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「死神の精度」伊坂幸太郎
2007 / 02 / 17 ( Sat ) 22:00:12
作者の、どこか乾いた文体にマッチした作品だったと思います。

★★★★☆

死神、千葉(仮名)は調査部所属。担当の人間の死が「可」か「見送り」かを上に報告するのが仕事。
今日も今日とて、担当人間のもとへ行き、観察する。
死神が担当できるのは、事故や事件で起きた死についてのみ。
病気や自殺は担当外。
睡眠や食事は必要なし。
うっかり人間に素手で触ると、そいつは意識を失い、1年寿命が縮まる。
俺たち死神は、人間に対する同情や畏怖などはまったくないが、彼らが作りだした「ミュージック」を偏愛している。
死神に会いたければ、CDショップの試聴コーナーに行くといい。



死神千葉は、(当たり前だけど)浮世離れしていて、(当たり前だけど)達観していて、(なぜか)ミュージックを愛している。
人物造型(?)が秀逸です。
全編にわたり、うんうんと思えるせりふや、なるほどね~と唸りたくなるせりふが散りばめられていて、
短編集の薄い本ではあるけれど、
いい本に出会ったなぁと思える作品でした。

『重力ピエロ』の春の特別出演や、
死神の、あまりにレトリックを解さないずれた会話など、
あれやこれやで楽しませてくれます。
楽しいだけではなく、不条理な死をも含めたさまざまな「生」にいとおしさを感じます。
そして最後になって、この物語に長い長い時間が流れていたことに気づきます。
全部独立した話だと思っていたものが、1つの大きな流れでつながっているんだなぁと、その収束の仕方も、何だか泣きそうにいい感じ。

どれもステキな話だけれど、『旅路を死神』と『死神対老女』がとても好き。
良質という言葉がぴったり来ます。

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…滝を、茫然とした面持ちで見つめる。ほどなくして、私の顔を見ると、「これってよ」と言った。「人の一生みてえだな」
「何だそれは」以前同僚の死神が言っていたのを私は思い出した。人間は、何を見ても人生と結びつけるのだ。「ここはよ、川の上流、スタート地点だろ。それがこの滝だ。人も多いじゃねえか。それってよ、俺たちが生まれた時と似てねえか?俺たちも生まれた時はよ、こんなんだったんだろ?お祭り騒ぎでさ、人にも注目されてよ。みんなに喜ばれて。でも、それがどんどん流れていくうちに、今見てきたみてえな、地味で、ゆらゆら流れているだけになっちまう。何か、似てねえか?」
私は首をかしげ、彼を見る。それから、二時間以上かけて歩いて、眺めてきた緩やかで美しい渓流の姿を思い返した。水位を保ち、穏やかな呼吸を繰り返すように、ただ流れていた川の光景だ。「下流のほうも、悪くなかったと俺は思う」私はそう言った。(旅路を死神)

「わたしは凄く大切なことを知ってるから」
「それは何だ」
「人はみんな死ぬんだよね」
「当たり前だ」
「あんたには当たり前でも、わたしはこれを実感するために、七十年もかかっているんだってば」(死神対老女)

「特別なことではない」私は素直に答える。……
「そう、全然、特別じゃない」老女はなぜか嬉しそうに言う。「でも大事なことだよね」
「特別ではないのにか」
「たとえばさ、太陽がそらにあるのは当たり前のことで、特別なものではないよね。でも、太陽は大事でしょ。死ぬことも同じじゃないかって思うんだよね。特別じゃないけど、まわりの人にとっては、悲しいし、大事なことなんだ」(死神対老女)

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*Comment  Thank you*
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  ◆◆

こんにちは^^
良いですよね~伊坂さんの作品は本当に。
千葉さんも魅力的ですけど、連作短編になっているのがまた良いです。
「死神対老婆」は感動でした。
何だか続編もありそうな感じで、出てくれないかな~と期待しています。
by: 苗坊 * 2007/02/18 10:23 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

こんにちは。
連作短編で「生」と「死」について、
バリエーション豊かに描いていた作品でしたね。
「死神対老婆」がいい締めくくりでした。
普段はクールなのに、会話になると
変な日本語を使う千葉さんのギャップが笑えました。

相互リンク、ご了解ありがとうございます。
私のブログリスト(リンク集)に登録させていただきました。
ご登録、お待ちしていますね。
by: 藍色 * 2007/02/18 14:01 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

苗坊さん、こんばんはっ♪
『死神対老女』、おばあちゃんがよかったね。あんなふうに達観できればいいなぁなんて思いました。
死神も、おばあちゃんに会えて、晴れた空が見れて、よかったよねぇ。
>何だか続編もありそうな感じで、出てくれないかな~と期待しています。
続編かぁ。それもありかも。
私も期待してしまおう♪
by: そら * 2007/02/18 20:53 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

藍色さん、こんばんはっ♪
>普段はクールなのに、会話になると
変な日本語を使う千葉さんのギャップが笑えました。
なんかね、私、千葉のレトリックの分からないぶりが、
あんまり笑えなかったな。
いや、すごくおかしかったんだけど、
千葉が人間だったら、、広汎性発達障害とかいわれるのかなぁなんて、余計なことを感じたりしたもので(^_^;)
>ご登録、お待ちしていますね。
あ、ごめんなさい('◇')ゞ
なんか管理が悪くって、最近ブックマークをよく使ってた。
そうだね。そろそろ新しくしなくちゃかも。
by: そら * 2007/02/18 21:00 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

そらさん、こんにちは~。

私も『死神と老女』が大好きです。
あぁ、あの時の・・・という感じでしたね。
ラストにこの物語が入って、
人生の大きな流れを感じた気がします。
塞翁が馬、というか、人間の力強さを感じました。

千葉自身には、あまり魅力を感じなかったけれど、
彼の一人称を使ったところが、成功のポイントだと思いました。
人間を見つめる、傍観者としてのある意味冷めた目線、
淡々とした口調が、
他人にとっては何てことない一人一人の人生を
逆に際立たせていると思います。

ちなみに、千葉くんは『魔王』にも出てくるよん。
by: nao * 2007/02/19 09:48 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

naoさん、こんにちはっ♪
>ラストにこの物語が入って、
人生の大きな流れを感じた気がします。
だね!そうかぁ~って感じでした♪

>彼の一人称を使ったところが、成功のポイントだと思いました。
私もそう思います。
あの傍観者ぶり、死神だから許せるんだよね(笑)
彼の目を通すことで、一人ひとりの人生が、かえって愛おしく感じられました。

『魔王』かぁ。あんまり読みたいって気にならなかった作品だけど(!)読んでみようかなぁなんて思いました\(^o^)/
by: そら * 2007/02/19 15:19 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

どうもー
いやーコレはスキですねー伊坂さんの中でも。
本文からの引用いいですねー
どんな雰囲気だったか思い出しました。

千葉はスキなキャラです。
また、登場してほしいですねーメインで。
by: じゅん * 2007/02/20 13:26 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

じゅんさん、どうも~♪
>いやーコレはスキですねー伊坂さんの中でも。
私もそう思う!いいよね~\(^o^)/

本文からの引用、やり始めたら思いの外長くて、途中でめんどくさくなったけど(^^;)
なんか好きだったんだよね。ここ。
雰囲気、思い出せた?それはよかった(*^_^*)

うんうん、私も、メインで登場を望みます。
千葉には、思う存分1人語りをしていただきたい(*^_^*)
by: そら * 2007/02/20 20:53 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

>『魔王』かぁ。あんまり読みたいって気にならなかった作品だけ>ど(!)読んでみようかなぁなんて思いました\(^o^)/

『魔王』は、政治的なメッセージがこめられているので、
ほのぼのした雰囲気のある他の伊坂作品とは一線を隔していますが、
私はかなり好きです。
兄弟愛、にヨワいかも・・・
by: nao * 2007/02/22 09:18 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆No title◆

こんにちは~。
本当、伊坂さんの文体が作品世界に凄くマッチした作品ですよね。
連作短編ですけど、1編1編ごとに違った味わいがあり、しかも、そこで張られた伏線が最後の「死神対老女」でしっかりと生きてくる、という伊坂さんの「巧さ」もすごく感じました。
by: たこやき * 2008/04/12 08:32 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆No title◆

たこやきさん,こんにちはっ♪

>伊坂さんの文体が作品世界に凄くマッチした作品ですよね。

ね~っ♪
この映画,まだやってるのかなぁ。
何だかついつい忘れていたけど(!),たこやきさんのおかげで思い出したぞ\(^o^)/
見てみたいなぁ♪
by: そら * 2008/04/12 18:30 * URL [ *編集] * page top↑
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