FC2ブログ
「メタボラ」桐野夏生
2008 / 01 / 19 ( Sat ) 19:49:48
図書館で予約すること数か月。
やっと順番が回ってきました\(^o^)/
実物を見てギョッとしました。
…あ、厚い。。。厚さ4センチ、ページ数にして594ページ

新聞小説として読んでいたので、大体のあらすじを知っている作品であるだけに、最後まで読めるかどうか、とっても不安。。。

★★★★☆

なぜ「僕」の記憶は失われたのか? 世界から搾取され、漂流するしかない若者は、日々の記憶を塗りかえる。破壊されつくした僕たちは「自分殺し」の旅に出る。孤独な魂の冒険を描く、まったく新しいロードフィクション。(Amazonより)



結論から言うと、心配は杞憂に終わりました。
ほとんど一気読み。(正確には3日読み^^)
毎日少しずつ読む新聞とはまた違った魅力がありました。





毎日少しずつ読み進めていく新聞小説は、読む側の日常の中で物語を眺め、
単行本は、物語に自分が埋没する。。。そんな違いを感じた一冊でした。
おもしろさがまるっきり違うし、受ける印象も全然違います。

新聞発表のときは軽いだけで好きになれなかったジェイクこと昭光ですが、
彼の能天気とも思える宮古弁が、この作品の絶望的な暗さの救いになっていました。
昭光とギンジの章が交互に出てくることで、作品全体にリズムが生まれたように思います。

能天気とはいえ、昭光も恋に落ちたあたりから真剣味が出てきて、何とも切なく、昭光の今後を知ってる私は(自分でも驚くことに)、昭光が愛おしく感じたのでした。
まだ17歳だもの。
現実の厳しさを知らなくても当たり前。
何でもできる気になって、根拠のない自信があって。
若いんだもの。それくらいでちょうどいい。
な~んて、昭光びいきになっている私。

また、ギンジが執拗に自分のことをゲイではないかと疑うのですが、
そして新聞ではそれがとても唐突に感じられたのですが、
通して読むと、意外とすんなりと、さらっと受け入れられました。
真偽のほどはともかくとして、自分が何者か知らないギンジが、自分がゲイだと疑ってみるのも、まぁありかなと。
また、ギンジが昭光に惹かれる気持ちも、何だか分かる気がしました。
…昭光が、(ヘンな意味ではなく)太陽のように眩しかったんだろうね。
私は、多分ギンジはゲイではなくて、ただ単に女性不信だったんだと思うけど。
母親があんなだし、女性を憎む気持ちが心の底に澱のように沈殿していたんじゃないかなぁ。

雄太の派遣体験。これは読んでいて辛かった。2度目でも辛かった。
ここに書かれていることは、今現在、どこかで起こっていることで。
そこから逃れたくても逃れられない閉塞感。緩やかに心を浸食する絶望感。。。
こんな中で、どうやって希望を見出せというのだろう。

ラスト。連載と同様、やっぱり唐突に終わった感じ。
何の加筆もされていません。
ここは加筆があるかと期待していたところだけに、ちょっと肩すかし。
物語が中途半端に終わっているように感じます。
「ギンジとして生きていく」というギンジの言葉が、まぁ、着地点だったのかもしれないけれど。

昭光は、もう取り返しつかないし、
ギンジも、これから先について暗い予感しか抱かせないラスト。

ことごとく希望を潰されながらも必死に生きる、若者の愛と絶望の物語です



これは、新聞連載終了後のインタビューに答えた作者さんの言葉です。
う~ん。
物語というには宙ぶらりんで、ざわざわと心許ない気分。
救いがないラストは、桐野さんの作品にはよくあるけれど。

…厳しい現実を前に、力尽きる若者たちの物語、、、の序章だった気がしてきました。

スポンサーサイト



桐野夏生 TB:0 CM:10 admin page top↑
<<「珍妃の井戸」浅田次郎 * HOME * チョコべえ組…組?!>>
コメントの投稿 














管理者にだけ表示を許可する

 

*Comment  Thank you*
comment
  ◆◆

そうか、最後の加筆がないんですか。こいつぁがっかり。

…となると、読み返す楽しみがないなあ(単行本としての楽しみはともかくとしてね)。

それにしても、この話、「愛と絶望」というより、「絶望」の物語ですね。

私の方でも何か書いてみようかな。
by: nagayume * 2008/01/19 21:24 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

nagayumeさん、こんにちはっ♪

>そうか、最後の加筆がないんですか。こいつぁがっかり。

でしょ?思わず自分の覚書の最終回を見てみたら、一言一句変わってなかった模様。
あのラストじゃなきゃダメ!という、何か意図があるのかなぁ。。。

>この話、「愛と絶望」というより、「絶望」の物語ですね。

うん。そう思う(-_-)
「厳しい現実を前に、力尽きる若者たちの物語、、、の途中まで」…な気がしてならない。。。

>私の方でも何か書いてみようかな。

うんうん♪
ぜひぜひ、nagayumeさんのほうで、詳しい考察などをしてくださなっ☆
by: そら * 2008/01/20 18:56 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆桐野夏生ですか◆

この人の作品は何冊か読んだことがあります、天使に見捨てられた夜と、光源だったと思います、私の持論でどんなに分厚い本でも一気読みできない本は、その本がおもしろくないからだというのがありまして、その気持ちは読書好きな方には理解いただけるかと思いますが・・・・・、佐伯泰英は、居眠りいわねシリーズがお薦めですよ(^O^)
by: 組長 * 2008/01/20 19:37 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

フカキョンの話はどうでもいいとして(明日には削除されているでしょう)、メタボラ、一気に読めることは確かでしょうね。

 でも、話が進むにつれて、くら~い気分が頭をもたげて、最後には、はしごを外されるっていう感じでしょうか(全然ほめ言葉になってない(^^ゞ)。

 この本、本日の組長の記事からすると、一度読んでみた方が良いかも知れません。

 私は、この本を「適度な長さで」レビューするにはどうしたらよいか、1時間くらい考え込んでしまいました。まだ結論が出ない。難しいなあ…(^^ゞ
by: nagayume * 2008/01/20 21:06 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

組長さん、こんばんはっ♪

『天使に見捨てられた夜』かぁ。ミロシリーズ第2弾ですねっ♪
私はその前の作品、『顔に降りかかった雨』を読みましたが、う~ん、じとじとしてたなぁ('◇')ゞ
まぁ、桐野さんにすっきり爽快!を求めてはいけない。。。と、私も何冊か読んでみて、思いました。
桐野さんの作品では、私は『OUT』や『柔らかな頬』が印象に残ってます(*^_^*)

>でどんなに分厚い本でも一気読みできない本は、その本がおもしろくないからだ

うんうん、分かる(*^_^*)
おもしろければ一気読み!ですよねぇv-221

nagayumeさんは組長さんにこの作品をお薦めされておりますが、
確かにね、「ワーキングプア」の取材力は圧巻です。
by: そら * 2008/01/21 23:44 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

nagayumeさん♪
はいは~い、フカキョンには消えてもらいましたぁ(*^_^*)

>話が進むにつれて、くら~い気分が頭をもたげて、最後には、はしごを外されるっていう感じでしょうか

あはは!言い得て妙!v-218
by: そら * 2008/01/21 23:51 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

おひさしぶりです♪

メタボラって本になると600ページ近くもあったんですね!?新聞で少しずつ読んでるとあっという間だったような。。(そうでもないような。。。笑)
でもやっぱり一気に読めちゃう感じなのですね★

え?これで終わりv-12という感じのラストだったので加筆がないというのが残念です、、、
でも新聞とは違った魅力があるようなので読んでみようっと♪
by: まりも * 2008/02/07 15:53 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

まりもさ~ん♪おひさしぶりっ\(^o^)/

>メタボラって本になると600ページ近くもあったんですね!?

そうなのよ~。私も、実物を前にして、びっくりしちゃった。

>加筆がないというのが残念です

私もすごく期待していたんだけど、残念!だよね~。

一気に読むと、それはそれでまた違った感じではあったけど、まぁ、あんまり心温まる読後感ではなかったかなv-8

まりもさんも、読んでみたら、感想教えてねっ☆

by: そら * 2008/02/08 13:39 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆(ノ´▽`)ノオオオオッ♪◆

すごい!タイムリー♪
そらさん、姫です(*´▽`*)ノ゛
その節は凄くお世話になりました!
おかげさまで今は通院だけで過ごしています
朝潮もどんどん成長してます

やっと最近読書でも・・・って気になって
ディアゴスティーニの歴史のミステリーを毎週買ってます
こんなペラペラな読み物からスタートしないと
朝潮の世話が凄いハードなのでw

読書はじめたら、そらさんのブログって決めてまして
さっそくやってきたら・・・

メタボラ!!(ノ´▽`)ノオオオオッ♪
すごい~~ナイスタイミング!!
やっぱ私はメタボラに縁あるんだな・・・(゜ー゜;A

やっと本になったんですね。
これは読まなくては。
図書館が近くにないんで、古本がほしいなぁ
ちょっと探してみますね!
読みたい~~~~
by: 姫 * 2008/02/08 14:02 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

姫ちゃん!
姫ちゃんっ!
姫ちゃ~ん♪

おかえりっ☆

来てくださって、ありがと~\(^o^)/

姫ちゃんのとこ、今もときどきお邪魔しているよ。
朝潮くんの成長を、影ながら楽しんでいるのだ(*^_^*)
どんどん大きくなって、いろんなことができるようになって、毎日が楽しくもあり、あっという間でもあり、たいへ~んでもあり。だねっ♪
育児も仕事もがんばってる姫ちゃんを見ると、
ときどきと~ってもハラハラするけど、
今の時間が愛おしいんだろうなぁなんて、
「そんなにがんばらなくてもいいのにぃ」と言いたくなるのをこらえてます(*^_^*)


>読書はじめたら、そらさんのブログって決めてまして

ありがと♪うれしいよ~\(^o^)/

「ディアゴスティーニの歴史のミステリー」…覚えられそうもない題名だ。
テレビでコマーシャルしてたやつかな。
歴史の謎を解くってやつ?
おもしろそうではないの♪

…メタボラ読んで、感想アップしたら、
nagayumeさんともお話できるようになったし、
姫ちゃんともまた会えたし、
なんか、いいことだらけだわ~\(^o^)/
メタボラ。作品自体は、まぁ、あれだけど(笑)
私にとっては、やっぱり特別なんだなぁ。
ちょっと不思議な気分。
私も姫ちゃんも、メタボラには縁があるのかもね~。

この本ね、結構ごついから、一気に読むのは結構大変かも。
なので、ぜひ!とは言えないけれど、
もしかして読んだら、感想を教えてね♪

ずっとずっと、細く長~くおつき合いくださいねっ♪
by: そら * 2008/02/08 22:15 * URL [ *編集] * page top↑
trackback
trackback URL
http://xxxsoraxxx.blog11.fc2.com/tb.php/651-120322e8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
* HOME *