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「ウランバーナの森」
2005 / 11 / 13 ( Sun ) 02:55:17
ジョン・レノンがオノ・ヨーコと息子ショーンとともに軽井沢に避暑に来ていた「充電期」を下敷きにした作品です。
ジョンへの思いが込められた作者デビュー作。

★★★★☆

その夏、精気のポップスター、ジョンは軽井沢で過ごした。家族との素敵な避暑がひどい便秘でぶち壊し。病院通いをはじめたジョンの元へ、過去からの亡霊が次々と訪れた。(文庫裏表紙より抜粋)

この作品は、「不適切な」親に育てられた子供の、心の彷徨と受容の物語のように思えました。
私にとって、とてもタイムリーなお話。
ジョンは母親を許せなくて、それでも母親に謝ってほしくて、
そして…というお話です。

大人になるということは、運命にやさしくなれるということ。
家政婦のタオさんが言います。
運命に優しくなれる。。。
子供は親を選べない。
それを恨む時期を過ぎ、ありのままを受け入れられるようになる。
そして自分が生まれてきたことを喜ぶことができるようになる。
ここまでの過程は、けれども大人になればだれもがたどることのできるものではありません。
運命に優しくなれない大人もたくさんいて、それぞれに苦しい思いをしているのだと思います。
ジョンがすべてを丸ごと受容する機会を得たことに心打たれますし、
あの子にも、この子にも、そういう奇蹟が起きますようにと願わずにはいられませんでした。


それにしても作品中のジョン、彼の気持ちを大きく憂鬱にしているのが、「今日も便秘だ」というものなのです。
なので尾籠な話が延々と続きます。
この辺を下品ととるか、ユーモアととるか、読者によるかもしれません。
私は、結構さらっと読めましたけど。
かのジョン・レノンのイメージとはかけ離れていて、けれども人間くさくて、ちょっと親しみが持てたりしました。
出てくる精神科医は伊良部先生ではなかったけれど、
伊良部先生がジョンを診ていたら、どんなふうにジョンと接しただろうと、興味がむくむく湧いてきました。

作中、心に届いた言葉の数々はこちら↓
タオさん。
「たとえひどい親だったとしても、大人になると、そのひどさを冷静に受けとめられるようになるんですよ。怒りでもなく、哀れみでもなく」
…「そうですねえ、わたしは学がないからうまくは言えませんけど、運命にやさしくなれるんですよ。大人になるっていうことは。」


森でキースの精霊とジョンが話をする場面で、ジョンが死んだ人間に謝りたいと言うのに対して、
「冥土の人間を呼んで心を癒そうなんてのは勝手すぎるぜ」…「罪は償うものにあらず、背負って生きるなり。」

ジョンに、排泄などなくたって構わないじゃないかと説く精神科医。
「人間にしろ、動物にしろ、生きていく上でしなければならないことなど実はひとつもないのです。読まなければならない本もなければ、会わなければいけない人もいない。…行かなければならない学校もない。権利はある。しかし義務はない。してはいけないことが幾つか存在するだけで、しなければならないことは何もないのです。あなたは「かくあるべし」という気持ちが強すぎる」

ジョンは一族の存在を感じた。…誰にも罪などなかった。もし罪があるとすれば、それは運命という名の罪だった。

天からの光をいっそう感じた。光は無言で「愛」をそそいでいた。それは絶対的な愛だった。

その先にはもう一つの「光」があった。その「光」は無条件の愛ではなかったが、希望に満ちていた。


作者のこういう人間観、世界観がとても好きです。
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  ◆◆

便秘・・・このことはこの本では外せないことなんだけど
なんとも・・苦しむ様がね(笑
面白い中にも癒されるものがあったよね。
ラストの森のシーンが忘れられない・・・
by: ほのこ * 2005/11/14 17:45 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

ほのこさん、こんばんはっ♪
>なんとも・・苦しむ様がね(笑
ここら辺は女性ファンを確実に逃しているよね(笑)
ラストの森のシーン、私もきっと忘れられないと思います。
すごく温かいものに包まれた気がしました。


by: そら * 2005/11/14 21:42 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

おはよう、そらさん。イン・ザ・プールとジョン・レノンと便秘。何か新しい世界が始まりそうだ。読んでみます。
by: saheizi-inokori * 2005/11/15 08:02 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

それから、梨木香歩さん、彼女の作品にも親娘の葛藤が出てきますね。対立しているのだが、いつか同じ道筋をたどっていることが分かるとか。傷を積極的に受け止めていく、と言うことも、罪を背負っていくことと通じるのかもしれませんね。謝ることは梨木さんの『裏庭」では薬をつけて表面だけきれいにしてしまう、ことになるのか、まあ、読んでから、ですね。さ、会社に行かなくちゃあ。
by: saheizi-inokori * 2005/11/15 08:16 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

saheizi-inokoriさん、おはよっ♪
>梨木香歩さん、彼女の作品にも親娘の葛藤が出てきますね
「西の魔女が死んだ」もそうでしたね。
まいとまいのお母さん、まいのお母さんとおばあちゃん、この辺の葛藤がさりげなく出てきていましたっけ。
そして、その続編で、お母さんともおばあちゃんとも違う道を、まいは見つけるんでした。
>謝ることは梨木さんの『裏庭」では薬をつけて表面だけきれいにしてしまう、ことになるのか
私も、そうなのかな~と思いました。『裏庭』は読んでいないけど。
じっくりゆっくり時間をかけて。それが、この作品中で語られている「大人になる」ということなのかもしれませんね。
でも、大人になっただれもが傷を飛躍のチャンスにできるわけではない。
ポンと弾けるというか、ピカッとひらめくというか、コツンと分かるというか、何かそういう「瞬間」が必要なような気がします。

…何だかつらつらと、昨日からそんなことを考えてました。
『裏庭』も読もうと思ったのでした。

梟さん、いってらっしゃい♪
よい日でありますようにv-315
by: そら * 2005/11/15 08:48 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

私もお便秘体質だから、人事ではないわ~。
とっても共感出来そうよ~^^
by: でねぶ * 2005/11/15 10:20 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

でねちゃん、こんにちはっ♪
でねちゃんなら大丈夫♪
眉をしかめず笑い飛ばしそうな気がするな~(*^_^*)
ん?これ、いちお、ほめてるつもり(^_-)-☆
by: そら * 2005/11/15 13:55 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

こんちは~。
『最悪』『邪魔』等読んでいてそれなりにおもしろかったのになぜか読まずに本棚にねむっているこの作品。ウランバーナの森、読んでみようと思いましたー。
by: mitutaka * 2005/11/15 23:33 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

mitutakaさん、おはよっ♪
読んだら感想聞かせてくださいね♪
読まずに眠っている本、私も船戸与一の本が1冊、眠っています。
いつも、読もうかな~と思いつつ、後回しになっています。
そのうち、あることも忘れちゃったりして('◇')ゞ
by: そら * 2005/11/16 08:11 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

読みました。もう少し奥田さんのもの読みたくなりました。ユーモアの底にある何かを読めるかな。それにしても読むもの多いなあ。<かくあるべし>ではないけれど。
by: saheizi-inokori * 2005/11/27 12:06 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

saheizi-inokoriさん、こんにちはっ♪
うんうん、ぜひとも奥田さんのほかの本も読んでみてください。
ま、「邪魔」(既読)がビミョーだったり、「ララピポ」(未読)がエ○かったり、いろいろあるようですけどねっ(^_-)-☆
by: そら * 2005/11/27 14:29 * URL [ *編集] * page top↑
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