スポンサーサイト
-- / -- / -- ( -- ) --:--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書く事で広告が消せます。 |
「聖なる黒夜」上・下 柴田よしき
2006 / 11 / 08 ( Wed ) 22:30:49
RIKOシリーズでも、ハナちゃんシリーズでも登場した、山内練の物語。
「濃ゆいお話」でした。 ★★★★☆ ほかにも、麻生や野添奈美先生など、ほかの作品でお目にかかった方々が登場して、柴田さんの頭の中ではこの人たちがちゃんと息づいているんだなぁなんて思います。 お話は、春日組幹部韮崎誠一が殺されたところから始まります。 用心深かった韮崎が、なぜバスタブで切り殺されたのか。 ミステリーとしてのメインストーリーはここにありますが、韮崎の「片腕」あるいは「恋人」として登場した山内練と、山内練の人生をここまで変えてしまった麻生龍太郎の山内練への思いが、やはり中心になっています。 私的には18禁の作品です(*^_^*) 高校生のときに栗田薫の『真夜中の天使』を読んで以来の、はっきり「そっち系」のお話でした、はい。 山内練。ほかの作品から何となく彼の人生を察することができてはいたのですが、いや~、ここまでハードだったなんてねぇ。。。 特に上巻がエグかったです。 麻生と及川の「灰皿」の場面なんか、私の許容範囲を越えていました。恐かった。 あ、でもほかの場面では、「これってどういう合体なんだ??」なんて結構冷静に読んでる自分も発見したりして。 さすが高校生のときとは違うわ~なんて、妙なところで自分に感心。 練が「自殺したくなったのは、チョコレートがきっかけ」という話。朝日新聞連載の『メタボラ』でも、深い絶望の果てにある、ほんの小さな出来事が自殺に向かわせるという記述がありましたが、すごく重みのあるエピソードで、胸をつかれます。 練のきっかけは、常識的に考えると、決してほんの小さな出来事なんかじゃないのだけれど、練の毎日の中ではありふれたことだったし、何も今、急に自殺を思い立たなくても…の出来事だったと思うけど、 あ゛~、でも、そんなことが日常だったということこそが、とっても悲惨。何とも言葉がありません。 この作品、解説には冤罪を描いたものだとか、少数派を描いたものだとか、いろいろ書かれていましたけれど、 私にとっては、山内練の人生そのものを描いた作品のような気がしています。 他人によって狂わされた人生を、自分のものとして生きていくしんどさが、全編に流れています。 何がいいとか、悪いとか、何を問題提起したいとか、そういうことを描いているのではなく、 ただ、山内練を描いた作品だと。 まぁ、そういう意味で、「番外編」の感がある作品でしたが、 この作品のおかげで、私の中で、山内練がRIKOと並んで居座ってしまいました。 …居座ってくれるのはいいんだけどね。私、どうしていいか、分かんないよ。。。 文庫版では、サイドストーリーとして、『歩道』と『ガラスの蝶々』が収められています。 特に『歩道』は、作者自身はこの作品を載せたくなかったんだろうな~と思えるようなあと書きがあり、何だかちょっと複雑でした。 こうやって発表してしまえば、作者がどんなに「例えばこんなこともあるかもね」ベース程度で描いていても、「これが正解」になるんだよね。 それは作者の意図と反することであったなら、載せなかったほうがよかったんじゃないかな~。 編集さんに押し切られた感の強い柴田さんが、かわいそうに思えたのでした。 【こちらの記事も♪】 徒然花茶 本を読む女。 スポンサーサイト
|
|
「愛してる者をわざと傷つけて、遠ざかるように仕向けたり、殺してしまおうとしたり… 俺には分からん」 聖なる黒夜〈上・下〉柴田 よしき (2006/10)角川書店ハードボイルドであり、ミステリであり、そして恋愛 徒然花茶【2007/03/25 23:23】
聖なる黒夜発売元: 角川書店価格: ¥ 2,100発売日: 2002/10売上ランキング: 173971おすすめ度 posted with Socialtunes at 2007/04/01私は単行本で読みましたが、文庫が出ています(上下巻)。暴力団春日組の大物、韮崎が殺害された。ホテルの一室で浴槽で首を切られて。警 本を読む女。改訂版【2007/04/09 23:28】
|
* HOME *
|