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「レディ・ジョーカー」覚書
2006 / 05 / 25 ( Thu ) 13:51:23
しつこく『レディ・ジョーカー』です(^^;)
ど~して私は感動しなかったのか???という何だか人を食ったような、訳分からんギモンは、とりあえずひろさんのコメントで着地点を見つけたので、終了!

で。
この本は図書館から借りた本です。(気前よく2週間の延長を許してくださった図書館さん!ありがと~♪)
返却する前に、読みながら付箋を貼った文章を残しておくことにします。
秦野医師が西村から部落差別について聞かされている場面
柵を作る側に事の理解が足らず、柵を盾にする側に妄執が消えない限り、この不毛な応酬は続くのだろうか。

社会部の根来記者が政治ジャーナリストと会って。
Aを批判しBを提案し、Cという結果を予測する政治ジャーナリズムには、場当たり的な論旨の明快はあるが、懐疑というのがないのだった。…個人的には、明快であることが常に正しいのかという疑問は、今もあった。

合田刑事が思うこと。
何が、と特定できない隠微な不安が警察組織のすみずみに満ちている。それが緊張の空気をつくり、ときにヒステリーやノイローゼになって噴き出す仕組みはこんなふうにできているのだ。

城山社長が一日の社長業を終え、レディ・ジョーカーに電話をかける前に。
今日もまた、朝から休みなく動き回って、必要な仕事はすべて滞りなく片づけたが、…今日という日にやった仕事の1つ1つが自分の手を離れて、どこかへ消えていくような気がするのだった。思えば三十六年間、要はそうした繰り返しだったが、企業で働くというのは、本質的にそういうものなのだろう。そこに責任の重さが加わっても、片づけては消えていく繰り返しに、変わりがあるわけではなかった。

合田が帰宅したら、加納祐介が上がり込んでいて、しかも合田のワイシャツにアイロンをかけていたとき。
何を言ってもかなわない意思と忍耐の化けものを相手にしていると、外で溜めてきた憤懣も顔色を失うといったところで、合田は義兄と過ごしている間にいつも、気分が少し落ち着いてくるのだった。…この男は自分にとって何者だと自問する…。

赤いビールが出たときの城山社長
今頃になってはっきり分かる自分自身の何重もの無責任と、それに対する慚愧の念が含まれていた。………90年に辞任をしなかったのは、保身のためではなく、辞任を考えてみることすらしなかったからだが、それはひとえに死者二人を悼む心に欠けていたためであり、端的に人間性の問題であり……そうして城山は、この期に及んで、もっと重大な、企業トップとしての責任のほうは慎重に回避したのだった。…「会社のために死ぬのか」という的はずれな思考に堕し、その代償のように「姪の親子を守らなければ」という結論をひねり出した結果、本当に取るべき道を踏み外した事実については、思いを馳せるのがいよいよ難しくなったというのが正直なところだった。…………
初めから回避し続けてきた企業トップとしての途方もない罪の大きさを、今あらためて引き寄せながら、城山は、「回心のときは来るか」と自問してみた。その応えは神から与えられるもので、城山は応えを待つしかないのだが、それでも神を待ち望む自分の思いは、これまでの人生でもっとも強かった。…神を呼び求めている自分にちょっと驚き、慰められた。


合田が半田の声をテープで聞いた後。
事件の見通しも、捜査の行く末も、組織や制度の現状も、何もかもが砂を噛むような無力感をぶら下げていたが、それを眺めている自分自身の無気力こそ、一番の危機だということは分かっていた。…毎日毎日「仕事に打ち込めば忘れる」と自分に言い聞かせてきたが、このまま、自分はほんとうに刑事を続けられるのかと、合田は今もまた自問した。イエスという声は聞こえなかった。

合田、義兄の作ったジャガイモのソテーを食べて。
「飢えてたのか」と義兄は笑い、「飢えてた」と応えて合田も笑った。

城山。レディ・ジョーカーとの最後の取引の前に。
企業を負う城山の方が、そうやって1つ1つ事務をこなしている間、もう1人の城山は内を向き、定まっているようないないような自分の足元を見つめて、そうだ、自分は今、手つかずの引っ越し荷物を前に座り込んでいるようなものだと考えたりした。今は何がどこにあるか分からない惨状だが、引っ越し荷物というのは、いずれ片づけなければならず、片づくのも分かっている。…事件終息後にいずれ精算しなければならない社内的な責任問題や…、いずれも激烈な変化ではなく、きわめて粛々として穏やかな以降だった

加納が合田に泣きついたとき。
「雄一郎。政治や経済のシステムの根幹に近いところで流れる不正な金については、それが表に出ることを阻む暴力が働くんだ。システムを守ろうとする暗黙の膨大な力だ。」…………………他人ならば心情を思いやるだけで済む。しかし義兄については、思いやるだけでは済まない何者かだということを、合田は今、考えていた。…男1人が自分にとって何者なのかと考えた…考える端から混乱し、臓腑が妙に騒ぐような、頭の芯が少し熱いような、何とも言い難い心持ちに陥って……。

半田のことを考えながらヴァイオリンを弾く合田。
半田さん、あんたも同世代なら、大体想像はつくだろう?…………
半田さん、分かるか。…この和声や旋律は、これ以上足すものも引くものもない。純粋な情熱に満ちた魂の詠嘆だ。この響きは、…人間はまだ純粋でいられることの証だ。人間の魂を救う響きだ、生きる価値を人間に教える響きだ…………
半田さん、これはあんたの知らない響きだろう。……………豚のような人生でも、人間が純粋でいられせることを知ってる俺の方が、あんたよりは少しは救われている。


仕事が心底嫌になった合田。加納の家に転がり込んで。
激烈な慚愧の念とともに涙が溢れてきて、止まらなくなった。たんに仕事に興味を失いかけている以上に、今自分は、この警察という組織に嫌悪を感じているのだと思った。…「祐介!」と大声で義兄の名を呼んだ。「辛いんだ、何とかしてくれ!…」…「納得する必要はない。辛いことが、辛くなくなることはない。自分の腹に納める場所を見つけるだけだ。」…「いや、人生のいろんなことだ。君は、俺を聖人だと思っていたのか…?」

ヨウちゃんが物井に。
「値段のつけられないものは、いっぱいある。たとえば、こうして蒲鉾食ってる、この生活」

合田が半田と対峙して。
「ゆうすけ…」

終章の最後になると、、付箋を貼る暇がありませんでした。
それにこの本、418ページあたりから、もうページが取れそうになっているんだよね。
ふむふむ、皆さんこの辺は何度も読み返してみたようです(笑)

終盤近く。
久保が目の当たりにしたのは、人を吸い込むように白日のもとで虚ろな穴を開けている左目の白濁であり、健常な右目の、憎悪をたたえて震える黒い穴であり、その二つの穴の間に、この世の悪意と混沌の一切を飲み込む虚空が据わった、鬼気迫る何者かの顔だった。
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  ◆◆

そらちゃん
評論家になれる!
これだけ分析されちゃうと作家は怖いかも?
深読みしているなぁ。。。
すごい。
by: 一陽 * 2006/05/26 06:55 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

一陽ちゃん、おはよっ♪
ただ、本を写しただけだよぉ(*^_^*)
高村さんの作品は、何かしら思い入れができてしまうのだ。

イタリア人のマンゾーニはお元気?o(^▽^)o
by: そら * 2006/05/26 10:51 * URL [ *編集] * page top↑
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