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「陽気なギャングが地球を回す」伊坂幸太郎
2006 / 05 / 12 ( Fri ) 15:20:45
『オーデュボンの祈り』の登場人物がどこかに登場していないかな~と思っての再読です。結局、どこに登場しているのか、分かりませんでした(^^;)
ただ、響野の奥さん、祥子さんが『アヒルと鴨のコインロッカー』に登場した椎名くんのおばさんなのね、ということは分かりました!
祥子さんは、『陽気な…』の登場人物の中では、唯一常識的な方のような気がします。銀行強盗の打合せに自分のお店を使わせているあたりからして、「常識的」と言っていいのかどうか、分かりませんが。

この作品は去年の8月に読んでいます。ですからそんなに時間がたっているわけではないのだけれど、あらすじ、きれいさっぱり忘れてました

★★★☆☆

嘘を見抜く名人・成瀬、天才スリ・久遠、演説の達人・響野、精巧な体内時計を持つ女・幸子、の4人はシンプルかつスマートな銀行強盗。強盗をめでたく(?)成功させたにもかかわらず、逃げる途中で現金輸送車強奪犯の車と出会い頭の事故。車ごと、盗んだお金を取られてしまった。。。。

「確かこれ、、、」と思い出す間もなく、めまぐるしくストーリーが展開します。
会話がとても楽しいの。
そして無駄がない。
すべてが何かにつながっています。
その辺がとてもスリリングです。

伊坂さんの作品には、「救いようのない悪者」が必ず登場するように思いますが、ここでは、慎一(雪子の息子)の友達である薫くんいじめの場面で登場する、あの金髪男でしょう。ホント、こいつは性根が腐ってるとしか言いようがない。さぁーっと血の気が引く思いがしました。
「人間は後悔する動物だが、改心はしない。」という響野の言葉。
暗澹とした気持ちになります。

この作品の暗い側面といえば、タダシくん(成瀬の息子)の自閉症もそうなのかな。「暗い」というと語弊があるけど。現実の重みを感じさせられる側面、ですね。
タダシくんに対する久遠の理解が秀逸です。
「タダシくんは必死なんだよ、きっと。」
「必死?」成瀬は聞き返した。
「…突然、外国に放り投げられたようなもんなんだよ。コミュニケーションの手段を取り除かれているところからスタートするんだからね。とにかく得体の知れない世界で生きて行かなくちゃ行けない。だから、手探りでみんなと交流しようとしているんだ。僕たちの言葉を鸚鵡返しにしたり、文章を丸暗記したり。意味も重要性も分からないから、手当たり次第に記憶する。時折、堪えられなくなってパニックを起こす。」
「決めつけるなよ」成瀬は笑う。
「タダシくんはどうにか世の中のルールを探そうとしているんだ。だから、ようやく見つけたルールがちょっとでも変更されると戸惑うんじゃないかな。…」…「もし火星に僕たち全員連れて行かれたら、一番動揺しないのはタダシくんだよ。…タダシくんにとったら、手探りでコミュニケーションを取るという意味ではここも火星も変わらない」


以前の感想文で、「どこかゴツゴツした滑りの悪い地の文章」と書いたのですが、これ、原因が分かりました!
この作家さん、恩田陸さんと同じように、地の文章に過去形と現在形が混在しているんです。(今まで、読んでいる作品の文体なんか気にしたこともなかったな~)
恩田さんの文章は、そういう文体をとることで、時制があいまいになり、異次元の空間に連れていかれる感じになります。
一方伊坂さんの文章は、同じような形態をとることで、何だか「ト書き」を読んでいるような気分になっていたのです。
ト書きを読んでいる気分ですから、無意識のうちにではありますが、このドラマを作っている脚本家の姿を後ろに感じていたのですね。
登場人物が感じ、考え、行動していることはだれかが最初から決めている、みたいな、作品の上に存在している目。
それが、いつもは物語に身を任せて流れていくように本を読んでいる私にとって、滑りが悪いと感じさせたものなのかもしれません。
……実は、つい先日、ほかのブログさんのところで、伊坂作品と俯瞰する目についてお話をしてきたばかりです。
そんなお話をしていなかったら、私は自分の感じていた違和感を、やっぱり滑りの悪い文章だとしか受け取ることができなかっただろうな~。
いろんな人とお話をすることで、少しずつはっきり言葉になってくる、そんな感じがしています。

再読のくせに、何だかいろいろ書いてしまったぞ(^^;)
またあらすじを忘れた頃に読んでみたら(!)、そのときもいろいろ感じることがあるのかな。
この本は古本屋さんに売り飛ばさないで、手元に残しておこうと思ったのでした。
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*Comment  Thank you*
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  ◆◆

こんにちは。TBさせていただきます。
タイトルですが、私もよく間違えるんですけど、「世界」じゃなくて「地球」ですよ~
映画ももうすぐですね。楽しみです。
by: ざれこ * 2006/05/12 17:05 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

こんばんは!また、来ちゃいましたです。
まめなメタボラ更新、ありがとうございます(って、あなたの為じゃないって言われてる!?)。
そらさんの物凄い読書の量とは比べものにはなりませんが、数少ない小生の読書暦の中、好きだな~と思う作家殿がみごとにカテゴリーされていて感激です。基本的に文庫派なので、新作を読む機会があまりないのですが、伊坂幸太郎くんはいいよね。
この調子で、どんどん若芽の様に太陽にますっぐに伸びていって欲しいものです。

次回からの本の購入は、そらさんのコメント見てからにしようと心に決めているぽおでした。
by: ぽお * 2006/05/12 20:06 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

あ゛~~~っ!!!ざれこさん、ありがと~~~っ\(^o^)/
ホントだ。思いっきり間違ってる。。。。
ということで、さりげな~く修正しておきました♪
ご指摘、ホントに感謝ですv-353
いや~、私、この手のこと、よくやるんだわ。。。
『オーデュボン』と『オーデュポン』とか、『萩原浩』と『荻原浩』とか。。。。
気をつけなくちゃね~と思ったのでしたマル

で、気を取り直して映画(*^_^*)
今日から始まるみたいね。さっき『めざまし』で宣伝してた。
ド派手な雰囲気に仕上がっているみたいで、ちょっとビックリ!!でした。
by: そら * 2006/05/13 07:55 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

ぽおさん、おはよっ♪
>まめなメタボラ更新、ありがとうございます
いえいえ、ど~いたしましてです(*^_^*)
おつき合いいただきまして、こちらこそありがとうございます♪
ギンジのときに比べて、昭光くんの章はどうも淡泊になってしまいますが(冷たいとも言う^^;)、まぁ、目をつぶってやってくださいなv-8

>好きだな~と思う作家殿がみごとにカテゴリーされていて

おぉ~!それはとてもうれしいです\(^o^)/
ぽおさんが今読んでいる作品や、この作家さんだったらこれがオススメ!という作品も、よかったら教えてくださいな♪

>伊坂幸太郎くんはいいよね。
いいよね(*^_^*)
>この調子で、どんどん若芽の様に太陽にますっぐに伸びていって欲しいものです。
うはは♪彼の勢いはしばらくとまらないでしょうo(^▽^)o
by: そら * 2006/05/13 08:21 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

魔王、買いました。今週中に読むかな。
古本屋さんに売り飛ばさないで、私もそういうつもりでおいといて結局人にあげてしまうのです。部屋に置ききれないし。
by: saheizi-inokori * 2006/05/14 23:30 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

梟さん、おはよっ♪
『魔王』かぁ。まだ読んでないな~。
読んだらおもしろかったかどうか、教えてねっv-221
梟さん昔の職場に持っていってあげるんだよね。
たくさんの人に喜ばれて、本も幸せなんじゃないかな~v-353
by: そら * 2006/05/15 09:59 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

やっとやっと読めました。

とても期待していたせいか、肩すかし・・・とまではいかないけれど、それほどでもなかったです。。
ラストが「あぁ、これは、こういうことだろうな~」と、私にしては珍しく先を読んでしまい、それが当たっちゃったものだから、余計感動が少なかったような。。

文章&構成が確かに「荒削り」に感じました。
これより古い『ラッシュライフ』のほうが、無茶な展開もスムーズに読めたので、何だかとても残念です。
(あの映画館の回想シーンとか、どうしてそこに挿入するの?という印象でした)

決してキライではないです。でも、もっと何も考えない状態でニュートラルに読み始めれば、感想が違ったのかもしれません。重ね重ね、残念です。

映画も、観たい気持ちもありますが、このプロットでは薄い感じがしそう・・・。響野役が佐藤浩市さんというのも、う~ん。何となく若かりし頃の陣内孝則のイメージで読んでしまったので。。

話はかわりますが、『魔王』は、分かりにくいけれど良かったですよ。
伊坂さんの小説に出てくる兄弟は、どうしてこんなにイイ感じなのでしょう、と思いました。


by: nao * 2006/06/26 14:04 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

naoさん、あるある、こういうこと。
あんまり期待を持ってしまうと、逆に、ん???って感じになること。

>何も考えない状態でニュートラルに読み始めれば
これが結構できないんだよね~。
私なんか、とっても忘れっぽいので、また忘れた頃に読んでみようと思っている作品が結構あります。(で、そのうち何を読むつもりだったかも忘れてしまって、全然意味がないんだけどv-356

まぁ、残念だったけど、仕方ないよね。

>何となく若かりし頃の陣内孝則のイメージで読んでしまったので。。

naoさん、ナイスキャスティング!!!
すごくイメージがピタッときましたv-221

『魔王』分かりにくいの???(困)
じゃ、まずは『重力ピエロ』かしらねo(^▽^)o


by: そら * 2006/06/26 21:17 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

ようやく読みました~^^
面白かったです。
やっぱり伊坂さんは最高ですね!
無駄がないって言うのがわかります。
慎一君を助ける場面や死体発見。
強盗事件に関しても文章にも、彼らの動きにも無駄がなかった^m^
映画も気になります。
by: 苗坊 * 2006/08/26 21:13 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

苗坊さん、おはよっ♪
苗坊さんがまだ読んでなかったと伺って、ちょっと意外に感じました。
苗坊さんの好きそうな作品なので、とっくに読んでると思ってた(*^_^*)
映画ね、私も気になりながら観てません。
そのうちビデオで出るかな~o(^▽^)o
by: そら * 2006/08/28 08:51 * URL [ *編集] * page top↑
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