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「K・Nの悲劇」
2005 / 10 / 24 ( Mon ) 09:52:38
ホラーとしてはあまり恐くなかったような。
起承転結のはっきりとした本でした。

★★★☆☆

夏樹修平と果波は新婚夫婦。修平の書いた本がヒットして、
憧れの高層マンションに居を構える。
幸せな新婚生活の中、果波は妊娠する。出産したら経済的にマンション暮らしは望めない。修平は中絶を促し、果波もそれに同意する。
その後、果波に異変が起こる。。。。

果波の同級生、中村久美の悲劇的な最期が夏樹夫婦に絡み、
果波は憑依状態になります。
憑依は怪奇か精神の病か。
産婦人科から精神科に転向した磯貝医師が修平とともに果波の治療に当たります。

ラストまでスラスラと読め、読後感も悪くはなく、
作者の言いたいこともはっきりと伝わる作品だとは思うのですが。

何というか、膜1枚向こうで起こっているドラマのように、
さまざまな感情の波が私にまで伝わってこないもどかしさがありました。

特に果波。彼女の身体感覚がどうも伝わってこない感じ。
例えば、、、
果波が妊娠を告げたとき、修平は複雑な表情を見せる場面があります。
そのとき、果波は、「子供の頃、鉄棒に真正面から鼻先を打ち付けたような痛み」を感じます。
まぁ、人それぞれですからね。そう感じる人もいるかな~と思います。
だけど私は、こういう場面でそれはちょっと違うかな~と自分の感覚に照らして、違和感を感じてしまうのです。

あるいは、、、
果波が今の状態をどう感じているか、本当はどうしたいのか、
その辺の葛藤があまりにも弱々しく、まるで人ごとのように見えたり。

そういうしっくりこない感じが全編に漂っていて、
違和感がうっすらと積もっていったように思います。

核になる人物が果波ではなく、夫の修平であり、精神科医の磯貝であるところからくる弱さ、なのかな。

それとも作品全体が、憑依は怪奇か精神の病かという命題にとらわれすぎていたのかな。

すごくいい題材でおもしろかっただけに、作者は妊娠や中絶を”頭”で理解しているんじゃないかな~という感じが透けて見えて、ちょっと残念な作品でした。
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  ◆◆

こんにちは。
事態の張本人であるはずの果波の存在感が薄いっていのは、言われてみるとその通りのように思います。テーマは面白いし、色々と考えさせられる内容なのに、何かちょっと足りないような感じがしたのは、そのせいかも…。
本当、「惜しい」作品というような感じです。
by: たこやき * 2005/10/24 11:41 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

たこやきさん、こんにちはっ♪
>本当、「惜しい」作品というような感じです。
この方の作品には非常に期待をしてしまいます。
だから余計、「惜しい」「残念」と思うのでしょうね。
コメント、どうもありがとでしたv-290

by: そら * 2005/10/24 13:03 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

こんにちは!私も昨日読了しました。

私にはとても怖かったです~。精神的に・・・
おとなしい人がいきなり豹変するような、怖さ。
それと、女性が子宮の奥に抱えるおどろおどろしさ、みたいなものを
男性作者なりに頑張って表現している、と思いました。
プロローグの猫の出産の場面から早くも、
生臭い血の臭いがして、なんかその臭いがずっと
読んでいる間中、染み付いて離れない印象でした。
(私はけっこう怖がりなので・・・)

果波の存在感、たしかに薄いですね。
たぶん作者は、そういう自己主張の乏しい女性が
内側に抱える憤懣などを表現したかったのかと推測しますが、
書き方としては半端に思いました。

何よりもラストが何となく上手くまとめすぎでは?とか、
いくら不仲でも、夫婦の両親が孫の出産後にも
現れないのは、ちょっと不自然に感じました。
(↑この部分、ネタバレですね。ごめんなさい。読後削除していただいてもOKです)

「幽霊人命救助隊」も、この作品も、
一人一人の命の尊さを訴えていて、
その部分はとても胸に響きます。

by: nao * 2006/02/06 10:28 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

naoさん、こんにちはっ♪
「幽霊人命救助隊」に引き続き、高野作品ですね♪
そっか~、恐かったのか~。。。。
あんまり恐くなかったと言い放ってしまう私は、ちょっとホラー慣れ(?)してるのかな。あんまり慣れたくないけどね(*^_^*)
>男性作者なりに頑張って表現している
これ、私も思いましたよ。身体感覚とかう~ん、違うような…みたいに思ってしまうのだけど、頑張って表現しているという感じ。
この方にはいろんな作品を書いてほしいな~なんて思います。

で、次は何を読んでいるのかな?
読み終わったら感想を聞かせてね♪
by: そら * 2006/02/06 15:30 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

そらさん、こんにちは。
いつもいつも素早いレスポンスありがとうございます♪

>「幽霊人命救助隊」に引き続き、高野作品ですね♪

そうなんですよ~
この作者、「13階段」でデビューされたとき結構感動して
自分の中のお気に入りに入ってはいたのですが、
なんせ地味なお名前なので(ごめんなさい!)
本屋さんに行っても目につかなかったのですよね・・・
ええ、正直半分忘れかけていました。
あぁ、もったいない。

今後、高野作品を色々読んで行きたいと思います。
(といっても、それほど多作ではないですね・・・)
次はそらさんお勧め度☆☆☆☆の、
「グレイヴディッガー」探してみますね!

他の作者も、そらさんのレスを参考にさせてもらいま~す。
どうぞこのブログ、楽しみに拝見しておりますので、
続けてくださいね♪
by: nao * 2006/02/07 17:48 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

naoさん、こんばんはっ♪
あはっ♪早い?(*^_^*)
仕事柄、パソコンの前に座ってることが多いのだよ(ということにしておこう^^;)
>なんせ地味なお名前なので
ホントだよね~(=^▽^=)すごくふつ~の名前だものね~。
…ん?何だかいつも変なところで反応してる?かも(^^;)
>「グレイヴディッガー」探してみますね!
私は結構高野さんには甘いので(逆に浅田次郎さんには辛いかもいれない^^;)その辺はご承知置きを♪
でも、うん疾走感がよかったですよ。まぁ、突っ込みどころはありましたが(^^;)
読んでみたら、また感想をお話しくださいねっ(^_-)-☆

高野さんの作品はいつも違った分野に挑戦しよう!みたいな気概が感じられて、本を開く期待感、というのがあります。次はどんなかな~みたいなね。
早く新作が出ないかな~と思っています。

>このブログ、楽しみに拝見しておりますので、続けてくださいね♪
そんなふうに言ってもらえるなんて、ホントにホントにうれしいわ。ありがと~(感涙)
ときどき寄り道してるけど、まぁ、気長におつき合いくださいね。これからもよろしくお願いします♪
by: そら * 2006/02/07 22:00 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

こんにちわ
昨日「K・Nの悲劇」読みました。どちらかというと「中絶」というテーマに興味があったんで、ミステリーとかホラーという感じはしませんでした。小説としては大変面白かったです。高野さんの作品はどれも興味があるテーマばかりなので単行本ででているやつは全部読んでいます。
 高1の時に保健の授業で「一人一人発達のスピードは違うだろうに、中絶が許されている期間はいったい誰がどうやって決めたんだろう?」って思い、それから中絶とか臓器移植とか生命倫理関係について調べるようになりました。今の若いもん(オレも含め)は、あまりにもこういうことについて知らなさすぎてると思います。一昨日ぐらいに初めて「中絶されたあとの胎児」の写真を見ました。学校の教科書に載せるべきだと思いました。日本で年間約三十四万もおこなわれていると思うと、落ち着かなくなります。
 小説の最後のほうに修平の「ベストセラー第二弾」がボツになりましたよね。「中絶」とかを語ることが現代社会でタブーになってしまっていると思います。ほんとドラマ化してほしいです。
 文がぎゅうぎゅうずめになってすいません・・。
by: ウィザード * 2006/02/16 21:36 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

ウィザードさん、コメントありがとうございました。
高野さんの作品を読むと、高野さんの意識の高さというか、何かそんなものを感じますね。
本当に、どの作品も今の社会に生きていく上で見過ごしてはいけない問題、みんなが考えなくてはいけない大事な問題を扱っているように思います。
「中絶」について。そうか~。そんなに若い頃から関心を寄せていたのか~。男の人の中にもそんな人がいるんだな~というのが素朴な感想(*^_^*)ウィザードさんみたいな方がいるということ自体が、何だかうれしい気持ちです。
そういえば私も、高校生のときに曾野綾子の「神の汚れた手」を読んで、何か引っかかりというか、簡単に考えちゃいけないことだよなと思ったことを思い出しました。
随分古い本ですが(!)、もしよかったら、手に取ってみてね。

>文がぎゅうぎゅうずめになってすいません・・。
いえいえ、ありがとうございます。
最近、私自身がちょっと暴走気味でして('◇')ゞ、このブログもとても静かだったんです。
コメントいただけてうれしかったよぉo(^▽^)o
また、いつでもいらしてくださいね♪
by: そら * 2006/02/17 01:40 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

どうもどうも。

そうですねー「弱さ」わかります。
でも、果波の気持があまり書かれてなくって、憑依状態が深層心理かも??とか、リアルにしてないとこが逆にうまいなーと。
出産に対する感情って、きっと男が書いたら、なんかそれこそ嘘っぽくなっちゃいそうかなーとか思うし、だから濁してるんかな??とか(笑)

あと、次は「幽霊~」です
文庫化前に読んじゃおうかなーと
そらさん的にも好評価のようですし。
by: じゅん * 2006/02/22 10:20 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆管理人のみ閲覧できます◆

このコメントは管理人のみ閲覧できます
by: * 2006/02/23 00:30 * [ *編集] * page top↑
  ◆◆

じゅんさん、どうも~♪
>きっと男が書いたら、なんかそれこそ嘘っぽくなっちゃいそうかなーとか思うし、だから濁してるんかな??
なるほどね~。嘘っぽくなっちゃうか~~。ある意味冒険なのかもね(笑)
ついつい高野さんには、いろんなことを期待してしまいます。

「幽霊…」読んだら感想を聞かせてね♪
by: そら * 2006/02/23 06:31 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

ナイショのご訪問者さんへ♪(^o^)
コメント、どうもありがとう。うれしかったです。
そうだね、そうだねと思いながら読ませていただきました。
私も、どんな状況になってもホントの意味で「命を大切に」といえるようになりたいな~なんて思っています。
また、遊びに来てくださいね♪
お待ちしてますo(^▽^)o

by: そら * 2006/02/23 06:40 * URL [ *編集] * page top↑
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