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「チャイルド44」上・下 トム・ロブ・スミス
2008 / 09 / 23 ( Tue ) 15:13:23
おもしろかった!
いろんな意味で堪能しました\(^o^)/

★★★★☆

スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた…。(上巻 e-honより)

少年少女が際限なく殺されてゆく。どの遺体にも共通の“しるし”を残して―。知的障害者、窃盗犯、レイプ犯と、国家から不要と断じられた者たちがそれぞれの容疑者として捕縛され、いとも簡単に処刑される。国家の威信とは?組織の規律とは?個人の尊厳とは?そして家族の絆とは?葛藤を封じ込め、愛する者たちのすべてを危険にさらしながら、レオは真犯人に肉迫してゆく。(下巻 e-honより)




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上巻は,レオが連続殺人犯を追いかけようと決心するまで。
そこに至る過程は並大抵なものではなく,
ある意味追い込まれての決意です。

五木寛之が朝日新聞(9/20)で,1965年にモスクワを旅行した際,
「この国が理想の社会主義国家などではなく,1つの拘置所のようなものであり,人民はすべてが被害者として生きている」と感じたと書いているのを読み,
うまいこと言うなぁと思った私。

国全体が閉塞感に包まれ,人々は疑心暗鬼になり,不安に怯えながら生活している。
初めに国家ありきの国。

そんなソビエトの空気が,この作品ではこれでもかと言わんばかりに描写されます。

いや~,のほほんとは生きていかれませんわ。

つい最近読んだ『No.6』(あさのあつこ)の理想都市を彷彿とさせます。

この作品がどこまでソビエトの当時を再現しているものなのか,私にはよ~分かりませんが,
この重苦しい空気,結構しんどかったです。

レオは,正義の味方として連続殺人犯を追いかける…というヒーローではありません。
そこがまたよかったな。
彼には彼なりの矜持があって仕事をしていた。
そして裏切りにあい,権威を失墜したところで初めて疑念を持つ。
この辺がね,物語の流れの中で,リアリティーがあるというか。
上巻が終わる頃には,もうどっぷりとソビエトの空気に浸っています。

そして下巻。
連続殺人犯を捕まえようと正義ののろしを上げたはいいけど,
そうそう簡単に行くはずもなく。
彼の「余計」な行動のせいで,同性愛者が何百人の単位で収容所に送られ,
彼を援助する捜査官も憂き目にあいます。
冷静に,そら見たことかと思う妻・ライーサ。
レオ,四面楚歌です。
それでもレオは,妻を伴ってモスクワに向かいます。

ここら辺からはもうジェットコースター。

幾多の困難を,人の手を借りながら乗り越えていくシーン。
私,もうどっぷり浸かってますから,裏切られるんじゃないか,信用できないんじゃないかと,
ハラハラドキドキ。
ぐいぐいと引きつけられます。
孤高に闘うのではないところがよいよね。

犯人も姿を現します。
彼の殺人場面は何ともおぞましく。
再登場のシーンは,いやいや,ホントにやられました。
緊張したぁ。

そして犯人は…。という場面。
うっそ~!なのでした。
この作品,推理小説だっていうことをすっかり忘れてました。
そうだよね,うん。ちゃんとあちこちに伏線張ってあったのに。
全部見落としてました。
驚いたわ~。

国家が犯人の存在を否定しているならば,自分が犯人を殺してやる。
これ以上の犯罪は犯させない。

このレオの考え方,それだけ見るととても乱暴であり,傲慢なもののようにも思えますが,
この国にあっては仕方ないのかなと思わせる,その筆力がすばらしい。
読み終わった後になって,
「こういうヤツは死ぬしかないのか」
「こういうヤツが更生する道はないのか」
と考えてしまいますが,まぁそれは別のお話。

犯人との対決は,何だか切なくもあり,です。

そしてラスト。
いい意味でのクールダウンができました。
1人を助けても,それ以外の多くの子の状況は変わらない。
ならば1人を助けることに何の意味があるのか。
という問いに,「目の前のかわいそうな人をばんばん助けちゃえばいいんですよ」と言ったのは,
砂漠』(伊坂幸太郎)の西嶋くんだったけど。
なんかそんな言葉を思い出しました。
幸多かれと願うばかりです。



おもしろかったよ,梟さん♪
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*Comment  Thank you*
comment
  ◆◆

上巻の真ん中あたりまで読み切れれば、後はがーーーーッと読んでしまいそうな!予感♥
読んでみたいなぁ~。
でも、途中で放置しそうな予感も^^
たまに国外物も読んでみたくなるのよね^^
by: デネブ * 2008/09/24 09:51 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

でねちゃん,こんにちはっ♪

>上巻の真ん中あたりまで読み切れれば、後はがーーーーッと読んでしまいそうな!予感♥

そうそう!慣れるまで,ちょっと時間がかかりました。
がーーーーッといくのは,下巻の後半部分かな(^^;)

でも,おもしろかったよ♪
名前も分かりやすかったしv-218
by: そら * 2008/09/24 15:24 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆ありがとう◆

って、私の書いた小説じゃないけれど^^。
結構迫力あるでしょ。
不条理、日本もこれほどじゃないけど、不条理、ですなあ。
by: 佐平次=梟 * 2008/09/25 07:11 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

梟さん,おはよっ♪

うんうん!よくできた小説は,エンタメでも,人間や組織の真実を鋭く書いてある…っていう梟さんのお話,的を射ていると思いました\(^o^)/

>日本もこれほどじゃないけど、不条理、ですなあ。

なんかグダグダですなあ。
by: そら * 2008/09/25 09:59 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

>がーーーーッといくのは,下巻の後半部分かな(^^;)

せめて、下巻最初からがーーーーッ!ならな。

チャイルド44の値段も知りたかったので、検索してみたの。
やっぱり評判とてもよかったです。

下巻の後半当たりまで私が放置しないだろうか…。
うーーん、うーーん、もう少し考えてみようっと♪


そらちゃんの今年のベスト10、今から楽しみにしてます。
もうベスト10前夜祭とかやっちゃうぅ?
そのベストを参考に本を選ぼう(*´艸`)
by: デネブ * 2008/09/25 14:48 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

でねちゃん,こんばんはっ♪

うーーーん。うーーーーん。
まぁ,それまでに飢餓あり,拷問あり(かなりぼかしてます^^),役人根性あり,裏切りあり,と多彩なので,
スピード感はないけれど,それなりに浸れるよ。
…確かにちょいと重苦しいけどね(^^;)

この本,でねちゃんが近かったら貸してあげるのになぁ。
私,珍しく新刊本を買ったのに(*^_^*)

ベスト10!
もうそんな時期かぁ。
今年は,新たにこの人にはまりましたぁ\(^o^)/みたいな人がいなかったから,ちょっと寂しい。。。
今からダッシュをかけようかな(=^▽^=)

by: そら * 2008/09/26 20:42 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆こんにちわ◆

今年ももうカウントダウンか!?

息子のお勧めの【日本の現代演劇】
という岩波新書を読んでいます。
なかなか面白いです。それよりも
息子から本を紹介されるという事
がかなり衝撃的な事なのでした(笑)
by: 一陽 * 2008/09/28 12:32 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

一陽ちゃん,こんにちはっ♪

>息子から本を紹介されるという事
がかなり衝撃的な事なのでした

あはは!そりゃ衝撃的だわ\(^o^)/
やっぱり関心のあることは,放っておいても読むようになるのね~。
うちの息子は,いつになったら『ワンピース』から卒業できるのやら。
でもあのマンガ,困ったことに(?)何だかおもしろそうなんだよね。。。(ときどきとてつもなく長いあらすじを,息子が教えてくれる^^)
by: そら * 2008/09/28 16:38 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆面白い本でした◆

そらさん、ご無沙汰しています。

いくつかの書評で好意的に紹介されていたので、読んだのですが、期待に違わず面白い本でした。

ただ、佳境に入るまでの助走が長過ぎて、ちょっとくたびれました。

ラストもハッピーエンドといってもよい、後味のよいものであったと思います。
by: touch3442 * 2008/10/04 22:53 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

touch3442さん,お久しぶり♪

あーっ!touch3442さん,同じ本を読んでらっしゃると横目で見てたのに,
コメントもTBもしてなかった!
コメント&TBありがとでした\(^o^)/

>ただ、佳境に入るまでの助走が長過ぎて、ちょっとくたびれました。

読んで清々しい気持ちになるようなもんじゃないからね~v-8
でも,ホント面白い本でした。
ラスト,よいよね♪
by: そら * 2008/10/06 09:32 * URL [ *編集] * page top↑
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