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「シーセッド・ヒーセッド」柴田よしき
2007 / 02 / 21 ( Wed ) 14:07:16
第1弾『フォー・ディア・ライフ』
第2弾『フォー・ユア・プレジャー』
に続く、おなじみ花咲慎一郎、通称ハナちゃんの探偵物語。
今回は流血沙汰もなく、おとなしめです。

★★★☆☆

無認可保育園「にこにこ園」の園長、花咲は、山内練に借りた借金返済のために、今日も探偵業に精を出す。
『ゴールデンフィッシュ・スランバー』
 依頼人はA-YA。ストーカーの正体を突きとめて欲しいという内容。調査をしていくうちに、ハナちゃんはA-YAが1人では眠れないことに気づく。
『イエロー・サブウェイ』
依頼人は、なんとあの山内練。依頼内容は、生後2カ月になる赤ん坊の母親探し。母親、菅野美夏は、練を父親だと主張し、あろうことか練の部屋の前に赤ん坊を置き去りにした。
美夏の調査を開始するハナちゃん。美夏が買い物依存症に陥り、闇金に手を出し、そしてデルヘル嬢になったことを知る。そして、買い物依存症になったその原因も。
『ヒー・ラブズ・ユー』
ノーベル化学賞候補者、竹本信三が依頼してきたのは、研究室の秘書、梶尾みきの尾行だった。



中編3編からなっています。
つなぎがとても緩やかで、『ゴールデン…』ですでに練はハナちゃんに赤ん坊の母親探しを依頼しており、『イエロー…』の題名は、A-YAの後釜を狙うアイドル歌手の大々的宣伝をいったものであり、『ヒー…』では、菅野美夏がエピローグ的に登場し、またA-YAが依頼人として再登場しそうな気配です。
ほかにも、作品をまたがってウルガや美芽子が出てきます。
(そういえばウルガ、何かトラブルを抱えているようだったけど、何だったんだろう?)
1つ1つの物語が独立していないこの構成。ハナちゃんの日常に身を置いているような、そんな親近感を覚えます。
…まぁ、もっと言えば、これ、章立てにして長編でもよかった
んじゃないのかなぁという気もします。
実際、私は初出誌を見るまで、長編だと思っていました(^^;)

さて、ハナちゃん。
何だかいい人度合いがどんどん高くなってきている気がします。
あぁ、ちょっと違うかな。
とっさの出来事だったとはいえ、同僚を射殺してしまったという大きな負い目を、少しずつ消化している感じ。
ハナちゃんの中では、決して自分を許せるものではないだろうし、ずっと罪悪感と後悔と自己嫌悪を抱えていくのだろうとは思うけれど、その重みに潰されることなく歩けるようになっている…そんな感じ。
そうやって、今の自分を生き始めているハナちゃんだから、
子供に対する愛情だとか、人に対する優しいまなざしだとか、そういうハナちゃん本来のよさが前面に出てきているのだろうなぁと思います。
これ、やっぱり時の流れがなせる技なんでしょうね。
シリーズ物ならではのおもしろさって、こういうところにあるんだなぁと感じます。

この作品で新たにメンバーに加わった(?)えっちゃん。
40代半ば、150センチと少し、体重は80キロ?…の、ころっころのおばさん探偵。
このえっちゃん、いいですねぇ。情報収集能力と尾行能力がずば抜けて優秀な探偵さんという設定なのに、のほほんとした感じが心を和ませます。
えっちゃんはわかったふりなんかしない。理解があるように見せかけたりもしない。不思議なことには首を傾げ、理解できないことには小さな溜息をつく。それでも、えっちゃんは、この世の中のすべてに対して優しいのだ。簡単に嫌いになったりは、しないのだ。
そういうえっちゃんを、「大好きだ」と思うハナちゃんも、またいいなぁと思うのでした。

このシリーズ、第4弾もそのうち出るに違いない。
だって、まだA-YAの対決しなければならない事件もあるし、ウルガだって困ってるみたいだし。
ステキな助っ人、えっちゃんも出てきたことだし。
登場人物でいえば、今回は理紗や奈美先生が全然絡まなかったし。(理紗は少しだけ、出てきたけど)
それに。。。『聖なる黒夜』ではヘビーな人生を送っている山内練も、ここではちょっと肩の力が抜けていて、心の奥底に封印している愛情とか優しさとか、そんなものがポロッと出てきます。
今回も、自分の子ではないと言っておきながら親子鑑定を依頼したのは、やっぱりちょっとした気の迷いだったんだろうな。家庭みたいなものがほしくなったりしたんだろうな。ハナちゃんが思っているように跡目相続を考えたわけではないだろうな。ハナちゃんには信じられないだろうけど。
そんな練の姿を見られるのも、このシリーズのいいところです。

ハナちゃんシリーズ、早く次が出ないかなと思ったのでした。


気になった言葉を幾つか。

世の中ってさ、才能があるやつはきっといっぱいいるんだよ。でも才能があって根気があるやつが少ないんじゃない?結局、才能を誰かに認めさせるには根気がいるってことでしょ。(菅野美夏の友人、沢野流香)

ちょっと頭の弱い女の子なんだけど、不思議と憎めない、気持ちのいい子でした。なるほど真理だ。と納得するハナちゃん(*^_^*)

ほんとはね、時間をかければ誰だって母親の資格は持っているものだと思う。でもそれを開花させるにはコツが必要なのね。(にこにこ園のベテラン保育士小夜子)
母親になれない女性も確かにいる、そういう人に母親をさせてもろくな結果が出ないという話から、さらに、そのことを、もっと世間が理解してあげたら、母親未満の女をどれだけ助けてあげられるか。
と続きます。ふうむ。開花させるコツねぇ。。
なんか、いいこと言ってるようで、どうも偽善的に思えるのは、私がひねくれているせい?

死んでいく人間は、それで終わる。でも、誰かが死んだ、という事実は、そこから始まるんです。生き残った人間にとっては、誰かの死は、そのだれかがいなくなった新しい世界の始まりなんだ。(ハナちゃんが練に)
あぁ、そうだよなぁ。確かに。

俺の話す言葉がおかしいとみんな笑ったんだ。実際、俺は妙な言葉遣いをしていたと親も言ってる。それに、他人が何を考えているのか、おれにはいつだってさっぱりわからない。俺は、場を読むってことがまるでできないんだ。他人の心の動きをたどれない。アスペルガ症って聞いたことある?(ノーベル化学賞候補者竹本)
この作品の中で、二十一世紀が本格的に始動したら…とか、そのうち携帯電話にカメラもつくんじゃないか…とか、いつ書いたの?と思う描写がありました。初出は2004年とあるけれど、その頃すでにカメラ付き携帯電話ってあったよね。何だか1990年代に書いた匂いがぷんぷんしてる。
なのに最近やっと広く認知されだしたアスペルガ。しかもハナちゃん、知ってるよ。
柴田さんの嗅覚は、いつも時代の最先端を行っているよなぁと、妙なところに感心したのでした。

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  ◆◆

探偵って面白そう。。。
やってみたいかも?

ええと米谷さんの本のタイトルは『過越しの祭』です。
中に『遠来の客』とタイトルの『過越しの祭』が入ってます。
第94回の芥川賞受賞作であります。
by: 一陽 * 2007/02/21 16:01 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

一陽ちゃん、おはよっ♪
探偵…寝不足になりそうだよo(^▽^)o

米谷さんの本、教えてくださってありがと~♪
芥川賞かぁ。。。ちと苦手かもv-8
by: そら * 2007/02/22 09:48 * URL [ *編集] * page top↑
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