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「赤朽葉家の伝説」桜庭一樹
2008 / 02 / 07 ( Thu ) 10:50:37
お初の桜庭一樹さんです。
今をときめく直木賞作家さんです。
直木賞受賞作『私の男』は、地元図書館では90人待ちです。
90人!何年後に読めるのでしょう???

★★★☆☆

「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。(Amazonより)




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う~ん。。。
この作品、句読点の位置が私の体内リズムと違うんです。
例えばそうだな、こういう文章。

ただの、万葉は昭和二十八年、西暦でいうところの1953年のその夏、おそらく10歳だった。



何がおかしいということはないのだけれど。
持ってるリズムが、タラッ、タララララ…という感じ。
音楽でいうと、裏拍というのかしらん。
2,4拍目が強い感じ。
そのうち慣れるかと思ったけれど、これがとても独特で。
なかなか手強かったのでした。

おまけに独特な言葉遣い。
「かんばせ」とか「高等遊民」とか、お目にかかったのは夏目漱石以来かしらと思う表現があるかと思えば、暴走族のバイク音は「ぱらりらぱらりら」で、鹿威しの音は「かぽーん」で。

全体的に、ところどころで軽くつまずくというか、ずっこけるというか、そんな感じがありました。

けれども。
二段組み309ページのこの作品、ほとんど一気読みでした。
つまり、何だかんだと言いながら、おもしろかったんだと思います。

「おもしろかったんだと思う」って、ちょっとヘンな表現だけど。

頭で読んだ作品…という気がします。
頭で、理解したり、納得したり、そう来たかと思ったり。

だから、
ドキドキしたり、共感したり、主人公と一緒に憤ったり、
胸がしめつけられたり、痛くなったり、切なくなったり、
そういう身体感覚に近い意味での「心が動いた」…とはまた違ったかな。

なのでこの作品、「おもしろかった!」という言葉を使うのは、多少違和感があるのです。

祖母・万葉のこと、母・毛鞠のことを、その時代の流れ・社会の雰囲気の中で、わたし・瞳子が位置づけ、整理して語っています。

この位置づけ・整理が、「きちんとしている」ので、ちょっと社会科の学習発表を聞いているような気にもなります。
つまりは、その時代の匂いまでは、なかなか再現しきれてはいなかったような気が。

祖母・万葉のお話が印象深かったです。
万葉は、すべてにおいて受け身で、「足りてる」ことを知っている。
その生き方は随分時代がかっているようにも思えるのですが、
ほんの50年前のお話なのよね。
この50年で、人の意識も価値観も、社会のあり方も風潮も、様変わりしたことを感じます。
人を理解するときは、その人が生きた時代とともに理解しなくてはならないのだと、
改めて感じたりもします。
「たたら製鉄」が民俗学的な視点から出てきたのも、興味深かったです。
この作品の直前に読んだ『香菜里屋を知っていますか』でも、民俗学者の内藤三國が考察していたヤマタノオロチとたたら製鉄。(彼は、ヤマタノオロチとヤワタノカミが同一であるという仮説を考察していました)偶然の一致がうれしかったです。

母・毛鞠は、何というかマンガチックな生き方で。
毛鞠の書いたマンガ、おもしろそうですね。
読みたいなぁと思ったのでした。
あの時代に描かれた、紡木たくの『ホットロード』を思い出しました。
ストーリー的には全然違うものだけど。
毛鞠は、実は真砂の子・百夜を無視していたのかな。
本当に見えてなかったりして。

社会の価値観・流れの中で、人は生きているんだなぁと、全体を通してそんなことを思います。

なので、瞳子の「語るべきものがない」という感覚も、今の社会をそのまま写しているようで、では今の時代の空気ってどんなだろうと、ちょっと考えさせられました。
まっただ中にいる人間に、客観性は望めない。
後から振り返って、始めて見えるものもあるんだろうなぁと。

今の社会は、万葉の見通したとおり、ぐるっと回って元に戻っているのかなぁ。
これから先、どこへ行こうとしているのだろう。
そんなことも思います。

瞳子は、将来に淡い夢を抱いているけれど。
それが、作品に温かい読後感を与えていると思うけど。

ラストの一言。

わたしたちがともに生きるこれからのこの国の未来が、これまでと同じくおかしな、謎めいた、ビューティフルワールドであればいいな、と、わたしはいま思っているのだ。



私もそうであるといいなと願っているけど。。。
少なくとも、これまで生きてきた人、今生きている人たちは、みんなが「ようこそ、ビューティフルワールドへ」と歓迎されて生まれてきたと信じたいよね。


最後に蛇足。

この作品、実は最後まで読み終わって、混乱しました。

瞳子は1989年生まれ。ということは、うちの長女と同じ年生まれ。
だから、2007年で19歳になるはずです。(自分の子どものことだから間違いない。)
だけどこの物語、瞳子22歳で終わります。

…つまり、3章の章立てに「2000年~未来」とあるように、最後は未来が舞台になっているということなのか?

それにしては、
さぁ、これからも続く未来へ。
といったこのラストでは、あまりにも違和感がありすぎます。

…作者の計算間違え?

いやいや、こんな壮大な年代記を書こうとしたのなら、年表ぐらい作るだろうし。

作者の意図が分からなかったのでした。
なぜにほんの数年後の未来を舞台に終わっているのかなぁ。
どなたか教えてくださいな。
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*Comment  Thank you*
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  ◆こんにちわ~◆

そらさん、こんにちわ~。桜庭さんお初だったんですね。
お初でこれは結構きついかもしれません…(?)
個人的に「少女七竈と七人の可愛そうな大人」をお薦めしておきます。

最後二十二歳の瞳子で終わるのは、「けれどもやはり時は刻まれるのだ…」
というのを言いたかったのでは、と私は個人的に解釈しています。
この物語は瞳子が聞いた昔話を語ってゆく…という形になっていますが
それは瞳子の主観的なイメージが入り、描かれたものです。
だから自分(瞳子)を差し引いて、「祖母や母は凄いのだ」という感覚が、
気づかぬうちにすり込まれているから、
事実とは少し違っているのだと思うんですよね。
この話を万葉や毛毬自身に語らせたら、きっと瞳子と同じように、
どうしようと迷ったり、夢がないと思ったり…
と考えたりしていたかも知れないじゃないですか。
だから、「昔の人は偉人」そう見え不安になるけど、
けれどもやはり時は刻まれ、自分自身も成長してゆくのだと。

まぁ現代社会の変化もあるので、本当にそうだった部分、
というのも、もちろんあると思うんですけれども。
頓珍漢なこと言ってるかも?熱く語りすぎました~;失礼します。
by: るい * 2008/02/07 13:35 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

こんばんわ^^
TBさせていただきました。
私の家の近くの図書館では42人待ちでした^^;
私は10番目くらいです。
受賞前に予約したので^^

この作品は濃かったですよね~。
華麗なる一族みたいでした。
どの章も好きですが、やっぱり万葉でしょうかね。
最期がせつなすぎました。
本当は、お互いすきだったんだろうな~と思うと切なかったです。
by: 苗坊 * 2008/02/07 21:35 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

るいさん、こんにちはっ♪
コメント、ありがと~\(^o^)/

>けれどもやはり時は刻まれるのだ…

これね、私も感じました。
時の流れを感じるよね。
それは、トーコが「今」に立っていて、少し世界に対しての感じ方が変わってきて、それでこれから先も…みたいな、
要するに、トーコが「今」の時点で感じていること、のように思えていたのよ。
なのに、トーコは少し先の世界にいるわけで。
というところが、ちょいと混乱したのでした。
まぁ、18、19じゃ、そんなこと感じられないだろうから、もしかしたらトーコを22、3歳くらいまで成長させたかっただけなのかもしれないね。

>この話を万葉や毛毬自身に語らせたら、きっと瞳子と同じように、
どうしようと迷ったり、夢がないと思ったり…
と考えたりしていたかも知れないじゃないですか。

これ、確かにあると思う。
この作品は、先代のスバらしさに匹敵しない自分に対する不安、もしかしたら生まれてこなかったほうがよかったのではないかというあやふやな存在感が、もっと明るい温かいものに変わっていく…そんなところによさがあったのかものしれないね。
それにしては、長いけど(笑)

るいさんのお話、とっても分かりやすかった。
今までよりも、この作品が整理されて理解できたよーな気がする。
どうもありがとね。
お礼に、コーヒーなどを一杯♪v-273
あ、あとケーキもつけちゃいます(*^_^*)v-274

「少女七竈と七人の可愛そうな大人」…メモしておくねっ☆
まだ、『東京湾景』も『パレード』も読んでないけどv-8
by: そら * 2008/02/08 13:09 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

苗坊さん、こんにちはっ♪

>私の家の近くの図書館では42人待ちでした^^;
私は10番目くらいです。

これ、「私の男」?
苗坊さん、読まれたんだったっけ?(もう忘れてる^^;)

華麗なる一族、私も思い出しました。
製鉄とか、旧家とか、なんかその辺の設定が似てるなぁと。
あちらは男の物語で、こちらは女の物語といったところかしらん。

万葉。印象深かったです。
空を飛ぶ男の話が、そう来たか~という感じでした。
あの時代、同じようにカップルになれなかった2人って、まだまだたくさんいたのかもしれないな~なんて思いました。
by: そら * 2008/02/08 13:26 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

こんばんは。

この本は人によって好き嫌いが激しいと思いますし、フィットするかしないかの差も大きいでしょうね。私は最初は奇妙な小説やなあと思っていたのですが、次第にその不思議な魅力の虜になっちゃいました。

そらさんの「おもしろかったんだと思う」って感想、何となく分かります。

『私の男』、大阪市立図書館全体で567人待ちです。但し所蔵点数も32点ですけれど。
by: ひろ009 * 2008/02/14 23:43 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

ひろさん、こんにちはっ♪

>「おもしろかったんだと思う」って感想、何となく分かります。

あら、ありがと~\(^o^)/
まぁ、慣れるのに時間がかかるタイプなのかもv-8

人によって好き嫌いが分かれる作品というのは、
それだけ個性的な作品であるということでもあるんだよね。
万人受けする作品ばかりでなく、「嵌る人は嵌る」作品というのも、また魅力あるものです。

私は、「嵌る」というほどではなかったけれど、
もう少しほとぼりが冷めたら(!)また違う作品も読んでみたいなぁと思っています(*^_^*)

…にしても、567人待ちってすごいね~v-12
by: そら * 2008/02/18 11:54 * URL [ *編集] * page top↑
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