2005/07/11
「模倣犯」宮部みゆき
とにかく長かったです。
第一声はやはりこれではないでしょうか。
その長さにふさわしいだけの「価値」を読者が感じることができるかどうか、ここがこの作品の評価になってしまうのではないかと思うぐらい、長さのインパクトが強かったです。
★★★★☆
長いと思ったのは主に第2部。
ドラマチックなストーリー展開の第1部の後に来る第2部に、人物をじっくり描くエピソードドラマ(こんな言い方、あるのか?)を持ってきているので、どうしても間延びした感じを持ちました。
例えてみれば、高速道路をおりて一般道を走るときに、スピードメーターが指しているスピードよりも遅く感じる、あの感じに似ているかもしれません。
当然、なぜこんなに長いエピソードが必要なんだろうと思いながら読んでいきます。
こうやって登場人物一人ひとりに光を当て、その人物像を豊かに膨らませて書くことは、作家にとって1度はやってみたかったことなのではないかとか、つまりこれは作家のわがまま?みたいに思ったこともありました。
けれども最後まで読んだ今、作者はこの作品に必要だと思ったから第2部を書いたんだろうなと思っています。
作者は、ピースという劇場型犯罪の犯人が駒のように使い捨てた登場人物たちに、血を通わせたかったんだろうと思うのです。
一般には理解されない障害を持っていた高井和明はどういう気質を持って人生を歩んできたか。
ただの性格破綻者にしか見えない栗橋浩美は幼いときから何におびえながら毎日を過ごしてきたのか。
和明の両親や妹は、和明をどう思い、和明にどう接し、和明をどう理解していたのか。
浩美の両親は、自身の中に何を抱えながら、浩美をどう思い、浩美にどう接していたのか。
私は浩美の考え方や感じ方、そして行為に対してこれっぽっちも共感できませんでしたし、理解したいとも思いません。
けれども、彼は確かにそういう育ち方をし、そういう感じ方をし、そして生きていたのだと思えます。必要なときに必要な人間に出会わなかった不幸を思います。
和明については、その優しい気質がこんな形で踏みじられる理不尽さに腹立たしさを感じます。
彼らは、確かにただの駒ではない足跡を私の中に残しています。
もっとコンパクトに伝われば、それがベストだったんですけどね。
だけど、これだけは外せないという作者の気持ちは、確かにそうだろうなと思っています。
さて、「模倣犯」。「模倣犯」という単語そのものはこの作品の重要なファクターになっていますが、この作品は模倣犯を描いているものではありません。
その点で、私はこのタイトルには違和感を持ってしまいます。
この作品にはいろんな問題提起がなされています。
劇場型犯人を、作者やあるいは読者としての私は理解できるのか、とか、
ジャーナリズムとは何か、マスコミは何を伝えるべきなのか、とか、
犯罪被害者の家族の傷とは何か、とか、
人はいかにして心を癒すことができるのか、とか、
人間は事実をどのように見ているのか、とか。
いろんなことが詰まっているのに、
何でよりにもよって「模倣犯」なのか、よく分からないな〜というのが正直なところです。
この作品を通して一番印象に残った人物は、豆腐屋のご主人、有馬義男さんでした。
彼の含蓄を富んだ言葉に大きくうなずき、
彼の判断力に舌を巻き、
彼の恐怖に私も胸が痛み、
彼の慟哭に胸を突かれました。
ラストの1節が秀逸でした。
映画的な終わり方だったと思います。
きっと忘れられないだろうと思います。
第一声はやはりこれではないでしょうか。
その長さにふさわしいだけの「価値」を読者が感じることができるかどうか、ここがこの作品の評価になってしまうのではないかと思うぐらい、長さのインパクトが強かったです。
★★★★☆
長いと思ったのは主に第2部。
ドラマチックなストーリー展開の第1部の後に来る第2部に、人物をじっくり描くエピソードドラマ(こんな言い方、あるのか?)を持ってきているので、どうしても間延びした感じを持ちました。
例えてみれば、高速道路をおりて一般道を走るときに、スピードメーターが指しているスピードよりも遅く感じる、あの感じに似ているかもしれません。
当然、なぜこんなに長いエピソードが必要なんだろうと思いながら読んでいきます。
こうやって登場人物一人ひとりに光を当て、その人物像を豊かに膨らませて書くことは、作家にとって1度はやってみたかったことなのではないかとか、つまりこれは作家のわがまま?みたいに思ったこともありました。
けれども最後まで読んだ今、作者はこの作品に必要だと思ったから第2部を書いたんだろうなと思っています。
作者は、ピースという劇場型犯罪の犯人が駒のように使い捨てた登場人物たちに、血を通わせたかったんだろうと思うのです。
一般には理解されない障害を持っていた高井和明はどういう気質を持って人生を歩んできたか。
ただの性格破綻者にしか見えない栗橋浩美は幼いときから何におびえながら毎日を過ごしてきたのか。
和明の両親や妹は、和明をどう思い、和明にどう接し、和明をどう理解していたのか。
浩美の両親は、自身の中に何を抱えながら、浩美をどう思い、浩美にどう接していたのか。
私は浩美の考え方や感じ方、そして行為に対してこれっぽっちも共感できませんでしたし、理解したいとも思いません。
けれども、彼は確かにそういう育ち方をし、そういう感じ方をし、そして生きていたのだと思えます。必要なときに必要な人間に出会わなかった不幸を思います。
和明については、その優しい気質がこんな形で踏みじられる理不尽さに腹立たしさを感じます。
彼らは、確かにただの駒ではない足跡を私の中に残しています。
もっとコンパクトに伝われば、それがベストだったんですけどね。
だけど、これだけは外せないという作者の気持ちは、確かにそうだろうなと思っています。
さて、「模倣犯」。「模倣犯」という単語そのものはこの作品の重要なファクターになっていますが、この作品は模倣犯を描いているものではありません。
その点で、私はこのタイトルには違和感を持ってしまいます。
この作品にはいろんな問題提起がなされています。
劇場型犯人を、作者やあるいは読者としての私は理解できるのか、とか、
ジャーナリズムとは何か、マスコミは何を伝えるべきなのか、とか、
犯罪被害者の家族の傷とは何か、とか、
人はいかにして心を癒すことができるのか、とか、
人間は事実をどのように見ているのか、とか。
いろんなことが詰まっているのに、
何でよりにもよって「模倣犯」なのか、よく分からないな〜というのが正直なところです。
この作品を通して一番印象に残った人物は、豆腐屋のご主人、有馬義男さんでした。
彼の含蓄を富んだ言葉に大きくうなずき、
彼の判断力に舌を巻き、
彼の恐怖に私も胸が痛み、
彼の慟哭に胸を突かれました。
ラストの1節が秀逸でした。
映画的な終わり方だったと思います。
きっと忘れられないだろうと思います。





ホント、長いよね。
私の中では宮部作品って、優しい人間は救われるって感じだったの。
でも、あの心根の優しい二人が亡くなったのは、とっても悲しくて、何だかな〜って、思っちゃって(^^;
あんまり、この作品は好きになれなかったの〜。
私も何で「模倣犯」って題名にしたのかが「???」でした。
逃げじゃないよ、この感想。
さすが〜〜ほれぼれ〜です。
>スピードメーターが指しているスピードよりも遅く感じる、あの感じに似ているかもしれません。
確かに!!
でねぶさんも書いてるように、和明と妹さんのあんな終わり方に
宮部さん、なんで??と思いました。
私はな〜んにも考えずただストーリーをおっていくのが精一杯。
最後女性レポーター、してやったり。
発送の転換は大事だわ〜とか。
(産経新聞に連載が始まったそうです。
この女性レポーターが出てるそうです)
有馬義男さんは自分が被害者の家族であるにもかかわらず、気丈さと
娘さんや、あの男の子と女の子に対する態度、ピースに対する態度に、脱帽と切なさを感じました。
ラストに電話でピースに言う言葉に、経験、体験、人生、厳しさ、優しさがにじみ出てましたよね。
ラストの1節っておじいさんのかな?
それとも自転車の後ろに子供を乗せたおかあさんのかな?
はっきり覚えてないけど、涙出たような記憶がある。
私は怖い話がとても苦手なので、こんなに怖い話を書く宮部さんに
文句タラタラでした。。。
小説そっちのけで理不尽なめに遭うことが悲しくてやりきれない。。
まったくサスペンスに向かない読者です。
>宮部作品って、優しい人間は救われる
そうなの?全然気づいてなかった(^^;)
宮部さんは登場人物に対する目が優しいっていう人も、多いよね。
だけどそれも、私は感じたことないんだわ(^^;)
鋭いな〜と思うことはあるんだけど。
心優しい青年って高井和明だよね。
あの子、第1部でいったん死んじゃってから、第2部で本格登場したからねぇ、私はあまり感情移入しないように注意しながら読んでたよ(^^;)
だからかな、「理不尽さに腹が立つ」って書いたけど、「もう何で〜!」って感じじゃなくって、「あ〜あ…」みたいな、こうやって終わるんだ〜みたいな、そんな薄い感じだったかも。
この本、私好きなのかな〜。
何だか好きとかキライとか、そういう感情面はあまり動かされなかったみたたいな気がする。
あ、有馬さんは別だけどね(*^_^*)よ。
>有馬義男さんは自分が被害者の家族であるにもかかわらず、気丈さと
娘さんや、あの男の子と女の子に対する態度、ピースに対する態度に、脱帽と切なさを感じました。
ラストに電話でピースに言う言葉に、経験、体験、人生、厳しさ、優しさがにじみ出てましたよね。
私、本当にこの方、大好きでした♪
だから最後の最後に見せた有馬さんの慟哭のシーンなんか、本当に悲しくってね。。。。思わず涙、でしたわ(^^;)
あ、でも映画みたいなラストシーンというのはそこではなくて、本当に最後の文章。
すごくさみしかったのよ。
この話、恐かった?
そうかぁ〜。。。。
ゆーさんは理不尽な人生話はキライなんだね。やりきれなくなっちゃうのがきっとつらくなるんだね。
私もそういう気持ちもなくはないけど、
だけど、だからイヤっていうほど強くはないかも。(^^;)
ときどきならオーケーかな。
ときどきならね。(*^_^*)
今までの宮部さんの作品は読後に嫌な物が残らなかったのは、登場人物に対しての優しさとかを感じたからかな。
あの兄弟のご両親のことを思うと辛かったの。
どうしても、親の立場になってしまうのよね(^^;
気づくとそういうふうに読んでること、多いよね。
ああ、心優しいもう1人は高井由美子さんかぁ〜。
彼女もピースのせいで散々だよね。
確かにご両親はつらいなぁ。。。
うん、確かに。。。。
でも何でかな、読んでるときは、
そんなにつらさを感じなかったわ(^^;)
前にも書いたけど、感情が揺さぶられたのは有馬さんだけで、あとは薄い感情しか沸かなかったの。
早い話、この作品に入り込めなかったのかもしれない。(今頃気づいてど〜する!('◇')ゞ
ひゃーっ、出だしからしてよく似た感想だったみたいですね。
光栄です。
でも、不満タラタラだった私の感想に比べてなんと冷静に書かれていることか。見習わなくては!
>この作品を通して一番印象に残った人物は、豆腐屋のご主人、有馬義男さんでした。
そうですね。この人がいて作品がどれほど引き締まったことか。
私も有馬さんがが一番良かったと思います。
他の作品についてもできればコメントしていきたいと思いますのでヨロシクお願い致します。私が未読の作家さんも多数おられますが。
>ひゃーっ、出だしからしてよく似た感想だったみたいですね。
でしょ、でしょ(^o^)
私もよく似た感想だわ♪とうれしかったです。
ひろさんの感想で、そういえばいろいろ中途半端だったな〜と気がつきました…(ΘoΘ;
長すぎて、忘れてた。。。
>他の作品についてもできればコメントしていきたいと思います
お〜♪うれしいです
よろしくお願いします。
TBさせていただきます。
模倣犯は凄く長かったですけど、やっぱりそれだけの価値がありましたよね。
でも、ホントに辛かったです。
和明とその家族達が容疑者という汚名をきせられて変化していく姿が凄く切なかったです。
そらさんは凄く沢山の本を読んでらっしゃいますね。
また、お邪魔します^^
ご訪問&コメント&TB、ありがとうございましたぁ
>和明とその家族達が容疑者という汚名をきせられて変化していく姿が凄く切なかったです。
うんうん。
ま、私は、あまり感情移入しないように、みたいなバリアを張っていたので(^^;)「凄く切ない」まではいかなかった。
どっぷり浸かってしまったら、やり切れないもの…と逃げてしまったずるいヤツです(^^;)
私はそれほどたくさんの本は読んでいないのよん♪
月10冊くらいだし(^^;)
だけど、ぜひぜひまた遊びにいらしてくださいね♪
お待ちしてますm(_ _)m