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「まひるの月を追いかけて」恩田陸
2007 / 05 / 12 ( Sat ) 15:00:52
いかにも恩田さんの好みそうなロードムービー風の作品。
「まひるの月」のような淡いトーンに仕上がっています。

★★★★☆

静は、今まで2回しか会ったことのない女性と一緒に奈良に旅する。
旅の目的は渡部研吾。
舞台の主役はだれ?



少しずつ、少しずつそれぞれの関係が明らかになっていき、
確定したかと思うと、また揺れ動く。
靄のかかったような関係性と人物像が、
なるほど「まひるの月」なのです。

関係性がいとも簡単にひっくり返る。
だから次の章を読まずにはいられなくなる。
この作品、「オール読物」に不定期に連載していたそうですが、
連載当時は、さぞかし続きが気になっただろうなぁと思います。

描かれているものは喪失、依存、親子関係。

奈良ののどかで大らかな風景が、
その生々しさをオブラートに包むように、
作品全体を包み込んでいます。

唐突な旅の始まりと、予期しない旅の終着点。
そこで交わされる会話は、深くなるかと思えば、するりとかわされ、
油断していると思わぬ深みに出くわす。
旅で見えてきたのは、ほかならぬ自分自身。
そして、旅は終わっても人生が終わらないのと同じように、
旅が終わっても物語は終わらない。この不完全。

私は、自分が観客として確かにそこに参加していたことに満ち足りたものを感じ、
そして日常に戻ったのでした。

【こちらの記事も♪】
たこの感想文
苗坊の読書日記
ご本といえばblog


現実はなんでもそう。きちんとした終わりや解決はなくても、そのあとも人生は続く。

あたしたちは何かを失いながら生き長らえるのに、心は重くなる一方だ。

遠くへ、遠くへ。
玉砂利の音が全身を包む。
遠くなんかどこにもない。どこに行っても次の「ここ」があるだけで、自分からは逃げられないのだ。そのことは、私がここに来てよく分かったことだった。私は気分転換をし、これまでの生活に区切りをつけたがっていた。しかし、…それも一瞬だった。むしろ、引きずる過去が余計に炙り出されて傷の深さを自覚しただけだ。これからも、引きずりながら毎日暮らしていくのだろう。よく「吹っ切れた」という言葉を聞くが、どうやら私にはそんな瞬間は訪れそうにない。





もしかすると、生と死というのは、相対するものではないのかもしれない。
そんなことを考える。現代人にとって、死は終焉であり、敗北であり、恐怖だ。生と死はいつも対極にあるものとしてドラマティックに、なおかつ荘厳なものとしてイメージされている。でも、実際のところは、そんなに大したものではないのかもしれない。生も、死も、そんなに差のないものなのかもしれない。



なんでも家庭環境や親のせいにする考えは好きではない。トラウマや愛情の欠如といった一言で全てを片づけてしまう風潮は軽蔑していた。
だが、影響がないはずはない。



自分の考えていること、自分が感じていることは、大部分が自分の中で形にはなっていない。無意識のうちに自分を律している場合もあるし、自分を本当の意味で客観的に分析できないからでもある。


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  ◆また恩田さんですね◆

旅館の夜、奈良の自然、思わぬ展開・・・
読んで奈良の自然に触れたくなったのを覚えています。
恩田作品は、そのロケ地の自然の息吹、香りを嗅ぎたくなりませんか?

by: パステル * 2007/05/14 19:59 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

パステルさん、こんにちはっ♪

ほいほい、また恩田陸ですよん♪

>恩田作品は、そのロケ地の自然の息吹、香りを嗅ぎたくなりませんか?

うんうん、そうだね。
京都の匂いはおかゆの炊けるにおい、
奈良の匂いは土壁のにおい。
何だか分かるような気がするね。
山辺の道、高校生のときに修学旅行で歩いたけど、またポコポコ歩きたくなりました。
奈良はやっぱり春がいいなぁなんて、いつの間にか空想旅行計画を立ててたりして(*^_^*)
by: そら * 2007/05/15 12:43 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

こんばんわ^^
TBとカキコありがとうございました。お返しします♪
恩田さんの作品って、旅行記を読んでいるようでその場所に行きたくなりますよね。
いろいろ想像してたんですけど、全部覆されましたね^^;
いや~びっくりでした。
by: 苗坊 * 2007/05/19 22:02 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

苗坊さん、おはよっ♪
お忙しいのに、お返しありがと~\(^o^)/

>いろいろ想像してたんですけど、全部覆されましたね^^;
あ~、そうなのかぁ。。。って感じでしたね~。

うんうん、本に沿って歩いてみたくなります♪
by: そら * 2007/05/20 10:00 * URL [ *編集] * page top↑
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