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「さよならバースディ」荻原浩
2006 / 10 / 27 ( Fri ) 14:43:02
おもしろく、あっという間に読みました。

★★★★☆

霊長類研究センター。
ここにはボノボ(ピグミーチンバンジー)のバースディが飼われていた。
バースディに言語習得をさせるプロジェクト、バースディ・プロジェクトは、主人公田中真を初めとした研究員の熱心なかかわりの中、順調に進んでいた。
田中真と、同じ研究スタッフの藤本由紀とは、ごく自然に、けれども密かにつき合っている仲。
真の人生最良の日の次の朝に、最悪のことが起こった。。。。



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田中真の学者肌なところや、誠実な人柄、生真面目な性格、そして俗世間への関心の薄さ、なんかがとても好印象でした。
浮世離れしていて、でも研究には情熱を持っていて、どこの研究室にも1人は必ずいそうなタイプです。
こういう人には幸せになってもらいたいなぁ。。。

真とバースディの交流が、何とも温かく、最後は切なかったです。

中盤までのバースディを巡る日常が、どこかしら不穏な空気を醸しつつも穏やかでゆったりとしています。
「スタディー」と言っても、バースディは遊んでいる気分なんだよね。
その辺が人間の幼児と同じようで、思わず笑みがこぼれます。
真はそういうバースディに対して、子供と同じで褒めることが大事だと、何度も言っています。
いや~、そうだよなぁと我が身をちょっと反省。

中盤、大きくドラマが動きます。
ここで私、実はサイコホラーに突入するのかと思ってしまった。
真の夢に引きずられてしまいました。
なのでこの後、バースディがどう事件とかかわっているのか、
すごく関心があったのだけれど。
まぁ、終わってみれば、期待していたほどのことはなかったかな。
私が勝手に期待したのがいけなかったのです。。。ハイ。

中盤以降の真の悲しみや苦しみ、バースディに託した実験などが、何というかとっても刹那的で、それが逆に、リアリティーがありました。
本当に悲しいと、現実から逃避したり、どこかにすごく期待したり、普通ではいられない。
人間、こんなんだろうな~なんて思いました。
そんな滅茶苦茶な真を、作者は優しく見守っている、そんな感じを受けました。

真が辿り着いた真実。
…なんだかなぁ。
こういうのを「ありきたり」だと思う私の神経は、
随分と世俗にまみれているような気も。。。。
そこまで追い詰められなくてもよかったのに、由紀。。。なんて思ってしまいました。
描かれている「悪人」も、ある種とっても単純で、どこか笑える人たちであったのは、まぁご愛敬。

全編通してバースディがかわいくて、けなげで、それだけで十分という作品です。

真の下した判断は、バースディにとって幸せなものになるんだろうか。
そうなって欲しいけど、「ヒト」だと思っているバースディに、新たな混乱が必ずあるよね。
ヒトに翻弄されたバースディが、哀れです。
せめて。と思います。
せめてこの先、幸せに暮らせますように。

作品からは離れてしまいますが、この言語習得プログラム。
ちょっと興味を引きました。
いや、猿のことはど~でもいいんだけど(!)、日本の子供は英語を学習しなければいけないのよね。
英語を習得するために、と~っても困難を感じる子が、このプログラムのように、実物と合わせてキーボードを押すというやり方で、毎日何時間もやり続けたら、
少しは単語、覚えるんだろうか。
1か月かかって覚えた単語は、もう忘れないんだろうか。
まぁ、中学生にもなったら、こんな子供っぽいこと、やり続けることのほうに無理があるか。。。
幼児の早期教育なんかには、有効なのかもしれない。
幼児の早期教育が必要なものかどうかはともかくとして。

この実験って、言葉を獲得させることに一生懸命だった研究室の方々には悪いんだけど、何の意味があるのかな?なんて思ってしまった。
猿がどれだけ人間の言語を解するかということを調べて、その後、どうするんだ???
実験された猿が言語を理解するように教育されたとしても、
それで、同種の猿の代弁者になれるとも思えないしね。
何をどうコミュニケーションとろうとしているんだろう?なんて。
猿とお話しできれば楽しいね程度の話なのかなぁ。。。。
人間は、人間ともうまくコミュニケーションとれないことも多々あるというのに。
ゆくゆくは障害児教育に役立てたいという目標があるみたいだったけど、どう役立てるんだろう?
例えば言語獲得の過程において、実体験は大事だとか?無理なく楽しく学ばせる環境が必要だとか?できたことは褒めて、やる気を育てるだとか?もっと具体的に、○語取得後は動詞も獲得が可能だとか、そういう統計的な数字かな?
真は、自分の研究に情熱を持っていて、だれにでも聞かれればきちんと丁寧に答えようとする人だったから、その辺の話も聞きたかったなぁ。
まぁ、本筋には何の関係もない話だから、真がそんな話をし出したら、ストーリー展開上、「腰を折られる」感が強くなるかもしれないけれど。
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*Comment  Thank you*
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  ◆◆

はぢめまして。
すっごくまぢめで濃密なコメントに感心してしまいました。
荻原さんは好きな作家の一人ですが、これはその中でも異色の部類に入るでしょうね。
私の好みはどっちかというと、おふざけ半分・まぢめ半分の初期の作品です。
もちろん直木賞を逃した「明日の記憶」なんかも、いいのですが。

ではまた、寄ってみます。
by: チョロ * 2006/10/27 17:22 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

チョロさん、はじめまして♪
えっ。ま、まぢめ?の、濃密??
なんか、過分なオホメのお言葉、ありがとです('◇')ゞ

荻原さんって、ホントにいろんな作風のものを書きますね~。
次は何だ?と楽しいです。

>私の好みはどっちかというと、おふざけ半分・まぢめ半分の初期の作品です。
『なかよし小鳩組』とか、『オロロ畑…』とか?
うん、あれもおもしろかった!私も好き♪
あと、『ハードボイルド・エッグ』なんかも、私は好きです♪
『明日の記憶』は、まだ読んでいないけど、
やっぱり「いい」のね。
機会があれば読みたいです。

また、いつでも遊びに来てくださいね♪
お待ちしてます。
by: そら * 2006/10/28 09:08 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

こんばんにゃ。

息子の文化祭から帰ってまいりました。

ロードス島読み終わったので、明日からだんなお奨めの
『ららら科学の子』って本を読んでみようと思います。
by: 一陽 * 2006/10/29 20:57 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

晴れ女の一陽ちゃん、おはよっ♪
文化祭、楽しかったかな?

お忙しそうなのに、読書が進んでいますね~\(^o^)/
『ららら科学の子』って、アトムとは関係ないお話なのね。
おもしろかったら教えてね♪
by: そら * 2006/10/30 10:00 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

どうもーー

荻原さんのコメント読みましたが、
ミステリーの部分より他に言いたいことがあったって聞くと、
なんか納得できるような感じもします(笑)

ところで、研究は意味あるんじゃないすかねー?
主人公たちのように、「可能性」を探るって方向にいくと
研究の意味がブレてしまいそうですよね。

by: じゅん * 2006/10/30 17:44 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

じゅんさん、どうも~♪
>荻原さんのコメント
じゅんさんとこで紹介していたインタビュー記事だね。
私も読んだ。
荻原さんって、声高に主張しない人だな~なんて思いました(笑)
後から荻原さんの話していることを聞いて、ごめ~ん、そこまで考えてたの~ということが、ときどきあったりなんかします(^^;)

>研究は意味あるんじゃないすかねー?
じゅんさんおっしゃるのは、医学分野とか、生物学分野における、純粋な(?)猿の脳の研究という意味でかな?(後の文章から推測するに^^;)
主人公たちは心理学研究室の人たちだったから、
何の意味があるのかな~なんて思ってしまったんだけど。
う~ん、やっぱり情熱を持った真に語ってほしかったな~(*^_^*)



by: そら * 2006/10/31 09:46 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

こんにちわ。私も昨日この本を読みました。
レビューを拝見して「真が辿り着いた真実。…なんだかなぁ。」の部分にとても納得でした。なんとなく荻原さんらしくない話だったように思います。
by: るい * 2006/12/10 13:45 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

るいさん、初めまして♪
>「真が辿り着いた真実。…なんだかなぁ。」の部分にとても納得でした。
あはは!ありがとです(*^_^*)
何も死ぬことなかったのにねぇとか、あまりにもありきたりだねぇとか、そんなことを知るためバースディはあんな大変な思いしたのかねぇとか…まぁ、なんだかなぁだったのですが('◇')ゞ

>なんとなく荻原さんらしくない話だったように思います。
そうなの?
彼の代表作『明日の記憶』を読んでない私には、まだ「らしさ」が分かんないかもしれません(^^;)

また、遊びに来てくださいね♪
お待ちしてます\(^o^)/
by: そら * 2006/12/10 15:39 * URL [ *編集] * page top↑
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