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「さまよう刃」 東野圭吾
2009 / 03 / 18 ( Wed ) 15:37:54
ずーーーっと読むのをためらっていた作品です。
読んでみて,まぁ,そこまでためらうほどでもなかったなという印象です。

★★★☆☆

蹂躙され殺された娘の復讐のため、父は犯人の一人を殺害し逃亡する。「遺族による復讐殺人」としてマスコミも大きく取り上げる。遺族に裁く権利はあるのか? 社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は!?(Amazonより)



「遺族に裁く権利はあるのか」って…。
とりあえず日本は法治国家ですからねぇ。ないでしょう。


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とっても重たい気分になるだろうと覚悟して読んだ作品でした。
けれど,思ったほど「とっても」は,重たくなりませんでした。

復讐は許されるのかとか,
少年法の是非だとか,
罪と罰のアンバランスの現実とか,
まぁ,そこら辺を問う社会派推理小説なのでしょうけれど。

この作品,結構初っぱなに,主人公長峰さんが犯人の1人をぶっ殺します。
これが,重たいテーマにもかかわらず,途中で投げ出すことなく読むためにも,
なかなか効果的だったように思います。
最初の殺人は,まぁ激情に駆られて,突発的に起こってしまったことだけど,
何というか,もう長峰さんは,復讐が悪なのかという,多分一番理不尽に思えてならないテーマをすっ飛ばしてしまってるんですよね。
勢いあまってハードルを1個,蹴飛ばして超えちゃった…みたいな。

1人殺しているんだもの。
主犯格だって殺さなきゃ。
みたいな,流れです。

なので,長峰さん自身は,復讐が罪になることも,復讐しても虚しさしか残らないことも,
ましてや娘が戻ってこないことも,だから以前の幸せを取り戻すことができないことも,
全部分かって,突っ走ります。

それは,親だったら,特に父親だったら,きっとそういう思いに駆られるであろうという
読者の感情に添うものであり,
長峰さん頑張れ…みたいに応援したくなる気持ちを素直に持てるストーリー展開であり。

また,犯人側の少年たちは,どいつもこいつも頭の軽い唾棄すべき人物として描かれ,
その家族もまた,自分の子供さえ守れればそれでいいと,被害者の感情や遺族の感情を汲むことすらできない自己中心的な人物として描かれています。

だから余計に,長峰さんに肩入れしたくなる。

確かに,そういう自己中心的な親って多いよなぁと思います。
また,想像力のかけらも育っていない少年少女も,これまた多いように思います。
なので,ここに描かれている犯人側の登場人物たちは,決して絵空事ではなく,
あー,こんなヤツ,いるかも…という現実感があるのが,
何ともやるせないところではあります。

この作品,復讐譚として読むと,なかなかスリリングで,かなり上質なお話だと思います。

ただ,社会派ミステリーとして何かを訴えかけるという点においては,どうなのかなぁ。。。

『さまよう刃』のさまよっているのは,
復讐を目論む長峰さんではなく,
法の番人たる警察のようで。

いや,プロなんだから,ここはきちっと正論をぶちかましてくださいよ…と思ってしまいました。
正論って,得てして感情に訴えかけづらいものがあるけれど,
正論は,どこかに存在していなければいけない…のではないのかなぁ。

物語全体が長峰さん寄りであることで,
深く考える機会を放棄してしまったような感じも,少し受けてしまったのでした。

…まぁ,だからこそ最後まで読めたんだから,私が文句言っちゃいけないよね。はい。(*^_^*)


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  ◆◆

そらさん、こんにちは。
「さまよう刃」は私の中では、
東野作品ベスト3に入る作品なのです・・・(苦笑)

>『さまよう刃』のさまよっているのは,
>復讐を目論む長峰さんではなく,
>法の番人たる警察のようで。

そうそう、確かにそんな感じもっ!

もう何度も読み返した作品ですが、
いつも長峰さんよりで読んでいたので、
視点をかえて、再読してみようと思います。

by: ちえぞう * 2009/03/18 16:51 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

『片思い』を読んだときにも思ったのですが、「そのテーマを取り上げるには、まだ社会的にも、あなたの頭の中でも熟し切ってないのではないかい、東野さん?」と。もちろんストーリー自体は楽しめるものだったんですけど。

「犯罪者が大人なら、その親兄弟には何の累も及ばないってが近代社会ってもんでしょう」という常識・理想を揺さぶってくれた(そらさんの言葉で言うと「正論をぶつけてきた)点で『手紙』は読む価値がある本だったな、と思っています(東野さんが投げかけたことに賛同しようがしまいが)。

裁判員制度が導入されようとする今なら、東野さんはどんな「遺族の復讐譚」を書くのでしょうか。

長々と失礼しました……。
by: hontaka * 2009/03/19 08:00 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

ちえぞうさん,おはよっ♪

おーっ!ベスト3に入りますか♪
私は,そうだな,『秘密』『手紙』と,あと何だろう?
これから読む本のために席を空けておこうかな(*^_^*)

>視点をかえて、再読してみようと思います。


「視点を変えて再読してみる」って,私,したことないかも。
おもしろい試みだよね~♪
視点を変えようと思ったけど変わらなかったとか,
こんな新発見があったとか,
なんか楽しそう。
再読したら,感想教えてねっ☆
by: そら * 2009/03/19 09:18 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

hontakaさん,おはよっ♪
穏やかでありながら鋭いコメント,ありがとうございました。


>そのテーマを取り上げるには、まだ社会的にも、あなたの頭の中でも熟し切ってないのではないかい、東野さん?

あー,そうかも。東野さんの頭の中で熟し切ってない部分,確かにあったような気がします。
なるほどね~。言われて初めて気がついた。

それでも
>ストーリー自体は楽しめるものだったんですけど。

ってところが,人気作家さんであるゆえんなのかもしれないですね~。
うん(*^_^*)

『手紙』は,私の中でもベスト3(?)に入ります。
とっても深く考えさせられ,いまだに未整理状態です。
あの作品は,
「常識・理想を揺さぶってくれた点」が,
確かにとっても大きかった。
常識・理想が安全圏にいるときにしか機能しないであろう自分の姿がそこに浮かび上がり,
人間,そういうもんなんじゃないのと認められた上で,
1歩突っ込んで考えるきっかけになったような。
そんな意味で,私も読む価値あったと思ってます。

昨日,3人の極悪非道な犯人に対し,2人が死刑,1人が無期懲役を言い渡されたって裁判がありましたねぇ。
遺族の方々は,自首したから減刑なんておかしいんじゃないかとおっしゃっていて,
マスコミもそれに同調する報道をしていたように思うけど。

遺族の方々の怒りというか,やるせない思いは,心情的にとっても理解できるし,私も同じ立場だったら,死刑だって許せないのに,それ以下の刑だなんてふざけるなと思うだろうなぁ。すんごくよく分かる!と思います。

だけど,マスコミがその流れに乗ってる(ように見える)ことに,
ちょっと待って…という気がしています。

全体的に,そもそも「刑罰」って何のためにあるんだろうってところをすっ飛ばして,
感情に流されてしまっているような,何だかイヤな感じ。。。

こんな雰囲気の中で裁判員制度が導入されて大丈夫なのかなぁと,何とはなしに不安を覚えてしまうのだけど。

>裁判員制度が導入されようとする今なら、東野さんはどんな「遺族の復讐譚」を書くのでしょうか。

なんか怖いもの見たさで(!)読んでみたい気がします(*^_^*)

by: そら * 2009/03/19 10:14 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

お久しぶりです。
書き込みをありがとうございました。
詳しい内容は忘れましたが私もこの本は読みましたv-356
被害者の父親が復讐??みたいな本でしたよね。
私に娘がいて同じ事をされたらどうするかと考えた本でした。
最近は老眼が入りだしたせいか活字が読みにくくて本が進みません。
読書記録として書き始めたブログもお休み気味でした。
返事が遅れてごめんなさいです。


by: yan * 2009/03/30 17:08 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

お~っ!!やんさん♪おひさしぶりっ\(^o^)/

いや~,これだからブログはやめられない(*^_^*)
うれしいなぁ♪

あ,本の話ね(^^;)

>私に娘がいて同じ事をされたらどうするかと考えた本でした。

そうかぁ。私は実際に娘がいて,こういう話,いつも頭の片隅にある…って感じで。
だから,この本を読んだから考えたって感じではなく。。。
ま,とーぜん復讐するでしょ。なのでした(*^_^*)

八つ裂きにしても許せないってこーゆーことを言うんだと思う。うん。

老眼かぁ。そうかぁ。私もそろそろ来るかなぁ。。。。
私も,違う趣味も見つけなくちゃかしらね~。

by: そら * 2009/03/30 20:48 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆No title◆

読んでいてお正月前後にやっていた
死刑廃止か否か、の討論番組思い出しました。

やはり法で治められているとはいえ
元々は人間が作った物、どちらの立場によるかで判断に困りますね。
作った当時にこういった被害にあった方が多く参加していたとしたら
また今とは違う形になっていたと思いますし

私は出来る事なら
こういった問題は被害者に全て任せたいくらいに思います。

>昨日,3人の極悪非道な犯人に対し,2人が死刑,1人が無期懲役を言い渡されたって裁判がありましたねぇ。

これはありましたね、罪自体はほぼ3人死刑
しかし1人が自首した事により3人が捕まった殺人事件だったかな?

これも難しいですよね
死刑にした場合、今後自首は一切見込めなくなり逮捕のみになる可能性があり
被害者としては加害者を当然の事ながら許せない。

人が大人になるに従いこういった凶悪な事件が増えるのは
欲が増えるからではないかな、と私は思います。
平常心を持ったままこういった事を出来るとは考えたくないですしね・・・
by: 三毛猫 * 2011/01/14 10:46 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

三毛猫さん,こんばんはっ♪

> お正月前後にやっていた
> 死刑廃止か否か、の討論番組思い出しました。

私,この番組は見ていません。
が。。。

> どちらの立場によるかで判断に困りますね。

こういう側面があると,私も思います。
去年テレビドラマでやっていた「モリのアサガオ」でも,
主人公の刑務官が,ときにより死刑存続と廃止の間を行ったり来たりしていました。
身近であればあるほど,
一生懸命考えれば考えるほど,
どちらがいいとか悪いとか,
分かんなくなってしまうんだろうなと思います。

> 私は出来る事なら
> こういった問題は被害者に全て任せたいくらいに思います。

これはこれで,結構問題あると思うよ(^^;)
被害者遺族のみんながみんな,
被害者を愛していたとは限らないし,
愛されなかったのは本人のせいだとも限らない。。。


> これはありましたね、罪自体はほぼ3人死刑
> しかし1人が自首した事により3人が捕まった殺人事件だったかな?

そうです。
よく覚えていらっしゃる(*^_^*)

> これも難しいですよね

難しいですね。
自首すれば減刑ってどーなの?
やったことの罪深さは変わらないじゃん
と感情的には思うけど,,,,,
と,ぐるぐるぐるぐる同じところを回ってしまいます。

で。
結局考えることを辞めてしまうのがオチなんだけど。。。

それでもどこかで問題意識を持っていなければいけないんだろうな
と思います。

> 人が大人になるに従いこういった凶悪な事件が増えるのは
> 欲が増えるからではないかな、と私は思います。

うーーーーん。
本当の大人って,欲を抑える術もまた,身に付けていると思うんだけど。。。
何をもって「凶悪」と判断するか…これもまた,社会や文化や状況が変わると,コロッと変わっちゃうものなのかもしれませんね~。


> 平常心を持ったままこういった事を出来る

それはないでしょー!
…ないよね????
私も考えたくないです(*^_^*)

三毛猫さんのおかげで,
なんか久しぶりにちょっといろいろ考えてしまいました。
…私が考えたからって,何も結論出やしないし,何も変わるわけではないんだけど(^^;)

だけど。
コメントありがと~♪
また,いつでも遊びに来てくださいね(^o^)/
by: そら * 2011/01/16 21:10 * URL [ *編集] * page top↑
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