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「スリー・アゲーツ」五條瑛
2007 / 10 / 16 ( Tue ) 12:32:51
副題「三つの瑪瑙」
いいです。とても好きな作品です。
スパイ小説でありながら、情愛あふれるお話です。

★★★★と半分

ソウルから日本へ、北朝鮮の大物工作員・チョンが潜入した。大量の偽ドル札とともに。果たして彼の任務とは何なのか?米国防総省の在日情報機関に所属する分析官・葉山はチョンの残した文書の解読に成功するが、そこには意外な事実が隠されていた。同じ頃、平壌から一組の母娘が中朝国境を目指していた―。(Amazonより)



北朝鮮工作員チョン。
彼の圧倒的な存在感が、この作品に深い余韻を与えます。
彼が守ろうとしたものは、国でもなく、思想でもはなく、彼の愛する家族であった。。。
彼の家族観が、とても懐かしいもののように思えます。
壬生義士伝』にどこか通じる、古き日本を彷彿とさせるような、
そんな家長としての自覚と責任。
…圧倒されます。

少し古さを感じるチョンだけに、選んだ妻は、
北朝鮮の光朱(グァンジュ)も、日本の春子も、
忍ぶタイプの、どこか古風な女性です。
北朝鮮の女性気質はよく分からないから、この際おいておくにしても、
今どきの日本で、こんなに一途な女性、なんか想像しにくいんですけど(^^;)
まぁ、その辺が、☆が半分欠けた部分でもありましたが。
作者のロマンってやつ?かもしれませんねぇ。
あ、作者は女性なんだよね。
いや、ついつい忘れてた。。。

春花(チュンファ)の登場シーンには、
いつも胸の締め付けられるような切なさがつきまといます。
子供が登場すると、ついつい自分の子に置き換えて想像してしまいます。
もし自分の子が同じ状況に陥ったら。
考えたくなくても、やるせなくて、辛くって。
春花が何も分かっちゃいないだけに、ご両親の心痛が、本当に言葉どおりに痛かった。
最後の場面。
春花、1人でよく頑張ったね。
不安で不安でたまらなかったよね。
頭の隅で、これぞ浪花節だわ~と思っていたにもかかわらず。。。
私、やっぱり泣きました。

けなげな春花。
かわいい春花。
お父さんが頑張ってくれて、それから葉山も頑張ってくれて、
本当に、本当によかったね。
願わくば、これから先の、春花の幸せな姿を見てみたい…そんな気持ちになりました。

『プラチナ・ビーズ』では、どうにも甘さが目立った葉山ですが、この作品では、自身の背負っているものも含めて、くっきりとその姿が浮かびます。
彼が春子の息子、勇気に向ける愛情に、
いいやつじゃん!と声援を送りたくなりました。
うん。とても、とても頑張ったと思うよ、葉山。

それにしても。
この頃私、コリアンジャパニーズや日系3世のアメリカ人や、そんな人たちが登場する物語によく出会います。
選んでそういう登場人物が出てくるお話を読んでるわけじゃないのに、
どちらの祖国にも100パーセントの帰属感を得られない、
したがってアイデンティティーの確立に苦慮している人たちのお話に、
なぜか多く出くわします。
私にとって、何か意味があるのかも?
そんな気もしてくる最近です。

この作品、1999年に上梓されたものですが、
古さをまるで感じませんでした。
北朝鮮に対して、「不気味な国」「とんでもなく独裁政治」という、私の中にいつの間にか作られているイメージも、塗り替えられることなく終わります。
こんなに息の詰まる体制が長く続いて、
大丈夫なのかなぁ、北朝鮮。。。
政治や国際情報にかなり疎い私でさえ、
このままでいいのか?という気になったりして(^^;)

だけど。
確かに息苦しい生活を強いられてはいるものの、チョンにとっての北朝鮮は、その豊かな自然であり、そこに暮らす人々の気質であり。。。
北朝鮮を想うそんな気持ちが、思いがけず私の中にスーッとなじんでいきます。
そして、どこか私の中に眠っている感覚が呼び覚まされるような、そんな気持ちにもなりました。

土地や、あるいは「くに」に対する想いって、だれが教えるものでもなく、だれが強制するものでもなく、
もしかしたら人間の根っこにあるものなのかもしれないなんて、
そんなことも感じました。

「鉱物シリーズ」第3弾は、『パーフェクト・クォーツ』。
楽しみです。
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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

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  ◆◆

こんばんは~。
本当、全く古さを感じさせませんよね。
考えてみるとこの作品、小泉首相の訪朝よりも前に出たんですよね。
小泉首相が訪朝して拉致被害者が帰ってきて…なんていうニュースをきっかけにして、色々と北朝鮮報道が増えたことを考えると、これ、古さを感じないどころか、当時よりもリアリティを持って感じられるのではないか? とすら思いました。

工作員ではあるものの、情に流されるチョンの葛藤と、チョンについて知ることによって、仕事と情に挟まれていく葉山。板ばさみになっている二人の心情が凄く切なかったです。
まぁ、ロマンチスト過ぎるといえばそうですけど(笑)、物語の中くらい、良いじゃないですか(笑)
by: たこやき * 2007/10/16 21:23 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

たこやきさん、こんにちはっ♪

>これ、古さを感じないどころか、当時よりもリアリティを持って感じられるのではないか? とすら思いました。

そうですよね~。私も「喜び組」なる存在を知ったのは、つい最近のことのような。。。当時読むより、今読んだほうが分かりやすい…って、私たち一般人に入る情報は、すご~く遅れているんだよねぇ。そういう意味では、ちょっとギョッとした作品でした。

>板ばさみになっている二人の心情が凄く切なかったです。

うんうん。切なかった。
特に、当事者であるチョンがねぇ。。。もう、思いっきり私のツボをついてきました(>_<)

>まぁ、ロマンチスト過ぎるといえばそうですけど(笑)、物語の中くらい、良いじゃないですか(笑)

そうだよ!
物語の中でくらい、そういう人に会いたいし、
物語の中くらい、どっぷり浪花節の世界でいてくれたって、いいよねっ♪v-221
by: そら * 2007/10/17 13:51 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆五條瑛推進委員会会員No.2?より◆

 はまりました!
 積読と図書館本がたくさんあるので、『プラチナ・ビーズ』は大事にとっときます。

 ところでシリーズ三作目と四作目はどうなったんですかね?

 TBもうまく飛んだようで。
by: higeru * 2008/05/17 00:45 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆No title◆

higeruさん,おはよっ♪

>はまりました!

うはは!わ~い\(^o^)/

シリーズ三作目はまだ出てないような。番外編なら何個かあるみたいだけどね。番外編って,なんか大人しくって私は本編のほうが好き。
なので早く出てほしいなぁ。
どこかで見つけたら教えてねっ☆

TB,何度もトライしてもらったようで,ありがと~\(^o^)/
by: そら * 2008/05/17 10:06 * URL [ *編集] * page top↑
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【五條瑛】スリー・アゲーツ―三つの瑪瑙
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