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「悪人」吉田修一
2007 / 09 / 13 ( Thu ) 17:32:20
またまたお初の作家さんです。
以前朝日新聞の夕刊に連載されていた小説です。 私が読んだのは2日だけ。 おばあさんがバスの運転手に励まされるシーンの回と、最終回でした。 以来、気になっていた作品ですが。 まぁ、気になって当然だわ。 両方とも、単行本で読んでも印象深い箇所でした。 ★★★★☆
これが作者の特徴なのでしょうか。 淡々と、どの登場人物とも一定の距離が保たれているように思います。 だから私も、どの登場人物にも感情移入することなく、目の前に繰り広げられるドラマを見ている…そんな感じで読んでいました。 ドラマといっても、この先、どうなるの?とページをめくるのももどかしいジェットコースター型のドラマ展開というわけではない。日常の小さな出来事の1つ1つの積み重ねだったりします。 なのに全体として見ると、大きなドラマが起こり、翻弄され…というお話なんですよね。 ハラハラドキドキというわけでもない。なのに目が離せない。そして気がつくと一気読みしてた。 今まで読んだことのない、不思議な印象の作品でした。 この作品にはたくさんの人物が登場します。 どの人も、作中の言葉を借りれば「匂いのある」人たちです。 中でも印象深かったのは、気の小さい祐一の祖母、房枝であったり、殺された石橋佳乃の父親、佳男(佳乃はお父さんの一字をもらったのね。今、気づいた。)であったり。 地に足をつけた生活をしていた人たちが存在感をもって描かれていたことで、作品に、より一層の深みを与えていたように思います。 車だけをこよなく愛する無口な土木作業員、清水祐一。 彼を見ていると、人間、自身の物語を無意識のうちに持っていて、その脚本に従って行動する…みたいな、どこかで聞いた話を思い出します。 本当に、悲しいくらいに思考パターンって変わらないのねと思ったのでした。 物語終盤。 作中の世間は、祐一が悪人であると断じています。 読者は祐一が悪人ではないと感じています。 光代は、光代にとって都合のよい姿(悪人)を自分に納得させようとしています。 佳男は、真の悪人はこいつじゃ!と別人を告発しています。 悪人とは一体誰なのか? この問い掛けが、着地することなく虚しく作品世界の周りを回っています。 人が人を心底理解することなんて、できないのかもしれないなぁと、難しいとかそういうことではなくて、能力的に無理な話なのかもしれないなぁと思ったりして。 悲観的な意味ではなく。 ただ事実として。 それでも、やっぱり何かの目印がほしいのかもしれないです。 あいつは悪人だという判断は、つけた人にとって、あったほうが生きていきやすい…そういう目印みたいなものかもしれません。 そんな目印、なくても心地よく生きていけるほうがいいに決まっているけれど。 …ちょっと抽象的すぎて、ちゃんと言えてない気がするんだけどね。(^^;) 【こちらの記事も♪】 粋な提案 本読め東雲 読書の日々 31ct.読書部屋 読書感想文とブツブツバナシ スポンサーサイト
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装幀は町口覚。初出「朝日新聞」2006年3月24日~2007年1月29日。福岡と佐賀の県境、三瀬峠の殺人事件。被害者石橋佳乃・保険外交員。加害者清水祐一・土木作業員... 粋な提案【2007/09/23 08:20】
悪人 著者:吉田 修一販売元:朝日新聞社出版局Amazon.co.jpで詳細を確認する 最高でした。まさに吉田さんの真骨頂。これは読むしかない、読み始めたら止まらなくなって、いつの間にか「悪人」に同 31ct.読書部屋【2007/12/18 11:51】
「悪人」吉田修一
九州の峠道で若い女性の死体が発見された
身元は判明し、大学生の容疑者が。。
しかし女性は、出会い系サイトで
複数の男性と会っているらしい。。
第34回大佛次郎賞
第61回毎日出版文化賞
こんなHPアリ。
なんというか、冒頭は... 読書感想文 と ブツブツバナシ【2008/06/04 18:28】
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