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「神の火」上・下 高村薫
2009 / 03 / 05 ( Thu ) 11:09:25
1回途中リタイアして以来,ずーっとカラーボックスに眠っていた本ですが。

私,何で読めなかったんだろう????

やっぱり高村さん,いいわ~!

高村さん独特の執拗な描写がステキ♪

★★★★☆


原発技術者だったかつて、極秘情報をソヴィエトに流していた島田。謀略の日々に訣別し、全てを捨て平穏な日々を選んだ彼は、己れをスパイに仕立てた男と再会した時から、幼馴染みの日野と共に、謎に包まれた原発襲撃プラン〈トロイ計画〉を巡る、苛烈な諜報戦に巻き込まれることになった…。国際政治の激流に翻弄される男達の熱いドラマ。全面改稿、加筆400枚による文庫化。(上巻)

〈トロイ計画〉の鍵を握るマイクロフィルムを島田は入手した。CIA・KGB・北朝鮮情報部・日本公安警察…4国の諜報機関の駆け引きが苛烈さを増す中、彼は追い詰められてゆく。最後の頼みの取引も失敗した今、彼と日野は、プランなき「原発襲撃」へ動きだした―。完璧な防御網を突破して、現代の神殿の奥深く、静かに燃えるプロメテウスの火を、彼らは解き放つことができるか。(下巻)
                                                 (Amazonより)




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ひろの東本西走!?


            



この作品,スバらしいと思うのだけど,唯一の欠点は,
骨になってる謀略がよく分からん…ということだったりします。
アメリカ,ソヴィエト,北,日本,それぞれの思惑が絡み合い,
政治家や二重スパイが暗躍し,
だれが何をしようとしているのか,どんどん分からなくなってしまいます。
これは,単に私の読解力不足ゆえだと思うのですが,
スパイ小説で謀略の中身が分からないって,
推理小説読んで殺人状況が分からないのと同じくらい,
結構致命的なような気もします。

が。

読んでいるうちに,そんなことはどうでもよくなってくるのが不思議。

これは,母の不義の末,生まれた碧眼の男,島田浩二と,彼を取り巻く人間たちの物語,
なのだと思います。

登場人物1人ひとりの確かな存在感と不確かな心情が,
ずしりと人ひとりの重みとなって残ります。

ソヴィエトのスパイ,高塚良。
島田の幼なじみの日野。
島田をスパイの道へと導いた江口。
かつて島田の上司であったポリス。
CIAのハロルド。
日野の奥さんであり,北のスパイでもあった柳瀬律子。
音海原子力発電所の技術者であり,かつての島田の同僚,ベティさん。
島田の父,島田誠二郎。
島田のつかの間の勤め先,木村書店の木村社長,川端さん,堀田老人。

それぞれが自身について決して多くのことを語ることはないのだけれど,
私の中に確かな印象を残しています。

そして島田。。。

彼がなぜそれほどまでに良を気にかけ,
良のために何かしてやりたいと突き動かされるように思うのか,
多分,彼自身,言葉にできない「何か」があったんだろうなぁと感じます。
その「何か」がよく分からないまま,彼の気持ちだけは痛いほど伝わってくる…
人が人に惹かれるって,こういうことじゃないかなぁと感じます。
「愛」だの「友情」だの「共感」だの,おおざっぱにくくってしまうとその間からハラハラとこぼれてしまう,うごめく心。
この作品は,それを描ききっているように思えるのです。

最後のテロ行動の描写は圧巻でした。
分刻みで行動が描かれ,
『仁義なき戦い』の映画ように,カシャカシャカシャと時間がテロップで出てきていような錯覚を起こしました。
せり上がってくる緊張感に,手に汗握ってしまいます。
原子力発電所の詳細な記述に,保安上,こんなに詳しく書いたらいかんのではないかなぁと,
要らん心配もしてしまいました。
私,上下水道関係のシステムをちょこっとかじったこともあって,
この頃のコンピュータシステムが何となく想像つき,
ちょっと懐かしかったです。
今でも自動/手動の切り替えボタンって,中央監視デスクについてるのかしらん…なんて。

閑話休題。

巻き込まれ型の人生を送った島田が,自らの手で決行したテロ行動。
彼の人生からすると異質な行動のようにも思えますが,
良のやり遂げたかったことを自分の手で成し遂げてあげたかったようにも思えるし,
平和ぼけしている技術者たちに警鐘を鳴らしたかったようにも思えるし,
スパイとしての人生の清算をしたかったようにも思えるし,
もっと言えば,自身の死に場所を求めていたようにも思えるし,
それから少し,成り行きでこうなっちゃいましたみたいな行き当たりばったり感もうかがえます。

いろんなものが「ごちゃっ」と混ぜこぜになって,突き進んでいったような印象ですが,
最後の最後に今までとは違うこと,
自分の頭で決断し,自分の手で決行する,
という行為そのものを実行したかったのかもしれません。
そこに,何とも言えないもの悲しさを感じたのでした。

父さん,母さん,話をしよう。一緒に散歩しよう。僕はもう自由だから



光り輝いているシーンのはずなのに,なぜかびょうびょうと吹く風の音が聞こえました。
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  ◆◆

こんにちわ。
つい昨日、東野圭吾さんの『天空の蜂』を読んだばっかりで、同じ原発の事を書いた本のようで気になります。高村さんって作家さんが好きなんですね。今度読んでみますね。
by: 姫 * 2009/03/05 21:30 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

姫さん,こんばんはっ♪

『天空の蜂』ですかぁ♪
東野さんの自信作だったけど,思うように売れなかった…みたいなお話を聞いたような気が。。。(^^;)
そういえば私も,読んでみようかなぁと思ってたんだった。
思い出した!ありがと~\(^o^)/

この作品,原発内の装置の名前がたくさん出てきます。
姫さんみたいに,ちょっとほかの本で予習してからのほうがよかったかも(*^_^*)

高村さん,好きです♪
ただこの方の作品はじっくり読むのに適していると思うので,
そんなときに,ぜひど~ぞ♪
by: そら * 2009/03/06 21:32 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆高村ワールド◆

ご無沙汰しております。

おおーっ、「神の火」を読了されましたか!

>高村さん独特の執拗な描写がステキ♪

ほんとにね。
執拗なまでの書き込みが好きな人にはこたえられなくなってくるのです。
細部についてはあまりよく覚えていないのですが、そらさんの感想を読み&自分の感想を読み返して、寂寥感や無常観、あの暗く湿ったような独特のムードを思い出しました。
私も骨になっている謀略がよく分かりませんでしたが、途中からはまあいいかと思うようになったみたいです。

また、そろそろ高村さんの重厚な作品を読みたくなってきました。
by: ひろ009 * 2009/03/06 23:33 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

ひろさん,こんにちはっ♪

『神の火』…やっと読めましたよ\(^o^)/

> ほんとにね。
> 執拗なまでの書き込みが好きな人にはこたえられなくなってくるのです。

そうだね♪ダメなときはダメだけど,嵌るとこたえられない(*^_^*)
久しぶりに高村さんの作品を堪能しました。

> 細部についてはあまりよく覚えていないのですが、そらさんの感想を読み&自分の感想を読み返して、寂寥感や無常観、あの暗く湿ったような独特のムードを思い出しました。

寂寥感,無常観…確かに!
日本海の暗い海の雰囲気が,そのまま作品に反映されていたような,
独特のムードがありました。

> 私も骨になっている謀略がよく分かりませんでしたが

というお話,意外だわ~。
あれだけしつこく出てきてよく分からないのって,
私くらいかと思ってたv-8
ということは,謀略の中身って,あえてぼかしていたのかしらね~。

> また、そろそろ高村さんの重厚な作品を読みたくなってきました。

うんうん!今度は何を読む?o(^▽^)o
by: そら * 2009/03/08 11:20 * URL [ *編集] * page top↑
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