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「エンブリオ」上・下 帚木蓬生
2009 / 05 / 11 ( Mon ) 15:59:22
インターセックス』の前作に当たる作品。
岸川医師に幻惑されそうでした(*^_^*)

★★★★☆


エンブリオ―それは受精後八週までの胎児。天才産婦人科医・岸川は、人為的に流産させたエンブリオを培養し臓器移植をするという、異常な「医療行為」に手を染めていた。優しい院長として患者に慕われる裏で、彼は法の盲点をつき、倫理を無視した試みを重ねる。彼が次に挑むのは、男性の妊娠実験…。神の領域に踏み込んだ先端医療はどこへ向かうのか。生命の尊厳を揺るがす衝撃の問題作。(上巻)

「男性の妊娠」研究を国際学会で発表し、各国の賞賛を浴びた岸川。彼の高度な医療水準に、アメリカで不妊治療をビジネス展開する大企業が目をつける。最先端の技術と情報を盗むため、巨大組織が仕掛けた卑劣な罠。そして、それに対して岸川がとった恐るべき反撃策とは。岸川の持つ闇が徐々に暴走し始める…。生殖医療の暗部を鋭くえぐり、進みすぎた生命科学が犯す罪を描き出した戦慄の長編小説。(下巻) (ともにAmazonより)









            


帚木作品も3作目。
本の4分の3まで行かないと,ミステリーっぽく物語が展開しないという,
帚木さんの傾向?らしきものも見えてきました。

帚木作品を読むときは,慌てちゃダメ!ってことですね。

じっくりじっくり。

先に『インターセックス』を読んでいたおかげで,
登場人物の末路(?)がぜーんぶ分かっていた私。
先を急がず読むことができました。
…ら,とってもおもしろく読めました。

医学の進歩と倫理。
岸川の言い分は,「倫理なんてクソ食らえ」
まぁそれを,とても見事に論理武装していらっしゃる。

こんな感じ。

 岸川にしてみれば,倫理的な足枷など初めから眼中になかった。……単に慣習からはずれているだけで,倫理とは何の関係もないのだ。そしてそもそも医学と医療の進歩は,慣習からの離脱ではなかったか。例えば頭に穴を開けて腫瘍を剥出したり,腹をたち割って赤ん坊を取り出したり,血管の中にカテーテルを入れて冠動脈をふくらませたりするのは,たかだか慣習の否定であり,倫理とは無関係だろう。それが生殖医療になると人間の根源にかかわってくるので,ことさら目立ってくるだけだ。
 ………精子と卵子の受精を女性の体内ではなく,試験管の中で行うのも,当初は反倫理的だと騒がれた。その根拠は,自然の成り行きを人の手で管理するからだ。それでは,顕微受精はどうか。……これも,本来は「神」の手で実施されるものを人間の手が代行する方法で,倫理的にはずれる行為だと非難されたし,いまだにその非難は一部でくすぶっている。
 こんなふうに考えてくると,反倫理とは反自然にほかならないということが分かる。自然でない行為が,倫理的でないと難詰されるのだ。
 それではしかし,医学・医療とは一体何かという問題に立ち戻らざるをえない。人の死,人の病をできるだけ回避する術が医学・医療であるのは,万人が認めるはずだ。ところが,死や病気こそは,自然の摂理の代表的な表れだ。となると,医学と医療はその成り立ちからして反自然的行為であり,従って反倫理的行為になってしまう。
 現在行われている通常の投薬や手術が,反自然的だとも言われず,まして倫理にもとるとも非難されないのはなぜか。当初はどの技術も革新的,すなわち反倫理的だと槍玉にあげられたはずだ。ところが年月が経つにつれてその技術が慣習化されると,なしくずし的に反倫理的側面は薄れていき,ついに消滅する。それがすべての先進的医療技術の辿る普遍的な道筋なのだ。
 すなわち慣習化とともに,倫理性云々の議論は立ち消えになっていく。………。
 ……純粋に論理的で本質を衝く抽象的な思考を,最後の最後まで忌み嫌い,他国の先例を無分別に借用するのが,この国の習い性なのだ。
 要するに,今サンビーチ病院で実施している医療技術は,当分の間,法的・倫理的にも決定的な障害物をもたないと言ってもさしつかえない。



だれか,こいつをギャフンと言わせてくださいな。
いや,違うだろうと思うのに,私は何も言い返せない。。。。

岸川先生と新興宗教の教祖様との共通性なんかを考えてしまいました(いや,そういう作品じゃないって





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