよね~v-8
by: そら * 2012/03/18 19:15 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

お元気でしたね^^。
「自己実現」、たしかに厄介なことをいいますね。
普通に自分の分を大事にして日々を生きていくことの”立派さ”、たとえようもない、を感じる今日この頃です。
by: 佐平次 * 2012/03/19 09:09 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆梟佐平次さん♪◆

おはよっ\(^o^)/

ご無沙汰です。
はい,元気でしたv-8

> 「自己実現」、たしかに厄介なことをいいますね。

この言葉の厄介性(なーんて言葉はないけれど^^)を実感するのには,
やっぱり年月が必要でしょうかね。
若い頃は,自分が某かになれるはずだ…という思いがあってもいいのかもしれません。
けれどもそれに囚われすぎると,
自分が自分が…になってしまって,
大切なものを見失ってしまいがちですよね~。

> 普通に自分の分を大事にして日々を生きていくことの”立派さ”、たとえようもない、を感じる今日この頃です。

私も最近,「普通の暮らし」がたとえようもない宝物に思えます。


by: そら * 2012/03/21 10:21 * URL [ *編集] * page top↑
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名もなき毒 杉村三郎は今多コンツェルンの社員であり、会長今多嘉親の娘菜穂子の娘婿である。 最近、原田いずみというアルバイトがトラブルを起こしており、身辺調査を行っていた ... 苗坊の徒然日記【2012/03/17 19:57】
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