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「八日目の蝉」角田光代
2008 / 04 / 28 ( Mon ) 17:36:50
先の見えない作品でした。
読後はじんわりと温かいものが残ります。
これ,ほのちゃんのオススメ本だったんだよね。
ありがと~\(^o^)/

★★★☆☆

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか--理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。家族という枠組みの意味を探る、著者初めての長篇サスペンス。(Amazonより)



サスペンスというほど,ハラハラドキドキという感じではなかったような気がします。

どちらかというと,親子のつながりって何?といったテーマや,体験を消化する過程を丁寧に描いた作品…という印象でした。

                

不倫相手の子を誘拐し,逃亡を図る希和子。
希和子に育てられることになる薫。
第1章は,この「疑似親子」の逃亡劇です。
「八日目の蝉」という意味深なタイトルから,まぁ,8日目あたりで捕まるのかなと思っていたら,
意外や意外。
結局何年にもわたって逃げ回ることができてしまいます。

本当の両親は,今,どんな思いでいるだろうと,頭の隅で考えながらも,
いつしか,この疑似親子の平穏な日々が続くことを願ってしまいます。

親子って,血のつながりではなく,同じ時間を共有することで親子になっていくのかなぁなんて。

第2章に入り,薫(両親からつけられていた名前は恵理菜)は本当の両親の家に戻ります。
そして成長し…というストーリー展開。

悪いヤツはつかまり,子供はもとの家族に戻りました。
めでたしめでたし…ではないのよね。

その辺が,何とも重たいというか,リアリティがあるというか。
生きている限り,どんなに理不尽に踏み荒らされた人生でも,
自分の人生は自分のものとして歩まなくてはいけない。。。のだけど。。。

第2章を読みながら,その昔見た,オウム施設内から保護された子供たちのニュース映像を思い出していました。
ヘッドギアをつけ,整然と並んでワゴン車に乗り込んでいった子供たち。
一般社会とは一線を画した価値観の社会の中しか知らなくて,
当たり前だと思っていた自分の常識も通用しなくて,
あの子たちは,あの後どう社会と折り合いをつけていくんだろうと,その当時,思ったのですが。

「折り合い」のつけ方は人それぞれだと思います。
その子を取り巻く環境も,かかわる人が変われば違ったものになると思います。
どうしなくてはいけないとか,どんなふうに考えればいいとか,
そんな正解はどこにもなくて,
だから,この小説で示されている方向性も,一般解ではないけれど。

薫が,ある意味吹っ切れたというか,悟ったというか,
そんな瞬間のシーンを読んだがために,
彼らのその後が余計に気になったのでした。
彼らだけではなく,いろんな形の「八日目の蝉」である子供たちがいますからね。

薫が手に入れた温かな認知世界を,1人でも多くの子供たちが手に入れられればいいのになぁ。

何だかそんなことを思いました。

               


ああ,そっか。
…(中略)…何で私だったのか。それを抱えて過ごしてきたのは私だけではなかったんだ。何で私が事件に巻き込まれたのかと,ずっとそう思っていた。でも本当の問いはそうじゃない。何で私が私だったのか。何で「私」を引き受けることになってしまったのか。父も母も,妹も,きっとずっとそう思ってきたんだ。なぜ父親になんかなったのか。なぜ母親になんかなったのか。なぜおれはすべてに背を向けてしまうのか。なぜ私はすぐ逃げ出してしまうのか。なぜ私は突然姉ができたのか。なぜ私はこの家の子だったのか。なぜ私はこんなふうにしかできないのか。父らしからぬ父,母らしいことのできない母,いつも気を遣っていた妹,そしてすべて憎むことで自分を守ってきた私。「こんなはずではなかった」と思う場所から,一歩も踏み出せなかった私達。好きや嫌いではなく,私達がどうしようもなく家族であったことに,私は今気づく。



八日目の蝉は,ほかの蝉には見られなかったものが見られるんだから。見たくないって思うかもしれないけど,でも,ぎゅっと目を閉じてなくちゃいけないほどにひどいものばかりでもないと思うよ。



手放したくなかったのだ,あの女とのあり得ない暮らしを。…(中略)…でも,それを認めてしまうことができなかった。…(中略)…私は世界一悪い女にさらわれたのだ。私が家を好きになれないのは,父と母が私に背を向けるのは,すべてあの女のせいだと思えば,少しだけ気持ちが楽になった。…(中略)…憎むことで私は救われ,安らかになれた。
憎みたくなんか,なかったんだ。私は今はじめてそう思う。本当に,私は,何をも憎みたくなんかなかったんだ。あの女も,父も母も,自分自身の過去も。憎むことは私を楽にはしたが,狭く窮屈な場所に閉じ込めた。憎めば憎むほど,その場所はどんどん私を圧迫した。




おじいちゃんの先生がね,子どもが生まれるときは緑がさぞやきれいだろうって言ったの。そのとき,何だろう,私の目の前が,ぱあっと明るくなって,景色が見えたんだ。海と,空と,雲と,光と,帰途,花と,きれいなものぜんぶ入った,広くて大きい景色が見えた。



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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

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  ◆◆

そらさん、こんにちわ!

さっそくリンクさせていただきました!ありがとう^^

「八日目の蝉」
読後感が、なんとなくぼや~っとしてて、いろんな感想があるんだけどまとまらなくて困ってました(笑)
そらさんの記事を読んで、スッキリしましたよ。
「そうそう、そうなのよ~♪」みたいなね(^_-)-☆

でも、これ、サスペンスだったのね…知らなかった。


>本当の両親は,今,どんな思いでいるだろうと,頭の隅で考えながらも,
いつしか,この疑似親子の平穏な日々が続くことを願ってしまいます。

私も実はそうでした。
でも、薫にとっては貴和子は、独りよがりの愛情で、薫の人生を理不尽に踏み荒らしただけの人でしかない。
でも、どこかで、薫に、希和子の愛は嘘ではなかったとわかって欲しいと思っている自分がいました。


最後に警察に捕まるとき
「薫はまだご飯をたべてないの~」と言った貴和子の言葉に涙がでました。

女って、本質は母なんだな~って感じた本でした。



by: 一個 * 2008/10/13 13:27 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

一個さん,こんにちはっ♪

こちらこそ,リンクありがと~\(^o^)/
私もドリコムリーダーに登録したので,
次の記事がアップされたら,リンク欄に載る予定♪(多分ね^^)

>読後感が、なんとなくぼや~っとしてて、いろんな感想があるんだけどまとまらなくて困ってました(笑)

分かるわ~♪
何だかこっちを考えればあっちが置き去りにされ…みたいに,
一筋縄ではいかない感じがありましたよね~。
私も,はっきり言葉にできないまま,書いてたような気がします。
…そんなんでも,「そうそう,そうなのよ~♪」と言ってもらえて,何だかとってもうれしいなぁ(*^_^*)

>薫にとっては貴和子は、独りよがりの愛情で、薫の人生を理不尽に踏み荒らしただけの人でしかない。
でも、どこかで、薫に、希和子の愛は嘘ではなかったとわかって欲しいと思っている自分がいました。

そうなんだよね~。
希和子との暮らしは,正しいことではなかったけれど不幸だったわけではない。
そこら辺が十分分かっている読者には,何とも歯がゆいような切ないような,そんな気分がありました。

最後には薫も希和子の言葉を思い出せて,私も胸が詰まりました。

>女って、本質は母なんだな~

母って,子どもに育てられて母になるんだな~って,
なんか私は思いました。
「本質が母」だったら,私自身はとてもとてもうれしいんだけどねっ☆

また,一個さんといろんなお話ができたらうれしいなぁと思います。
これからもヨロシクねっ☆

by: そら * 2008/10/13 23:01 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

そらさん、こんばんは!

ごめんなさい、こちらの記事見つけないでいて・・・

そうそう、色んな感情がわいてくる内容ですよね~
私が一番思ったのは、血のつながりって何だろう?でした。

私は希和子にかなり同情してしまったので、
捕まらないで欲しいな~と感じたりもしましたが、
「薫」のままでは小学校にあがれなかったかな、とも思えるので、
この流れは仕方ないんですよね。
いつまでも逃亡者ではいられない。

本が手元に無いので具体的な台詞が思い出せないのですが、
「お母さんと結婚する」
「だってそうしたらお母さん『女手一つ』じゃなくなるでしょう?」
みたいな言葉には、涙が出てきました。

実の子じゃなくても、深い愛情は子どもに届いていて、
そのことが、矛盾した感情を生み、
成人した『薫』を苦しめたんだな~なんて思いました。

私も娘をこんな優しい気持ちで育てられればいいんですけれどね~
毎日怒ってばっかりです。。。
by: nao * 2009/03/01 19:34 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

naoさん,こんにちはっ♪

早速来てくださってありがと~\(^o^)/

血のつながり…うん,考えちゃったよね。

>実の子じゃなくても、深い愛情は子どもに届いていて、
そのことが、矛盾した感情を生み、
成人した『薫』を苦しめたんだな~なんて思いました。


そうなんだろうね。
矛盾した感情だとも自覚できなかったときは,とっても苦しかったんだと思います。
自分の感情って,自分で思うほど分かっちゃいないんだろうね。

>私も娘をこんな優しい気持ちで育てられればいいんですけれどね~
毎日怒ってばっかりです。。。

あはは!naoさんの愛情はちゃーんと伝わってるって♪

by: そら * 2009/03/02 13:33 * URL [ *編集] * page top↑
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