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「エンジェルエンジェルエンジェル」梨木香歩
2005 / 09 / 12 ( Mon ) 15:35:48
大好きな本をご紹介しようと思って、しばらくぶりにこの本を手に取りました。
ついつい再読してしまいました。
そして、同じところで泣きました。(苦笑)

★★★★★

現在の女子高生コウコと寝たきりのおばあちゃん(さわちゃん)との不思議な時間と、
さわちゃんがまだ女学校に通っていた頃のお話が、
1章ごとに交互に描かれています。

コウコの飼っている熱帯魚の水槽が、2つの世界を結びつけています。

私は文庫で読んだのですが、ハードカバーは、
さわちゃんの章はセピア色の字なのだとか。
ハードカバーも読みたいです。

人間の中の悪魔について、天使について、
罪について、神について、赦しについて、
平易な文体で、奥深いところに連れて行かれます。
一言で言うと魂の浄化について描かれた作品であると思います。

終盤のクライマックスは、だから
暗い闇に柔らかく光が差し込むような温かさに満ちています。

高村さんの本の後でこの本を読んだその不思議を、ちょっと感じました。
梨木香歩 TB:0 CM:2 admin page top↑
「西の魔女が死んだ」梨木香歩
2005 / 09 / 09 ( Fri ) 12:41:24
引き続いて梨木香歩。
日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、小学館文学賞などに輝いた作品です。
だから児童書なんだろうな~、これ。

西の魔女、おばあちゃんのカントリー生活が、質素で豊かを絵にかいたようで、
何ともすがすがしく、ある意味おしゃれです。
「赤毛のアン」に憧れるように、まいとおばあちゃんの生活も、
普段はどこかで眠りこけてる少女心を刺激します。

★★★★☆

中学生のまいは学校に行けなくなり、西の魔女(おばあちゃん)と
生活を共にする。
その中でまいが知ったことは…。

家事や畑仕事、そんな手作業の中から本来の自分のあり方を知る。
女の子の成長物語として、ありがちなお話なのかもしれません。

だけど、最後はぐぐっと胸に迫るものがありました。
そう来たか~という感じ。
ああ、泣きそう…と思いました。
泣かなかったけど。

この本は「生と死」や「魂」を正面から取り上げているところに
深みが感じられるのだと思います。

ただ、それをまいとおばあちゃんの会話の中で転がしていたところが、何だかもったいないなと思いました。

「西の魔女が死んだ」の続編、「渡りの一日」が文庫本に収録されています。
少し大きくなったまいに会えます。
梨木香歩 TB:6 CM:17 admin page top↑
「りかさん」「からくりからくさ」梨木香歩
2005 / 09 / 08 ( Thu ) 10:30:55
久しぶりに以前読んだ本のご紹介。
去年の冬は梨木さんの作品に出会った冬でした。
私の大切な本になっています。

★★★★★

りかちゃん人形がほしいとおばあちゃんにおねだりして、
届いたお人形は市松人形のりかさんでした。
不思議な人形、りかさんと小学生のようこちゃんのお話、
「りかさん」

蓉子さんが大人になって、
亡くなったおばあちゃんの家で3人の下宿人と日々を送る
「からくりからくさ」

そこで生まれた赤ちゃんをめぐるお話、「ミケルの庭」
これは文庫本の「りかさん」に収録されています。

「りかさん」→「からくりからくさ」→「ミケルの庭」の続き物です。

こっちの作品があっちの作品の伏線になり、
あっちの作品がこっちの作品につながっている。

全編通じて、蓉子の穏やかな包み込むような性格が反映されて、
暖かく優しいトーンになっています。

「りかさん」
私は3編の中では蓉子がまだ小学生だったときの「りかさん」が一番好き。
蓉子が日米親善使節団としてやってきたお人形、アビゲイルを抱く場面。
蓉子が染色に目覚める場面。
激しく心が揺さぶられ、そして気持ちが潤います。

「からくりからくさ」
かなり複雑な作品です。
3代も前の因縁、マグマのような人間の業、民族意識、芸術性と日常性、心の葛藤なんかが、
うねうねとのたくっていて、
そこに蓉子の繊細な感受性や穏やかに流れる生活が滋味あふれる色彩となって絡み合っているよう。

この作品はまあ、すっきりさっぱりとは分からないのが持ち味なのではないかしら。

こんなところにこんな模様が、と見るたびに新しい発見のあるタペストリーみたいに、
自分の心持ち次第でいろんな色が見えてくる作品のように思えます。

最初のうちはこの複雑さに辟易していたけれど、
そのうち全体が見通せなくても気にならなくなってくる、
また読み返したい不思議な本でした。

「ミケルの庭」を読んでる最中、
ああそういえばと、「りかさん」でりかさんが背負った使命が「からくりからくさ」で果たされたことに気が付きました。
気が付いたら涙が出てきました。
梨木香歩 TB:3 CM:8 admin page top↑
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