スポンサーサイト
-- / -- / -- ( -- ) --:--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 admin page top↑
「照柿」高村薫
2005 / 09 / 11 ( Sun ) 13:18:44
高村さんは難しいと思い込み、今まで避けてきましたが、
何ともったいないことをしていたのだろうと思っています。

★★★★★

第1章を読みながら、私は、『高村さんは、その人がまだ言葉にできない「何か」も、一瞬の心の揺れなんかも、すべて言葉で並べてみようとしています。』と書きました

これは全編通して言えることであり、この作品の大きな魅力になっています。

全編、とにかく暑いです。
工場の暑さ、アスファルトの暑さ、etc.etc…容赦のない暑さが、
執拗に出てくる臙脂色(えんじいろ)のイメージと相まって、
とにかくうだるような救いのない暑さです。

その中で、野田達夫が少しずつ壊れていく。
この描写がまた圧巻です。
本人に聞いたら、多分「よく分からない」としか答えようのないであろう心の動きを丁寧に丁寧に描きます。
この執拗なまでの内面の描写によって、
読者は、「どうしてそんなばかなことを」としか思えないような行為に至るまでの彼を、
息苦しく見つめることになるのです。

もう一人の主人公、合田雄一郎もまた然り。
こちらは、今までにない感情を持て余しながら、
今までの自分を省みる、その内省の道が痛々しく迫ります。
そこまで自分を追い詰めなくても、と思えるほどに、
その姿は厳しくて妥協がなく、それがもの悲しいです。

そして筆がそれぞれの無意識層にまで及ぶと、
2人の魂の存在が、ゴロリと手触り悪く確かな重みで感じられます。

手紙の前のラストの場面は、だからこそ激しく胸揺さぶられます。

【こちらの記事も♪】
ひろの東本西走!?


また、この作品には、雄一郎の義兄、加納祐介、博徒、秦野耕三など、ほかにも気になる人が登場します。

延々と続く賭博の場面がこんなにドキドキしたのは、
秦野の底知れない怖さがじわじわと伝わったからだと思います。
この場面と、雄一郎とすれ違う場面、
彼が登場したのはこの2箇所だけだったのですが、
強烈なインパクトがありました。

加納祐介は端然と雄一郎を見守ります。
話す内容が漠として難しく、謎の多い人ですが、
心惹かれるものを感じました。

どのページを開いても、そこに横たわっている
ぐいぐいと力強く絞り出すようなその描写に、
ある種独特な言い回しの数々に、
心奪われた数日間でした。

とても充実してました。



スポンサーサイト
高村薫 TB:4 CM:4 admin page top↑
<<「エンジェルエンジェルエンジェル」梨木香歩 * HOME * 「照柿」読了>>
コメントの投稿 














管理者にだけ表示を許可する

 

*Comment  Thank you*
comment
  ◆>「照柿」高村薫◆

はじめまして。
私も最近、高村薫さんにはまりました。読後の充実感がいいですよね。
事後報告になりましたが、TBさせていただきました。
by: sumika * 2005/10/05 00:49 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆>「照柿」高村薫◆

sumikaさん、はじめまして♪

コメント&TBありがとうございました。うれしいです。

>最近、高村薫さんにはまりました

すごく親近感♪

今まで高村さんを避けてきて、
何ともったいないことをしてたんだろ~と思いました。

sumikaさんのところにも遊びに行きますね。
よろしくお願いしますv-290
by: そら * 2005/10/05 08:45 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆うだるような暑さ◆

こんばんは。

「照柿」を読みました。
私にはちょっとピンとこない部分などもあって、高村作品の中では名作群の少し下に評価しました。
ですが、救いようのない暑さとそれが引き起こしたかのような出来事は凄かったです。

そらさんの感想では野田達夫と合田雄一郎、そして秦野の分析が素晴らしいですね。

>この執拗なまでの内面の描写によって、読者は、
>「どうしてそんなばかなことを」としか思えないような
>行為に至るまでの彼を、息苦しく見つめることになるのです。

ほんとにねえ。
なぜそこまで行き着かなくちゃいけなかったんだろう?

TB送信は失敗に終わった模様です(汗)。
by: ひろ009 * 2010/04/08 20:31 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

ひろさん,こんばんはっ♪

> 「照柿」を読みました。
> 私にはちょっとピンとこない部分などもあって、高村作品の中では名作群の少し下に評価しました。
> ですが、救いようのない暑さとそれが引き起こしたかのような出来事は凄かったです。

確かに,ピンと来るか来ないかといったら,来ないほうが大きかったと思います。
共感とは別のところに,この作品があったような。。。。

> そらさんの感想では野田達夫と合田雄一郎、そして秦野の分析が素晴らしいですね。

なんか,ホメていただいて恐縮ですっ(^^;)

> なぜそこまで行き着かなくちゃいけなかったんだろう?

行き着いたちゃったのが,野田という人間だったんだろうなぁ。。。。
なんて,私は不思議と納得しちゃいました。

ひろさん,今度は『太陽を曳く馬』かな(*^_^*)
ひろさんの感想をお聞きしたいと思ってます(と,そそのかしてみる^^)

by: そら * 2010/04/08 21:26 * URL [ *編集] * page top↑
trackback
trackback URL
http://xxxsoraxxx.blog11.fc2.com/tb.php/113-7134d868
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
「マークスの山」が「照柿」に染まるとき
今さらですが、高村 薫さんにハマっている。分厚くて読みごたえがあるのがよろしい(笑)。ただ、高村作品を読んだ後、脳みそを使うなんて慣れないことをしたせいか、なんだか脱力しちゃって、ほかの作家さんの本が物足りなくて…。この緊張する読書に匹敵するのは、京極夏彦 徒然花茶【2005/10/05 00:37】
「照柿」高村薫
照柿posted with 簡単リンクくん at 2005. 6.28高村 薫講談社 (1994.7)通常2~3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る例によってまた過去記事をアップしてますがこの感想はちょっとひどすぎますわ。「ねえねえ、これ、すごかったんだよー」っていう興 本を読む女。改訂版【2005/10/07 10:25】
「照柿」(高村薫)
「照柿」(高村薫)を、この土日で一気に読みました。読み出す前は、もうちょっと手こずるかな、と思ったのですが、もしかしたら「新リア王」によって鍛えられたのかもしれません。これは合田雄一郎の、友情と、一目ぼれのお話だと思いました。それもとびっきり密度の濃い、 避難場所【2006/06/12 00:43】
(書評)照柿
著者:高村薫 照柿(上)価格:¥ 680(税込)発売日:2006-08-12 照 たこの感想文【2006/08/28 10:58】
* HOME *
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。