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「蒲公英草紙」恩田陸
2006 / 10 / 17 ( Tue ) 10:53:15
常野物語、第2弾。
私は第3弾の『エンド・ゲーム』のほうを先に読んだのだけど、
『エンド・ゲーム』より、常野一族の息吹を感じられた物語でした。

ゆったりと穏やかで、高貴な空気に包まれた作品です。

★★★★☆

時は日清戦争後。福島に近いとある農村地帯。
ここは、古くから槇村家を中心に、暮らしていた集落だった。
主人公峰子は、病弱な槇村家の娘、聡子の話し相手としてお屋敷に出入りする。
聡子は、美しく聡明で、だれからも愛されていた。
ある日、お屋敷に春田一家がやってくる。
春田葉太郎、奥さん、峰子の2つ年上の紀代子、1つ年下の光比古。
彼らは常野の人であり、
しまい、響かせることが仕事だった。
春田一家を迎え入れたお屋敷に、ゆったりと時間が流れる。
そして雨。。。。



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語り口が昔ながらの美しい女言葉であるせいか、
古めかしくも懐かしい響きのある作品でした。

「古き良き日本」の姿ってこういうものなのかなと思わせるような雰囲気に満ちています。原風景という言葉が思い浮かびます。

読んでいて安らぎを感じ、まるで心地よい音楽を聴いてるようで、いつまでも浸っていたくなります。

なのに、
最終章、「運命」に入る直前、峰子は、

「あの美しい夏の記憶だけをずっと味わっていたかったのです。
けど、もうここまで来てしまいました。ここまで来てしまったら、私には逃げることはできません。
私は語らなければなりません。あの運命の日のことを。」

と言い出します。
えっ、やっぱりこのまま終わるわけにはいかないのね。。。
先に進んで劇的にこの世界が壊れてしまうことが恐くて、
思わず本を閉じました。
…ラストを前にして、「見たくない、知りたくない」と思うなんて、こんな体験、初めてかも。

1日たって覚悟を決めて(大げさだ^^)、最終章を読みました。
もうドキドキ。

…こみ上げるものがありました。
理屈じゃありませんね。ただ心打たれます。

でもその一方で。
聡子の行為とは離れたところで。
子供の価値観は教育によって、育て方によって作られることに、
何かチカチカと「怖さ」も感じてしまいます。
そしてさらに、こういう美しい精神がその後の戦争にうまく利用されたことを思い、やり切れない気持ちにもなったのでした。

この作品は第2次世界大戦終戦の日で物語が終わっているけれど、
『光の帝国』の『大きな引き出し』の中で、
光比古の「響かせる」能力が、年月を経て光紀に受け継がれていることに、
峰子が「私たちが作っていくはずの国」と思う国は、
まだ希望があるのだと思えて、
何やら救いを感じました。

ま、待ってるだけじゃ、やって来ないだろうけどね。
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*Comment  Thank you*
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  ◆◆

こんばんわ^^
何だかTBが出来るようになって、改めて嬉しいなぁと感じております。
何だか恩田さんデーが続きますね。
この作品は、素敵ですけど切なくもありますよね。
聡子が本当に美しくて儚くて、でも芯の強いしっかりした子だなぁというのを感じました。
峰子も可愛らしかったし。廣隆と幸せになってほしかったです。
私も、ラストは読みたいけど読みたくない。みたいな感覚になりました。
素晴らしい作品でしたね^^
by: 苗坊 * 2006/10/17 16:04 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

そらさん、おはようございます♪

よく『常野物語』を評するときに
「美しくて、せつない」などと書かれていますが、
『蒲公英草紙』は、その表現がぴったりですよね。

この本、なんとなく宮部みゆきさんの『蒲生邸事件』に似ている気がします。
古き良き時代を、上手に表しているな~と思います。

ラストは、哀しいけれど、受け入れられました。
本音は私も苗坊さんと同じく、峰子と廣隆には上手く行って欲しかったのですが、
でもこのシビアなラストが、不思議とキライではないのです。

それにしても恩田陸さんの小説は、その独自の世界に
圧倒的な力で引っ張っていってくれますね。
いつも引き込まれます・・・
by: nao * 2006/10/18 08:48 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

苗坊さん、おはよっ♪
>何だかTBが出来るようになって、改めて嬉しいなぁと感じております
ねっ♪私もうれしいなぁと思います。けど、何が悪かったんだろうねぇ????

>峰子も可愛らしかったし。廣隆と幸せになってほしかったです。
この2人、不器用でかわいかったよね。

>この作品は、素敵ですけど切なくもありますよね。
切ないかぁ。最終章が、聡子のドラマから一気に終戦まで走ったのが意外でした。
戦争をたくさん挟んでしまうと、やっぱりハッピーエンドとはいかないね。
おとぎ話の世界から、急に現実を見せつけられたような、そんな気にもなったけど、(読んでいて、『二十四の瞳』を思い出した。あれを読んだときの感じにちょっと似てるなぁなんて思いました。)
私は『大きな引き出し』を読んでいたから、何だか救いも感じたのでした。
私もこの作品、好きよ♪


by: そら * 2006/10/18 10:46 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

naoさん、おはよっ♪

宮部みゆきさんの『蒲生邸事件』に似てるの?
その本、うちにある!タイムスリップものかぁと、放り出していましたよ('◇')ゞ
教えてくださってありがとう♪ちゃんと読んでみよっo(^▽^)o

ラストかぁ。そういえばこの作品、恩田さんの作品の割にはぼやけないラストでしたねぇ(笑)
少なくともハテナは飛ばなかったなぁ。
このラスト、すごくいろいろ考えてしまいそうです。
日本人の精神性と戦争への道、とか。
この国の進むべき方向、とか。
だけど、そこまで考えるとこの作品の雰囲気ぶち壊しという矛盾。
好きとか嫌いとか、そういう感情の入り込むようなラストではなかったような気もします。

>恩田陸さんの小説は、その独自の世界に
圧倒的な力で引っ張っていってくれますね。
やっぱり好きだわ、恩田さんの世界e-266と思ったのでした。

by: そら * 2006/10/18 10:58 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

どうもー

なかなかによかったです。
常野モノでもこの話は発展していけそうですよね。
「エンド・ゲーム」も気になります。

by: じゅん * 2008/10/31 17:06 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆No title◆

じゅんさん,どうも~♪

この作品,何だかとってもたおやかで,1本芯の通った印象が残っています。

『エンドゲーム』かぁ。
雰囲気がガラッと変わりますよ~。
じゅんさんの感想が楽しみだわ♪
by: そら * 2008/11/02 14:18 * URL [ *編集] * page top↑
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