スポンサーサイト
-- / -- / -- ( -- ) --:--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 admin page top↑
「クライマーズ・ハイ」横山秀夫
2005 / 08 / 22 ( Mon ) 15:54:33
一気に読んでしまいました。
作者の魂が込められた作品だと思います。

★★★★★

今から20年前の御巣鷹山日航機墜落事故。

そのとき私は、職場がお盆休みに入り、一人暮らしのアパートから久しぶりに実家に帰っていました。
家族5人がそろうのは珍しいと庭でバーベキューをしていたとき、テレビで流れる日航機墜落の速報を見ました。
「海でなくてよかったね。」母が何かを断ち切るように言いました。
当時海上保安庁に勤めていた父の、せっかくの家族団らんの時間を奪われなくて済んでよかったという意味での発言でした。
そのときのことを思い出すと、私は今でも喉に大きな固まりを感じます。
「そういう問題じゃないでしょう。」…そのとき私は言えなかった。
飲み込むことも吐き出すこともできなかった。
父の、口の端を上げただけの微笑が焼き付いています。あのとき彼は何を思っていたのだろう。。。


「御巣鷹山の現場」という言葉が当時の関係者たちにとって重たい意味を持っているということが、この作品から鮮明に伝わります。

主人公悠木のひりひりするような毎日の奮闘に、私も思わず力が入りました。
ちらちら気にかかったことはあったけれど、ぐいぐい惹きつけられました。

こういういわばぎりぎりのとき、人はその本質を表すのだと思えます。
悠木の最初の決断は、もしもう一度同じ場面に立たされたなら、彼はきっと同じ選択をするだろうという判断だったと思います。
それだけ自分がさらけ出された決断だったと思います。
それこそが、「全力を尽くした」と言えるのではないかと思いました。

この作品は、仕事・友人・子供と、テーマが多岐にわたっていますが、そのうち友人、子供に関しては、御巣鷹山事故17年後というタイムスパンでやっと見えるものを描いています。

また、合間合間に入る衝立岩登頂の記述が物語を引き締めています。

17年という歳月と衝立岩の勇壮な自然が、この作品にスケールの大きさを与えています。

今まで読んできた横山作品の中で出色の作だと思います。

(この先、思いっきりネタバレです。)










ちらちら気にかかったこと、その1(^^;)

悠木の仕事に関しては、私はどうも納得できないものを感じます。
彼は、確かに彼なりに決断をしたと思うのだけど、
それが正しいものだったのかどうなのか。。。

最初の決断のときに、彼は「被害者の遺族」のことを考えます。
まぁこれも、何だか逃げっぽいな~と思うのですが、それは彼の性格ですから、仕方ないと置いといて・・・
2度目の決断のときは、なぜ「被害者の遺族」のことを考えなかったのだろう。。。
人ひとりの命に小さい命も大きい命もない。新聞がその価値をつけるな。
彩子の言うことは、確かにマスコミに携わる者としてはいつも心に刻んでいなければならないものかもしれません。

だけど、「知らないでしょうけど私も身内が死んでつらいのよ、だからあなたの身内が死んだからって私はあなたのために泣けないわ」と、嘆き悲しんでいる遺族に対してわざわざ声に出して言ってみるのは、
死を悼んでいる家族に向かってその死を悼まないと公言するのは、
ただの愚行だと思います。人としての最低限の礼儀を踏み外した行為だと思います。

私は、悠木がどういう理屈をつけようとも、彼はそういうことをしたのだと思うのだけど。

価値ある死と価値のない死。大きい命と小さい命。
新聞に取り上げられるから価値があり、新聞に取り上げられないから価値がないと感じるその根拠もよく分からないし。
新聞って人間の価値を決めるほどエライものだとは思わないし。
そんなにエライものだと錯覚している悠木や彩子は狭窄的視野に立っているように思えて仕方がない。

そういう意味で、彼の最終的にたどった道は、彼の器にふさわしいものだったという気がしてなりません。

ちらちら気にかかったこと、その2(^^;)

悠木は息子のことで深く後悔をし、どうつき合っていいのか分からなくなっています。
奥さんには、「あなた、父親でしょう」と言われて頬を張って以来、冷たい目で見られるようになったという記述があるけど、親子関係よりもまず、この夫婦、大丈夫なのかしら。
親子の場合は、どんなにひどいことや間違ったことを親がしても、それを親が謝らなくても、子供はもしかしたらすべてを流してくれるかもしれないけれど、
まぁ、夫婦の間では流れないのではないのかな。
それとも年を取ればいろんなことを忘れて、流れるものなのかしらん。
どこの夫婦にも内包されている問題がこの夫婦にもあるようで、この夫婦の今後が他人事ながらちょっと気になったりしました。
スポンサーサイト
横山秀夫 TB:5 CM:16 admin page top↑
<<「TUGUMI」吉本ばなな * HOME * 夏の終わり>>
コメントの投稿 














管理者にだけ表示を許可する

 

*Comment  Thank you*
comment
  ◆◆

TBありがとう。 私もTBさせていただきました。v-10
(このデパート言葉、使いたくないのだけど、便利というか、相手を選ばないと言うか、こう言わなきゃならない相手もいるわけで...)v-17
私のはぜ~~んぜん参考にならない感想ですね。
自分のを見て「おや!これっぽっち!!」ってちょっと情けなかった...v-12
仕事と息子と夫婦について考えたような気がする...

背景キレイです夏の終わりの海?
音は...水の音かな...
せっかくだから、いろいろ使ってみた...
by: く~ * 2005/08/22 18:58 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

こんにちはv-275
背景素敵です~v-274
私も、夏の名残りに海にしようと思ってたのです。。v-272
いい感じ~v-16

そらさんが言うように作者の魂が込められている本だと思います。
読み応えがありましたもん。

意味も無く食べ物画像で攻めてみましたv-221

by: ゆー * 2005/08/22 19:47 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

横山秀夫の最高傑作でしょうね。
by: よっちゃん * 2005/08/22 21:15 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

はじめまして(´ー`)ノ
私もこれ分厚いにもかかわらず一気読みしましたよ
女性より男性うけがいいのも分るような感じだったかな
気になることがたくさんあってびっくり~v-237
私はあ~面白かったで終わってしまうタイプなので(^^;
読んでいる作家さんが(私は今日ブログ作ったばかりで
ほとんどUPできてませんが)似ているような気がします
東野圭吾さんも読破してます(○ゝω・)b⌒☆
また遊びにきますね
by: まめころりん * 2005/08/22 21:59 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

く~さん、こんにちは♪

いろいろ試してみてくださってありがとう♪
おもしろいでしょ。
使ってね♪

>仕事と息子と夫婦について考えたような気がする...

いっぱい考えたね~(^o^)
私もちょろちょろどうでもいいこと、考えたけど(^^;)

この作品全体の放つエネルギーに圧倒されましたよね。

背景、いいでしょ?
前のひまわりと同じ作者なの。
気がついたら、この方のを選んでいるのだわ(*^_^*)
私も、この背景を見て、夏の終わりの海を感じましたぁ♪

by: そら * 2005/08/23 12:23 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

ゆーさん、こんにちは♪

ね、読み応え、ありましたよね(*^_^*)
こういうのを読めると、幸せだな~と思います♪

e-113e-113e-113e-113e-113e-113e-113e-113e-113

意味もなくお花畑v-16

by: そら * 2005/08/23 12:45 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

よっちゃん、こんにちは♪

いつもTBありがとうございます。

そうですね、私もこれまで読んだ横山作品の中では一番いいと思います。
「いい」とうならせるものがある作品だと思います。

これからも、よろしくお願いします。
by: そら * 2005/08/23 12:49 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

まめころりんさん、はじめまして♪
コメント、ありがとうございました。

まめころりんさんのブログにお邪魔したら、「陽気なギャング…」が最初に載っていたので、あわてて帰ってきました(^o^)
今、読んでいる最中なので、読み終わったらゆっくりとお邪魔しますね♪

東野さんはたくさん本を書いているという事実に、最近やっと気がつきました。
読破なんて、すごいわ~…(ΘoΘ;

これからもよろしくお願いします♪


by: そら * 2005/08/23 13:12 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

文庫化されて読みましたー

その1について(笑)
そうですよね。
悠木が愚行と知った上で掲載するのって、矛盾ありますよね。
で、冷静になった、彼女にその事実に気づかせる。
その意図がイマイチわからないけど、あるように書かれてたのも??でしたね。

しっかし、そんなことも気にならないくらいの迫力ですよね!
by: じゅん * 2006/06/13 13:55 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

じゅんさん、どうも~♪
その1。やっぱ気になった?(笑)
どうもねーだったのだけど、うんうん、ホントに、そんなもの吹き飛ばしてしまうぐらいの渾身の作だと私も思いますv-218
by: そら * 2006/06/13 15:39 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆映画「クライマーズ・ハイ」◆

こんにちは。

映画「クライマーズ・ハイ」を観てきました(TVドラマの方は前半のみをチラッと見た程度)。
良かったですよー。
原作の細部については忘れている箇所も幾つかあると思うのですが、原作の持つ緊迫感・迫力・熱気などがよく映像化されていたと思います。堤真一をはじめとする役者さんたちも素晴らしかったです。

それにしても、改めて横山秀夫原作の凄さ・奥深さを再認識しました。
by: ひろ009 * 2008/07/27 10:21 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

ひろさん,こんにちはっ♪

映画,おもしろかったんだ\(^o^)/
堤真一がちょっと気になったんだけど,
何だか行きそびれてます。
う~みゅ。行こうかな,ど~しようかな。
(と,またまた迷い始める私^^)

by: そら * 2008/07/27 14:40 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

じゃぁ~~ん!

地元出身&堤真一らぶぅ~の私がやってきましたよっ(笑)


原作を読むのと映画鑑賞を同時にやってしまったもんでかな~り内容が入り交じってしまっていますv-11

悠木の決断その2が映画で扱われなかったことがちょびっと不満(ってここはそらちゃんの読書のページだから映画はどうでもいいのだけど・・・)。でもそれについては同感。

で、その1の決断。原作を読んだときは「逃げ」だと思った。
でも映画を観て、その後考えた。やはりあれはあれでいいのだと。
佐山(映画では堺クン・・・らぶぅ~~)の判断(100%ではない)、及びそれを受けての悠木の判断はやはり報道機関の根底にあるべきものと思いました。

谷川岳一の倉沢、すんごくいいよ。衝立岩、あれはぞぉーっとする。

でも悲しいかな、「安西が倒れたところって城東町のどこだろ?」とどーでもいいところに引っかかる私。

by: バジル * 2008/07/28 15:09 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

バジルさん,こんばんはっ♪

>悠木の決断その2が映画で扱われなかった

あー,そーなんだ。
なんか,賢明な判断だったような気がする私v-8

んで,その1。
…あんまりね,覚えてないんだけど(^^;)
自衛隊絡み…だったっけ???
う~ん,「あれはあれでいい」と思わせた映画がすごいっ!と言う気が。。。
何というか,あの辺から,主人公の器の小ささみたいなものを,私は感じてしまっていたような気が…(^^;)

>谷川岳一の倉沢、すんごくいいよ。衝立岩、あれはぞぉーっとする。

どーして,そんなところを登りたいとか思うんだろーねー???
凡人には分かりませんo(^▽^)o
by: そら * 2008/07/30 21:29 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆ありゃりゃ◆

その1と2が混乱しちゃった、ごめんね。

事故原因を一面トップに!についての決断なんだ。
圧力隔壁が原因であるとの心証を100%佐山が得ながら、それはサツ担当としての100%であり、事故調査委の人とは面識がないことからそこから得た心証は100%ではない、との報告を受けて悠木がぎりぎりでトップ記事からはずした点。
その結果、翌朝他の新聞社に出し抜かれてしまった・・・・・。

難しいところだけど(新聞とテレビの違いも絡むけど)、やはり「報道」を考えると悠木の決断は正しかったと私は思うのでありまする、はい。
by: バジル * 2008/07/31 08:24 * URL [ *編集] * page top↑
  ◆◆

バジルさん,こんにちはっ♪

あ~,そうかぁ。そうだったね~v-356
自衛隊員の写真を載せるか載せないか…は,悠木の決断ではなく,権力(社主)に折れた形だったんだっけ???(あの辺,どうなる,どうなる…みたいに緊張感があっておもしろかった気も。。。)
う~みゅ。やっぱり記憶力の衰えが
(^^;)

「彩子の投書を載せたこと」のハテナばかりが記憶に残ってますです。はい。
by: そら * 2008/07/31 15:47 * URL [ *編集] * page top↑
trackback
trackback URL
http://xxxsoraxxx.blog11.fc2.com/tb.php/96-726af7ff
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
「クライマーズ・ハイ」横山秀夫
感想を書くのは難しいので、気になったフレーズを。 正確ではないけれど。 「小さいものを恐れなさい。大きいものはなんとかなるの。 小さいものを恐れなさい。大きいものは後でもいいの。 小さいものを恐れなさい。小さいうちに恐れなさい。」 心しておきます。 虫だ ♪ウサギ・絵・花・本・写真・・・♪【2005/08/22 18:48】
クライマーズ・ハイ/横山秀夫
「「85年、御巣鷹山の日航機事故で運命を翻弄された地元新聞記者たちの悲喜こもごも。上司と部下、親子など人間関係を鋭く描く。北関東新聞の記者・悠木は、同僚の安西と谷川岳衝立岩に登る予定だったが、御巣鷹山の日航機墜落事故発生で約束を果たせなくなる。一方、1人... ゆー便り。o○【2005/08/22 19:48】
03/10/07横山秀夫『クライマーズ・ハイ」君の人生には熱く語れるものがあったか?
君の人生には熱く語ることのできるなにかがあったか………と厳しく問いかける男がいる。まもなく退職年齢を迎える悠木和雅、私より2歳年下の57歳。群馬県の地方紙「北関東新聞」のベテラン記者であった彼は17年前に左遷されたまま山奥の草津通信部で村の小さな出来事を書き続 日記風雑読書きなぐり【2005/08/22 21:18】
『クライマーズ・ハイ』横山秀夫
クライマーズ・ハイ横山 秀夫文藝春秋2003-08-21売り上げランキング 3,609Amazonで詳しく見るby G-Tools おすすめ度  他にも紹介しています『 book 』マイショップを見る まろ茶らいふる【2005/08/22 23:07】
「クライマーズ・ハイ」横山秀夫
「クライマーズ・ハイ」横山秀夫1985年。日航機墜落事故が発生。地元群馬の新聞記者悠木は、全権デスクに指名され、友人との約束、谷川岳衝立岩登頂を断念する。世界的な大事故に向う新聞記者たちの苦闘、社内の同僚・上司との関係、派閥争い。。一... 読書感想文 と ブツブツバナシ【2006/06/13 13:56】
* HOME *
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。